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気候変動解決の主役にインドと中国が浮上
持続可能エネルギー India and China Are Emerging as Climate Icons

気候変動解決の主役にインドと中国が浮上

6カ月前、気候変動の解決に向けて世界を後押ししていたのは米国だった。今では米国に代わって中国とインドがその地位に就こうとしている。 by Jamie Condliffe2017.05.18

ドナルド・トランプ大統領は 何とかして 米国内で石炭を使わせたがっており、石炭の使用が地球にどのような影響を及ぼすかには無関心だ。多くの米国民にとっては受け入れがたいことである一方、米国以外の国にとってよい知らせなのは、再生可能エネルギーの開発に引き続き資金が投じられ、2人の意外な救世主のおかげで二酸化炭素排気量の減少が続くことだ。その2人とはインドと中国だ。

確かにこれまで、インドと中国は石炭の使用を回避しようとしてこなかった 。インドのピユシュ・ゴヤル電力相は「二酸化炭素排気量をストップさせるべきは、米国や西洋諸国からだ」とし、インドに石炭使用の回避義務はないとつい最近述べたばかりだ

しかし、インドと中国は今や、少なくともある評価基準において、気候問題の第一線で米国を追い抜き始めているようだ。

複数の非営利団体とコンサルティング・グループが共同で定期的に分析するクライメート・アクション・トラッカー(CAT:Climate Action Tracker)は、実際、中国とインドは現在から2030年までに設定した二酸化炭素排気量の削減目標を超える勢いだと指摘している 。中国が再生可能エネルギーに積極的に取り組み石炭燃焼の減少を後押ししているのは明らかだ。インドの成功は、石炭を使った火力発電所の撤廃努力が実るかどうかにかかっている。

一方で米国はといえば、トランプ大統領の下で気候変動解決の主導的役割を失おうとしている。ワシントンポストが指摘するように、現政権がパリ協定の一環として米国の果たす責任(2025年までに二酸化炭素排出量を2005年レベルの少なくとも26%削減)を遂行する唯一の方法は、オバマ前大統領が退任する前のクリーン・パワー・プランに従うことだ。しかし、最近の大統領令から判断すれば計画に従うとは考えられず、トランプ大統領がクリーン・パワー・プランの撤廃に成功した場合、米国の二酸化炭素排出量は、2005年レベルの7%以下にはならないとをCATは指摘している。

だが、気を落とすことはない。インドと中国の功績が米国の成績不振をはるかに凌ぐ影響力があると、CATの分析から読み取れるのだ。率直にいえばあり得ないと思われていた、二酸化炭素排気量削減における事実上のリーダーとして、中国の新しい役割が間違いなく確立されるだろう。

排気量削減が実現すれば、インドと中国は再生可能エネルギーの投資対象として魅力的な2大国家となり、米国は1位から3位に順位を落とすという英国のアーンスト・アンド・ヤング会計事務所の分析結果を報じたロイター通信の報道は驚くものではない。つまり、インドと中国は自国のクリーンエネルギー容量増加のための、安定した資金流入を見込めるということだ。

注目は、インドと中国が排気量削減を達成できるかどうかだ。特にインドだ。中国はすでに、二酸化炭素を削減しながら経済成長を続けられることを実証しているが、長い間インドは経済発展のために化石燃料を燃やし続けると主張するのではないかと危惧されている。もし、インドが化石燃料依存を回避できるのなら、他の国でもできるはずだ。そして、今や悲しいことに、その言葉は米国にも等しく当てはまるのだ。

(関連記事:The Washington Post, Climate Action Tracker, Reuters, “Carbon Dioxide Emissions Are Flat for a Third Year Running, but the Economy Continues to Grow,” “トランプ政権、気候変動対策の主導国を中国に譲渡,” “Exiting Paris Climate Accords Would Exact a Steep Global Cost”)

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クレジットPhotograph by Kevin Frayer | Getty
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
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