KADOKAWA Technology Review
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コネクティビティ The Quest for a Functional New Interface for the Smartphone

脱タッチ操作へのあくなき探求 ダイヤル式スマホコントローラー

日々、朝から晩までディスプレイを見続けている筆者は、画面を見なくてもダイヤルとボタンでスマホを操作できるガジェットがあると聞き、早速試してみた。 by Rachel Metz2017.06.16

Fingertips Lab’s O6 is a button and dial for controlling your iPhone without having to touch the screen.
フィンガーチップス・ラボ(Fingertips Lab)のO6を使うと、ボタンとダイヤルの操作で、スクリーンに触れることなくアイフォーンをコントロールできる

スマホ、ノートPC、タブレット、テレビ——私たちの生活にはスクリーンがあふれかえっている(筆者の場合、赤ちゃん監視用ビデオモニターもそれに加わる)。日々、朝から晩までディスプレイを見続けて、目も頭も疲れている。

そんなとき私は、スクリーンに触れることなく、ボタンとダイヤルでアイフォーンを操作できる99ドルの丸いガジェットがあると聞き、早速試してみることにした。フィンガーチップス・ラボ(Fingertips Lab)のO6。見た目は、アルミニウムの環に囲まれたオレオクッキーのようだ。本体はゴムのような手触りで、ダイヤルのようにひねったり、ボタンのように押したりできる。

O6を使うのは簡単だ。BluetoothでO6をスマホに接続して、対応アプリをダウンロードすればいい。そうすれば、O6のボタンとダイヤルの操作で、新着メールを読みあげてもらったり、ツイッターの更新を聞いたり、以前に保存したオンライン記事を聞いたりできる。中央のボタンを押せば、かかってきた電話を受けられる。音楽・映像配信サービスのパンドラ(Pandora)やスポティファイ(Spotify)、ネットフリックス(Netflix)などのアプリの基本的な操作にも使える。

フィンガーチップス・ラボは、私たちの生活の中で増え続けているディスプレイの代わりに、人がコンピューターを便利に操作できるインターフェイスを提供しようとしている。現在人気のあるこうした製品のほとんどは、音声を利用している。アマゾンのアレクサ(Alexa)、グーグルのアシスタント(Assistant)、アップルのSiriなどだ。しかしフィンガー・チップスラボは、触覚による操作にも追及する余地があると考えている。実際、危険性が指摘されているにもかかわらず、多くの人々が今でも自動車の運転中に携帯を使っていることを考えれば、O6の存在価値は見いだせる。少なくとも、運転手がスクリーンを注視する事態は回避できるはずだ。

もっともな話ではある。それに、小さくてシンプルなハードウェアを操作するのは、レトロな感じがして、どこか気分のよいものだ。ツルツルしたガラスのスクリーンをスワイプしたりタップしたりするのとは違って、ちょっとした動く部分があるのがいい。

しかしO6には、まだまだ課題がある。

私はO6を入手して、すぐさま気に入った。表面の質感やツートンカラーのデザインは好みだったし、ダイヤルを回す感覚は指に心地良く感じた。ダイヤルを回したときのカチカチという音もよかった。特定の操作をしたときにブザー音が鳴るのも便利だった。

そこで、O6をクリップ(フィンガーチップス・ラボが19ドルで別売りしている)に装着し、娘の抱っこ紐に取り付けた。こうすれば、片耳にイヤホンをつけてナショナル・パブリック・ラジオ(NPR、米国の非営利・公共ラジオ局のネットワーク)を聴きながら、託児所まで歩いていける。娘を抱っこしているときに携帯を持つのは嫌だったから、我ながらよいアイデアだと思った。

しかし、何度か使っているうちに、問題点が明らかになった。まず、2つのうちどちらのボタンを何回タップすればボリューム調節としてダイヤルを使えるのかを把握するのが、実に大変だった。そもそも、ダイヤルがボリューム調節モードになっているのか、「次へ」のボタンとして機能するモードになっているのか、その都度、記憶しておかなければならないのだ。

ダイヤルの感度はおおむね良好だ。それはよいことだが、うっかり回しすぎて、聴きたいナショナル・パブリック・ラジオのニュース記事やメールを飛ばしてしまうことがしばしばあった。O6がカメラのシャッターとして使えるのは気の利いたアイデアだと思ったが、写真を撮る際に、ボタンを押すのではなく、ダイヤルを回す仕様になっているのは理解に苦しんだ。

音楽を聴いたり、最新のツイートを聞いたりしたときに、ボタンやダイヤル操作に対する反応が遅れることもあった。ダイヤルを回し続けていたり、ボタンを押し始めたりしているのに、電話が鳴り始めたり、欲しくもない情報を話し始めたりするのだ。

O6をハンドルに装着する19ドルのマウント(フィンガーチップス・ラボに貸りた)を使い、自分の車に取り付けて2度ほどテスト運転をしてみた。マウントをハンドルに取り付ける作業自体は簡単だった。しかし、運転中にO6を使った感想を正直に言うと、不快であり、時には危険であるとすら感じた。

ニュース検索・保存用スマホアプリのポケット(Pocket)に保存しておいた記事を運転中に聞いたりするなど、2つ、3つの違ったことを試してみた。その際、手のひらでうっかりダイヤルを叩いてしまい、次の記事にとんでしまうことが何度かあった。腕を交差してハンドルを切るときに、O6 が邪魔になることもあった。高速道路でダイヤルを回そうとしてO6がマウントから外れてしまったときに、私は二度とO6をハンドルに取り付けないでおこうと決めた。

スマホを使うためのボタンのようなインターフェイスというアイデアについて、私はあきらめていないし、フィンガーチップス・ラボにもあきらめないでほしいと思っている。市場調査会社のコムスコア(comScore)の最近の報告によると、米国の成人は毎日平均3時間、スマホを使っているという。そうであれば、人とスマホのインターフェイスとして利用できる、目の疲れない、安全な、シンプルな機器には、明らかにチャンスがある。

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レイチェル メッツ [Rachel Metz]米国版 モバイル担当上級編集者
MIT Technology Reviewのモバイル担当上級編集者。幅広い範囲のスタートアップを取材する一方、支局のあるサンフランシスコ周辺で手に入るガジェットのレビュー記事も執筆しています。テックイノベーションに強い関心があり、次に起きる大きなことは何か、いつも探しています。2012年の初めにMIT Technology Reviewに加わる前はAP通信でテクノロジー担当の記者を5年務め、アップル、アマゾン、eBayなどの企業を担当して、レビュー記事を執筆していました。また、フリーランス記者として、New York Times向けにテクノロジーや犯罪記事を書いていたこともあります。カリフォルニア州パロアルト育ちで、ヒューレット・パッカードやグーグルが日常の光景の一部になっていましたが、2003年まで、テック企業の取材はまったく興味がありませんでした。転機は、偶然にパロアルト合同学区の無線LANネットワークに重大なセキュリテイ上の問題があるネタを掴んだことで訪れました。生徒の心理状態をフルネームで記載した取り扱い注意情報を、Wi-Fi経由で誰でも読み取れたのです。MIT Technology Reviewの仕事が忙しくないときは、ベイエリアでサイクリングしています。
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