KADOKAWA Technology Review
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Weight-loss drugs: 10 Breakthrough Technologies 2024 痩せ薬

食欲を抑えることで減量を助けるウゴービやマンジャロのような肥満症治療薬が米国で承認され、人気となっている。これらの薬は効果があるが、高価で保険も効かないうえ、健康への長期的な影響はまだ不明だ。

by Abdullahi Tsanni 2024.01.19
JENNIFER DIONISIO
キープレイヤー
イーライリリー(Eli Lilly)、ノバルティス(Novartis)、ノボ・ノルディスク(Novo Nordisk)、ファイザー、バイキング・セラピューティクス (Viking Therapeutics)
実現時期
実現済み

米国では成人の3分の1が肥満であり、心臓病、糖尿病、がんにかかりやすい状態にある。この公衆衛生の危機に対処するのに、「ウゴービ(Wegovy)」や「マンジャロ(Mounjaro)」などの抗肥満薬が役立つ可能性がある。

レディット(Reddit)やティックトック(TikTok)などのネット上では、いたるところで成功例が語られている。2つの人気薬を開発したノボ・ノルディスク(Novo Nordisk)は利益が急増し、薬局は在庫を確保するのに苦労している。

このような薬は、食欲を抑えることで減量を助ける。そのほとんどは、もともと2型糖尿病の治療薬として開発されたものだが、2021年6月、ウゴービが2014年以来初めて体重管理薬として承認された。ウゴービと減量を目的として適応外処方されることが多い糖尿病治療薬「オゼンピック(Ozempic)」の有効成分であるセマグルチドは、食後に腸から分泌されるホルモンを模倣し、満腹感をもたらす。患者は週1回自宅で薬を注射し、体重の約12%から15%を減らすことができる(が、その後、多くの患者に停滞期が訪れる)。

このような減量薬は完璧ではない。一般的な副作用として、吐き気、下痢、嘔吐などがある。多くの患者は、体重を維持するために一生薬を飲み続けなければならず、このような治療法の長期的な影響は不明のままだ。また、減量薬は高価で、1か月あたり1000ドル以上かかり、ほとんどの保険プランでは減量目的で保険は適用されない。

とはいえ、このような治療法は何百万もの人々の健康を改善する可能性がある。心不全の症状を緩和するという研究もある。現在、数十社がこのような減量薬の新バージョンを開発中で、その中には経口摂取できるものもある。

米国食品医薬品局(FDA)は2023年11月、イーライリリーの糖尿病治療薬「ゼップバウンド(Zepbound)」を肥満症治療薬として承認した。現在、約70の新しい肥満治療薬が開発中で、そのうち6つは規制当局の審査を待っている

需要の急増にともない、今後1年間、より多くの企業が治験の最終段階に入り、承認を求めることが予想される。

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