KADOKAWA Technology Review
×
「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集中!
「察するアレクサ」への転換
アマゾン幹部が語った、
AIアシスタントの未来
Ms Tech / source: Amazon
人工知能(AI) Insider Online限定
Amazon wants Alexa to run your life. First, it must know everything about you

「察するアレクサ」への転換
アマゾン幹部が語った、
AIアシスタントの未来

「アレクサ」と呼びかけなくても、ユーザーのあらゆるニーズを察知し、生活全般を支援する——。そんなAIアシスタントの未来へ向けた取り組みをアマゾン・アレクサ部門の研究責任者が語った。 by Karen Hao2019.12.03

私が音声アシスタント「アレクサ(Alexa)」を使い始めたのは、まだ世の中で重宝され始める前のことだった。新しいスピーカーを探しているときにアマゾンのサイトのバナー広告で第1世代のエコー(Echo)を目にし、発売から数カ月後に購入した。グーグルのソフトウェア・エンジニアだった当時のルームメイトは、アレクサの機能をグーグル・アシスタントの機能と熱心に比較した。実際、アレクサの機能はグーグル・アシスタントに匹敵するものではなかったが、私が望むすべてがあった。お気に入りの曲を再生し、毎朝アラームを鳴らし、時々ニュースと天気を教えてくれた。

5年後、アマゾンの野望は私の単純な望みを大きく上回った。どこででも手に入るようになったアレクサは現在、テレビからドアベル、イヤホンに至るまで8万5000以上のスマート・ホーム製品をコントロールできるようになった。実行できる「スキル」は10万本を超え、その数は現在も増え続けている。週に数十億件のやり取りを処理し、ユーザーのスケジュールや好み、居場所に関する膨大な量のデータを生成している。シンプルなアレクサはアレクサ「帝国」に変貌を遂げた。そして、アマゾンはまだその入口に立っただけにすぎない。

アレクサのロヒット・プラサード研究責任者は、MITテクノロジーレビューのインタビューで、アレクサの今後の方向性についての詳細を明らかにした。計画の中心は、アレクサのユーザーとの対話を、受動的なものから、ニーズを察知する積極的な対話へ変えることだ。指示が出されるまで待ち、応答するのではなく、ユーザーが望むものを予測するようになる。いつでもどこでも一緒にいて積極的にユーザーの生活全般に影響を与え、支援する伴侶にアレクサを変えることを目指す。そのためには、アレクサがこれまで以上にユーザーについて詳しく知る必要がある。

ポルトガルのリスボンで開催されたテクノロジー・カンファレンス「ウェブサミット2019(WebSummit 2019)」で11月5日、プラサード責任者はアレクサの今後のビジョンの要点を説明した。だが、アレクサの方向性の転換についてはすでに少し紹介済みだ。6月に開催されたアマゾンのカンファレンス「リマーズ(Re:MARS)」で、プラサード責任者は新機能「アレクサ・カンバセーションズ(Alexa Conversations)」をデモし、夜の外出計画を例に挙げてどのように役立つかを示した。外出に関連する複数の指示を1つずつアレクサに依頼する代わりに、たとえば映画チケットの予約指示から会話を開始するだけで済む。その後、アレクサはレストランの予約をしたいか、ウーバー(Uber)に電話したいかと質問してくる。

この転換を強力に推し進めるため、アマゾンにはハードウェアとソフトウェアの両方が必要だ。アマゾンは9月、ワイヤレス・イヤフォンの「エコー・バズ(Echo Buds)」やスマート指輪の「エコー・ループ(Echo Loop)」など、「外出時」に使えるアレクサ関連デバイスをまとめて発表した。新製品はすべて、ユーザーの生活に関してこれまでよりも格段に広範囲の情報をアレクサに送り込み、データを記録する。ユーザーの居場所、行動、好みの情報を持つアシスタントを提供するには好都合だ。

ソフトウェアの観点で言えば、このようなアシスタントを実現するために、アレクサは新しい手法でさまざまな異なる情報源のデータを処理および理解する必要がある。プラサード責任者のチームはこれまで5年間、基本的な音声認識やビデオ認識など、アレクサに人工知能(AI)の基礎を習得させ、自然言語の理解の向上に注力してきた。これまで構築してきた基盤の上に、チームは現在、アレクサのインテリジェントな予測および意思決定能力の開発を始め、より高度な推論のための能力を強化している。言い換えれば、数年以内にアレクサのAI能力の精度向上を目標としている。

さらに高い知能を持つアレクサ

ソフトウェア・アップデートでアレクサがどの …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Lego bricks are making science more accessible 科学を身近にするレゴブロック、大学の実験装置にも応用
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2024 「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集のお知らせ
  3. AI companies are finally being forced to cough up for training data 「訓練データはタダではない」音楽業界が問う生成AIの根本的問題
  4. AI lie detectors are better than humans at spotting lies 人間よりも優秀な「AIうそ発見器」は社会に何をもたらすか?
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年も候補者の募集を開始しました。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る