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「木を植えるだけでは…」
100年分の森の記録から
再生の仕組みを探る生態学者
Christian Ziegler
気候変動/エネルギー Insider Online限定
The ecologist revealing the invisible networks that revive rainforests

「木を植えるだけでは…」
100年分の森の記録から
再生の仕組みを探る生態学者

パナマ中部のバロ・コロラドでは、裸地から成熟林まで、100年にわたる森林の変化をたどれる。この調査区を管理する森林生態学者デイジー・デントは、動物による種子散布や、はびこる牧草が森の回復を左右することを明らかにしてきた。植林への関心が高まる中、彼女は「システムそのもの」を再構築する必要性を説く。 by Matthew Ponsford2026.10.13

この記事の3つのポイント
  1. パナマの長期調査区研究により、熱帯雨林の自然再生メカニズムが解明されつつある
  2. 果実食動物による種子散布が森林構造を左右し、自然再生は植林より効率的に炭素を吸収する
  3. 炭素クレジット事業では単一植林に代わり、動物相や残存林を活かした再生支援が重視され始めている
summarized by Claude 3

パナマ中部にある研究拠点では、100年にわたる森林の時間を歩いてたどることができる。低く茂る若い木々の調査区から、成熟した森林が大聖堂のような樹冠を広げる調査区へと移り変わっていく。スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETHチューリッヒ)の上級研究員で森林生態学者のデイジー・デントは、バロ・コロラド自然記念物保護区に点在する、年代の異なる一連の調査区を管理している。中には19世紀までさかのぼるものもある。彼女が調査する木は、1本として人の手で植えられたものではない。生えてくる幹の1本1本を地図に記し、測定し、追跡することで、裸地から樹木の生命の波がどのように立ち上がってくるのかを明らかにしている。

このような熱帯雨林は地球最大の陸上炭素吸収源であり、陸地に蓄えられた炭素のおよそ40%を占めている。国際的な研究者ネットワークの一員として、デントは、一部の森林が破壊後に回復できる仕組みを支える、動植物の相互作用のネットワークを解明しようとしている。その目標は、単一樹種を広大な面積に植える一般的な炭素クレジット制度に代わる、低コストで効果の高い手段を見つけることだ。10年以上にわたり、彼女の研究は、こうした大規模な「単一栽培」プログラムが高くつく過ちになりかねないこと、そして、より回復力の高い森林なら、わずか数十年で自然に再生し、膨大な量の二酸化炭素を吸収する生態系を再構築できることを示す証拠を積み重ねてきた。

これを示すのにうってつけの場所が、バロ・コロラドだ。1914年にパナマ運河の建設によってこの一帯が水没して生まれた、森林に覆われた半島と島々からなる保護区である。スミソニアン熱帯研究所の管理の下、何世代にもわたる生態学者たちが100年以上にわたる記録を蓄積してきた。

そのおかげでデントは、農業や林業のために皆伐された後、一部の調査区が回復する一方で、他の調査区では回復が進まない理由をたどることができる。クモザル、コウモリ、オウムなどの果実食動物は、熱帯雨林の樹木の70%以上を育む種子散布を担っており、デントのデータセットからは、どの動物が栄養豊富な糞とともに種子を落とし、それぞれの樹林を作り上げたのかが分かる。多くの動物が協力し、古代のジャングルに迫るほど見事な構造と豊かさを備えた、林齢70年の多様な森林を作り上げた例もある。対照的に、同じくらいの年代でありながら、長寿命の単一樹種グスタヴィア・スペルバ(Gustavia superba)の細い幹ばかりが生えている調査区もある。これは、アグーチと呼ばれる熱帯のげっ歯類が、この比較的均質な森林を作ったほぼ唯一の「動物の建築家」であることを示唆している。

彼女が収集するデータは、生態系をいつ自然の再生に任せ、いつ人の手を加えるべきかを判断するための指針作りに役立っている。ネイチャー(Nature)誌に掲載された2024年の推計によると、世界中でおよそ2億1500万ヘクタール(メキシコの国土面積を上回る広さ)の森林が自然に再生し得るという。「熱帯雨林は、この膨大な相互作用のネットワークに支えられています」とデントは言う。樹木が養分を吸収するのを助ける菌類や、送粉者、種子散布者といった生物同士の相互作用のことだ。こうした関係性を支えることが、炭素を固定し、地域社会や野生生物の維持にも貢献する森林を育てる鍵となる。

空白を埋める

ちょうど10年余り前、画期的なパリ協定が成文化されつつあった2015年、森林再生が気候危機の解決策として世界の注目を集めた。生態学者トーマス・クラウザーが、森林には世界の炭素排出量10年分を吸収できる可能性があると指摘す …

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