KADOKAWA Technology Review
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「ネットの社会問題」はテクノロジーの力で解決できるのか?
Justin Saglio
The Woman Battling Hate Speech, Censorship, and Extremism Online (and Off)

「ネットの社会問題」はテクノロジーの力で解決できるのか?

アルファベット傘下のジグソーのヤスミン・グリーン研究開発部長は、世界をよりよい場所にできるかもしれないという希望を抱いて、テクノロジーを活用している。それは簡単なことではない。 by Rachel Metz2017.11.11

1984年、ヤスミン・グリーンが幼い子供だったころ、家族はイラン革命から逃げてロンドンへ向かった。大人になったグリーンは世界で最も強大なテック企業の資金を活用し、オンラインとオフラインでの自由を推進している。

グリーンは、グーグルの親会社アルファベット傘下のインキュベーター、ジグソー(Jigsaw)の研究開発部長だ。ジグソーは、インターネット検閲を受ける国の人々を、他の人々の接続を通じてオープンインターネットにアクセスさせたり、ネットいじめを探し出すために機械学習を使ったりするプロジェクトに取り組んでいる。

グリーン部長は11月8日、MIT テクノロジーレビューの年次カンファレンス「EmTech」 で自身が取り組んでいる研究開発について話した後、過去の経験が現在の自分にどう影響しているのか、そしてインターネット上の悪意ある行動に関して何を理解したいと思っているのかを議論するために、パネルディスカッションに臨んだ。

——あなたがたった3歳の時に、家族はイランを離れました。仕事をするうえで、文化的背景がどう役立っていると感じていますか?

大手テック企業が有意義なテクノロジー、つまりインターネットと社会をより健全なものにしようとするテクノロジーの開発に投資しても、シリコンバレーの窓のないオフィスでそれをやっていることが最大の茶番だと思います。インターネットや社会を健全にするテクノロジーを開発しようという試みは非常に数多く失敗しています。世界中の違いを自然に理解する人々が増えるほど、そして私たちが世界の違う部分に出かけることが多くなるほど、 「有意義な」 テクノロジーを開発できる可能性は高くなると思います。

私個人の話をすると、インターネットが普及していると同時に、検閲が非常に厳しい国の出身であることが役に立っていると思います。少なくとも、そうした見方をチームに提供できますからね。

——ジグソーは、オンライン上の検閲、憎悪、辛辣な言葉といった問題と戦うために、テクノロジーを使う数多くのプロジェクトに取り組んでいます。現在、あなたはどういったことに注目していますか?

いま私がどんなテクノロジーに最も興味を持っているかといえば、オンライン上の「毒性」を人々が理解できるかどうか、見極めることですね。

私たちは、オンライン上の会話から離れたくなるような要素のうち、どれが有毒と言えるものなのか、分解できるでしょうか。わいせつな言葉? それとも侮辱? あるいは脅迫? アイデンティティに基づいた攻撃?

これらは異なる種類ではあるものの、どれも不快な言葉であることに間違いありません。でも、オンラインコミュニティによってはそのうちの1つを気にするかもしれませんが、それ以外は気にしないものです。

私たちがモデルを明確にすればするほど、最終的には、そのモデルが、あらゆる人々を受け入れる会話を生み出すのに役立つでしょう。

——あなたやジグソーの同僚の仕事には、イスラム国(ISIS)からの離脱などをした人々との会話に時間を費やすことも含まれています。自分たちのことを、ある意味では人類学者の集団だと考えていますか?

そういう風に考えているだろうと思います。ジグソーが生み出すテクノロジーに関して多少特別なことは、それが現場、すなわちこの研究の最前線で考えつくものであることです。民俗学の研究があり、調査研究があり、調査報道との提携が数多くあります。これらの問題は、インターネットと現実の世界、オフラインの世界に及んでいます。それらに取り組むには、様々な分野の関係者と専門家の連携が必要です。

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レイチェル メッツ [Rachel Metz]米国版 モバイル担当上級編集者
MIT Technology Reviewのモバイル担当上級編集者。幅広い範囲のスタートアップを取材する一方、支局のあるサンフランシスコ周辺で手に入るガジェットのレビュー記事も執筆しています。テックイノベーションに強い関心があり、次に起きる大きなことは何か、いつも探しています。2012年の初めにMIT Technology Reviewに加わる前はAP通信でテクノロジー担当の記者を5年務め、アップル、アマゾン、eBayなどの企業を担当して、レビュー記事を執筆していました。また、フリーランス記者として、New York Times向けにテクノロジーや犯罪記事を書いていたこともあります。カリフォルニア州パロアルト育ちで、ヒューレット・パッカードやグーグルが日常の光景の一部になっていましたが、2003年まで、テック企業の取材はまったく興味がありませんでした。転機は、偶然にパロアルト合同学区の無線LANネットワークに重大なセキュリテイ上の問題があるネタを掴んだことで訪れました。生徒の心理状態をフルネームで記載した取り扱い注意情報を、Wi-Fi経由で誰でも読み取れたのです。MIT Technology Reviewの仕事が忙しくないときは、ベイエリアでサイクリングしています。
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MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020SDGs Issue

今、世界中の企業や機関の技術者・研究者たちが各地で抱える社会課題を解決し、持続可能な世界の実現へ向けて取り組んでいる「SDGs(持続可能な開発目標)」。
気候変動や貧困といった地球規模の課題の解決策としての先端テクノロジーに焦点を当て、解決に挑む人々の活動や、日本企業がSDGsを経営にどう取り入れ、取り組むべきか、日本が国際社会から期待される役割について、専門家の提言を紹介します。

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