KADOKAWA Technology Review
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サイの角に放射性物質、
「世界4位」の犯罪ビジネス
密猟密輸に挑むテクノロジー
COURTESY OF THE RHISOTOPE PROJECT
気候変動/エネルギー Insider Online限定
Why conservationists are making rhinos radioactive

サイの角に放射性物質、
「世界4位」の犯罪ビジネス
密猟密輸に挑むテクノロジー

年間200億ドル規模、薬物・武器・人身売買に次ぐ「世界4位の犯罪ビジネス」——それが野生動物の密猟・密輸だ。だが、サイの角への放射性物質埋め込みからAIによる海洋監視まで、新世代のテクノロジーが保護活動家たちの武器になりつつある。 by Matthew Ponsford2026.03.13

この記事の3つのポイント
  1. 野生動物密売は年間200億ドル規模の世界4位の犯罪ビジネスで、2030年終息目標の達成は困難視されている
  2. 放射性同位体埋込みやAI衛星監視など、都市向け技術を応用した革新的な密猟対策ツールが実用化されている
  3. 現場即応型DNA検査や生物音響モニタリングにより、資源不足に悩む保護機関の監視能力が大幅に向上している
summarized by Claude 3

毎年、密猟者は数百頭のサイを撃ち殺し、漁船は保護海域から数百万匹ものサメを引き揚げ、密輸業者は無数の動植物を国境を越えて運んでいる。こうした違法行為は、高度に組織化された犯罪ネットワークに支えられており、実行犯も自分たちが捕まる可能性は低いと知っているため、取り締まりがきわめて難しい。インターポール(国際刑事警察機構)によれば、その年間規模は200億ドルに達し、薬物・武器・人身の密売に次ぐ、世界で4番目に儲かる犯罪ビジネスである。

国連は、2030年までに保護対象種の密売を終わらせることを目指している。だが、こうした邪悪なネットワークに立ち向かう環境保護の担い手たち(レンジャー、地域団体、法執行官からなる分散的な連携体制)は、長年にわたり装備も資金も不十分な状態に置かれてきた。国連薬物犯罪事務所(UNODC)の最近の報告書は、2030年目標が達成されると「確信できる理由はない」と結論づけている。

それでも、テクノロジーが状況を好転させる助けになるという確かな希望はある。もともと都市や研究施設向けに開発されたツールが、いまや地球上の野生の現場へと次々に持ち込まれ、豊かな国でも貧しい国でも、環境機関や自発的に動く地域コミュニティが、違法物品の検出、密輸ネットワークの追跡、発生源での密猟防止にいっそう力を入れられるようになっている。

12月、インターポールは、生きた動物の押収数が過去最多を記録したと発表した。密売の背後にある隠れたネットワークの摘発に役立った、高度なツール群がその一因となった。インターポールの「サンダー2025作戦」は134カ国の法執行機関を連携させ、デジタル鑑識やAI駆動型の検知を含む技術群を用いて、類人猿からチョウまで3万匹の生体動物を押収した。「サンダー2025の成功は、現代の脅威に対処するには現代のツールが必要だということを示しています」と、インターポール環境保安下部局の作戦調整官ホセ・アドリアン・サンチェス・ロメロは語る。

以下では、野生動物犯罪を終わらせる戦いで、保護活動家らを後押ししているテクノロジーを5つ、紹介する。

1. サイのタグ付け

7月、南アフリカの研究チームは、野生動物犯罪を防ぐための最も異彩を放つ試みの一つとして、サイの角に放射性物質を埋め込むことについて政府の承認を得たと発表した。

「ライソトープ・プロジェクト(Rhisotope Project)」と名づけられたこの取り組みでは、研究チームが2024年と2025年に、南アフリカのリンポポ・ライノ・オーファネージで飼育されている33頭のサイに、低レベルの放射性同位体を含むペレットを装着した。このプロジェクトは国際原子力機関(IAEA)の支援を受けている。

血液サンプルや獣医師による検査から、これらのペレットがサイ、レンジャー、周辺環境の健康に影響を与えないことが示されている。一方で、この同位体は、角が放射線ポータルモニターで検知されるのに十分な放射線を放出する。放射線ポータルモニターとは、貨物コンテナや車両をスキャンして不法な放射線源を検出する装置である。こうしたモニターは世界の空港や港湾ターミナルですでに1万1000台が稼働しており、それに加えて国境警備隊員が装着する携帯型モニターも数千台ある。2024年11月、ライソトープは米国税関・国境警備局と協力し、ニューヨークの空港と港湾でこのシステムを試験した。その結果、チームが満載の40フィート輸送コンテナ内に仕込んだ単独の角を、国境警備員が検知できることが確認された。

このプロジェクトを切り開いたのが、南アフリカのウィットウォータースランド大学・放射線保健物理部門のディレクター、ジェームズ・ラーキンである。南アフリカには現在1万5000頭のサイが生息しており、これはアフリカ全体の個体数の大半を占める。だが同国では、2007年以降に密猟者によって1万頭のサイが殺されてきた。これまで密猟抑止の一般的な方法は、密猟者が狙う部位そのものをなくすため、あらかじめ角を丸ごと切り落とすことだった。しかし除角には、サイを長時間鎮静状態に置く必要があり、しかも角は再生するため18〜24カ月ごとに繰り返さねばならない。動物にとって負担が大きく、費用もかかる。さらに除角されたサイは自己防衛能力が低下し、社会的な交流や繁殖相手をめぐる競争から引きがちになる。

新しい方法は、痛みも時間もはるかに少なくて済む。1回の処置にかかる費用は1頭当たり2万1500南アフリカ・ランド(約1300ドル)で、効果は5年間持続する。外周フェンスに設置された警告標識によって、動物がタグ付けされていることが明示され、密猟の抑止にもつながっている。

核安全の専門家としてキャリアを積んできたラーキンは、放射性物質がサイの密猟防止に役立つかもしれないと保護活動家から持ちかけられた当初、警戒していたという。誰かが傷ついて自分が刑務所行きになるのは御免だ、と冗談を言っていたほどだ。しかし、傍観者には無害でありながら、角を密輸業者にとって無価値にし、しかも容易に検知できる線量が存在すると気づき、考えを変えた。

密猟者は、たとえ少量の角しか得られなくてもサイを殺す。角は伝統薬の原料として、1キログラム当たり6万ドルで取引されることがあるからだ。だが同位体を加えると、その角は摂取すると危険になりうえ、密輸業者が元に戻すのも難しい。「何を探しているのか分かっている熟練の放射線防護担当者でもない限り、同位体を取り除くのはほぼ不可能です」とラーキンは言う。それでも彼は、ペレットの材料や見た目については口を閉ざしている。「犯罪者を助けたくないのです」と説明する。

南アフリカの保健当局は現在、ライソトープがこのプログラムを国内全域に展開することを承認している。「最終的には年間最大500頭のサイに処置を施すことを目標にしています」と、プロジェクトの最高経営責任者ジェシカ・バビッチは語る。同時にチームは、象牙やセンザンコウの鱗といった他の …

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