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米バッテリー業界に「冬の時代」、ユニコーン企業も競売か
Stephanie Arnett/MIT Technology Review | Adobe Stock, Envato
Brutal times for the US battery industry

米バッテリー業界に「冬の時代」、ユニコーン企業も競売か

かつて10億ドル超の企業価値を誇ったバッテリー新興企業・24Mテクノロジーズが、事業を停止し資産を競売にかけると報じられた。米バッテリー業界では「堅実な案件」でさえ崩壊が相次いでいる。EVブームを支えたはずの革新への熱気は、どこへ消えたのか。 by Casey Crownhart2026.03.13

この記事の3つのポイント
  1. バッテリー業界が数年前の活況から一転し、有力企業の事業停止など企業倒産や投資撤退が相次いでいる
  2. 革新的技術を持つ企業でも資金調達が困難になり、インフレ抑制法削減やEV市場冷え込みで状況が悪化
  3. 中国企業の台頭や定置型蓄電市場の成長など明るい材料はあるものの、業界全体の見通しは厳しい状況
summarized by Claude 3

ほんの数年前まで、バッテリー業界は非常に活況を呈していた。輝かしい新しい化学技術と巨額の資金調達ラウンドを掲げた企業が、次々と登場していた。気候担当記者である私にとって最大の問題は、その山のような情報の中から、最も興味深いニュースを選び出すことだった。

しかし、流れは変わった。2026年の現在、無尽蔵にあるように見えるのはバッテリーの成功談ではなく、つまずきや完全な崩壊のニュースである。企業は倒産し、投資家は手を引き、特に電気自動車(EV)向けバッテリーは、もはや以前ほど魅力的には見えなくなっている。3月9日(月)にジ・インフォメーション(The Information)のスティーブ・レビンは、2010年設立のバッテリー企業である24Mテクノロジーズ(24M Technologies)が事業を停止し、資産を競売にかけると報じた

同社は沈黙を保っているが、これは一連の悪い兆候の最新例であり、しかもかなり大きな出来事である。24Mはかつて10億ドル以上の企業価値があり、その革新的技術は既存技術と組み合わせて活用できる可能性があった。では、バッテリー業界は今後どこへ向かうのだろうか。

近年話題になった多くのバッテリー新興企業は、現在スマートフォン、ノートパソコン、電気自動車、さらには系統用蓄電システムに電力を供給している標準的な技術であるリチウムイオン電池と競合する、新しい革新的な化学系を売り込もうとしてきた。ナトリウムイオン電池や全固体電池などがその例である。

一方、24Mはリチウムイオンからの脱却を売り込んでいたわけではなく、この技術と組み合わせて利用できる改良を提案していた。同社の主要な革新の1つは製造プロセスであり、基本的には材料を金属シートに塗布して電極を形成するというものだ。これは標準的な手法よりもシンプルで、潜在的に低コストの技術だった。

同社のバッテリーでは電極層がより厚く設計されており、これによってセル内の不活性材料の一部が削減され、エネルギー密度が向上した。結果として、より小さなパッケージに多くのエネルギーを蓄えられるため、EVの航続距離を伸ばすことができる。同社は有名な「1000マイルバッテリー」(約1600キロメートル)という目標を掲げていた。

24Mで実際に何が起こったのか、そして同社の技術が今後どうなるのかについては、まだ詳細が明らかになっていない。報道関係社向けのメールアドレスに送った質問には返答がなく、電話にも誰も出なかった。24Mの共同創業者でマサチューセッツ工科大学(MIT)教授であるイェット‐ミン・チェンは、記録に残る形での発言を拒否した。

バッテリー業界を密接に追ってきた人々にとって、こうしたさらなる悪いニュースはそれほど驚きではない。最近は誰もが資金不足に陥っているように感じられ、資金の出し手が慎重になるにつれて、斬新なアイデアへの関心も薄れている。「革新への意欲があまりないように感じられます」と、エネルギー貯蔵分野に焦点を当てたベンチャーキャピタル企業、ボルタ・エナジー・テクノロジーズ(Volta Energy Technologies)のカラ・ロドビー技術主任は語る。

米国の主要なナトリウムイオン電池スタートアップの1社であるナトロン・エナジー(Natron Energy)は、昨年9月に事業を停止した。EV向けバッテリー交換サービス企業のアンプル(Ample)は、2025年12月に破産を申請した。

最近のバッテリー・ブームから失敗が生まれること自体は、もともと予想されていた。あらゆる種類の企業に資金が流れ込み、中には本当に奇抜なアイデアを売り込む企業もあった。しかしここ数カ月で明らかになったのは、比較的堅実と思われていた案件でさえ、バッテリー市場では厳しい状況に直面しているということである。

24Mの技術は既存のリチウムイオン化学系と組み合わせて利用できるよう設計されていたため、既存のバッテリー企業がライセンス供与を受けたり、あるいは買収したりする魅力的な候補となり得たはずだった。「これは、本来ならもっと容易に実現していてもおかしくない事例の好例です」とロドビーは語る。

バッテリーとEVに資金や優遇措置を提供した米国の重要な法律であるインフレ抑制法(Inflation Reduction Act)の主要部分が大幅に削減されたことも、状況を確実に悪化させている。米国のEV市場は冷え込み、自動車メーカーはEVモデルをキャンセルし、工場計画を大幅に縮小している。

とはいえ、明るい兆しもある。中国のバッテリー産業は繁栄しており、同国のバッテリーおよびEVの巨大企業はますます支配力を強めている。定置型エネルギー貯蔵の市場も、米国でさえ依然として前向きな成長の兆しを見せている。

しかし全体として見れば、状況はあまり良いとは言えない。

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MITテクノロジーレビューの気候変動担当記者として、再生可能エネルギー、輸送、テクノロジーによる気候変動対策について取材している。科学・環境ジャーナリストとして、ポピュラーサイエンスやアトラス・オブスキュラなどでも執筆。材料科学の研究者からジャーナリストに転身した。
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