KADOKAWA Technology Review
×
ISS内の「異音」から危険を察知、NASAとボッシュがロボットへ搭載
Bosch
宇宙 Insider Online限定
NASA will use a robot to listen out for danger on the ISS

ISS内の「異音」から危険を察知、NASAとボッシュがロボットへ搭載

NASAとボッシュは、国際宇宙ステーション(ISS)内で発生した危険の兆候を検出するために、マイク一式を搭載した音響監視システムを開発した。ISS内を飛び回って宇宙飛行士の作業を支援する自律型小型ロボットに搭載し、気になる異音がないか耳をそばだてる。 by Neel V. Patel2019.11.08

時速130キロメートルで高速道路を運転している時にこれまで聞いたこともないような変なブンブンという音がし始めたら、何か悪いことが起こっていると気づくはずだ。時速2万7600キロメートルで地球の上空409キロメートルを周回する金属の塊、つまり国際宇宙ステーション(ISS)の中に座っているときにも同じ原理が当てはまる。宇宙ステーションに何らかの問題がある時には、ガチャガチャ、ブンブン、キーキーと不安を掻き立てるような音がするものだ。

しかし、危険性のある可能性をはらんだ音の多くは人間の耳には聞こえない。たとえば、昨年宇宙ステーションで見つかった空気の漏出を見てみよう。直径2ミリの穴が見つかって塞がれるまでにほぼ1日かかった。このときは、乗組員には差し迫った危険をもたらさなかったが、すべての漏出がこれと同様に脅威がないとはいえない。幸いにも漏出があるときには、超音波周波数のノイズが発生する。これらの音を測定できるツールがあれば、漏出が発生したときに乗組員に警告を出すことができるはずだ。

「音はそれ自体が、環境について多くのことを教えてくれます」と語るのは、多国籍企業ボッシュの北米支社の研究者であるサマルジット・ダースだ。スマート・スピーカーが人工知能 (AI)をどのように使って音声認識の精度を向上させ、その環境で認識する音響パターンの意味を理解しているかはすでに知られている。これらの手法を機械に適用することで、「完 …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. A tiny new open-source AI model performs as well as powerful big ones 720億パラメーターでも「GPT-4o超え」、Ai2のオープンモデル
  2. The coolest thing about smart glasses is not the AR. It’s the AI. ようやく物になったスマートグラス、真価はARではなくAIにある
  3. Geoffrey Hinton, AI pioneer and figurehead of doomerism, wins Nobel Prize in Physics ジェフリー・ヒントン、 ノーベル物理学賞を受賞
  4. Why OpenAI’s new model is such a big deal GPT-4oを圧倒、オープンAI新モデル「o1」に注目すべき理由
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者は11月発表予定です。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る