KADOKAWA Technology Review
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Exascale computers: 10 Breakthrough Technologies 2024 エクサスケール・コンピューター

スーパーコンピューターはついに毎秒100京回の演算が可能なエクサスケールの時代に突入した。シミュレーションで実行できることの限界が広がることで、科学の各分野の進展が期待される。

by Sophia Chen 2024.01.19
Simoul Alva
キープレイヤー
オークリッジ国立研究所、ユーリッヒ・スーパーコンピューティングセンター、中国・無錫(むしゃく)のスーパーコンピューティング・センター
実現時期
実現済み

2022年5月、「フロンティア(Frontier)」の登場によって世界のスーパーコンピューター・ランキングが大きく動いた。今や世界最速のスーパーコンピューターとなったフロンティアは、1秒間に100京回(1018)以上の浮動小数点演算を実行できる。その数は1の後にゼロが18個続くものであり、エクサフロップという呼び方でも知られている。基本的に、フロンティアは10万台のノートパソコンで実行するのと同じ量の計算を、1秒間で実行できることになる。

テネシー州のオークリッジ国立研究所にあるフロンティアの登場により、エクサスケール・コンピューティングの時代が正式に幕を開けた。さらに数台のエクサスケール・コンピューターが、まもなくランキングに加わる予定だ。米国では、研究者たちがフロンティアの約2倍の速さになる予定の2台のマシンを導入しようとしている。カリフォルニア州にあるローレンス・リバモア国立研究所の「エル・キャピタン(El Capitan)」と、イリノイ州にあるアルゴンヌ国立研究所の「オーロラ(Aurora)」である。ヨーロッパ初のエクサスケール・スーパーコンピューターとなる「ジュピター(Jupiter)」は、2024年後半に稼働が始まる見込みだ。中国もエクサスケール・マシンを保有していると伝えられるが、標準的なベンチマークテストの結果は公表されていない。

科学者やエンジニアたちは、それらのターボチャージャー付きコンピューターを利用して、さまざまな分野の進展につなげようと躍起になっている。天体物理学者たちはすでに、天の川銀河を出入りするガスの流れをモデル化するため、フロンティアを使用している。それらのモデルは銀河系規模で動きをシミュレーションするだけでなく、爆発する星に焦点を絞ることもできる。この応用事例は、物理的な対象物を複数の規模で同時にシミュレーションできる、スーパーコンピューターのユニークな能力を示している。

進歩はここで止まらない。過去30年にわたり、スーパーコンピューターは約4年ごとに10倍くらいずつ速くなってきた。そして、これらのマシンの管理者たちは、すでに次のモデルの計画を進めている。オークリッジ国立研究所のエンジニアたちは、フロンティアよりも3倍から5倍速くなるスーパーコンピューターを設計中であり、今後10年以内に公開される可能性が高い。

しかし、1つの大きな課題が立ちはだかる。エネルギー消費量だ。フロンティアはすでに革新的な省エネルギー技術を採用しているが、アイドリング中でも数千世帯分の電力を消費する。エンジニアたちは、スピードだけでなく、環境的な持続可能性も考慮に入れて、これらの巨大マシンの構築方法を考案しなければならなくなるだろう。

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