KADOKAWA Technology Review
×
「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集中!
「盛らない」SNS
マイクロネットワークは
ポストFBの主流になるか
Tech Review
人間とテクノロジー 無料会員限定
Why private micro-networks could be the future of how we connect

「盛らない」SNS
マイクロネットワークは
ポストFBの主流になるか

ソーシャルメディアの新しい波が生まれようとしている。昨年11月に始まった「コクーン(Cocoon)」は、「いいね」を集めたり、人格を取り繕ったりしがちな旧来のソーシャルメディアと異なり、限られた人と本当の自分でいるためのアプリだ。 by Tanya Basu2020.01.31

当時大学1年生だったジャスミン・サンはある朝、母親からメッセージを受け取った。「授業はどうしたの? どうしてまだ寮にいるの?」

シアトル在住のジャスミンの母、ジョアン・チェンは、居場所共有サービス「ライフ360(Life360)」の画面に表示されるジャスミンのカーソルが、まだスタンフォード大学の寮にあることに気づいたのだ。ライフ360は、家族がお互いの居場所をチェックするためのサービスだ。多くの大学生と同様に、ジャスミンはその日、寝過ごして講義に出ていなかった。母親にはあまり知られたくない事実だった。

「母はライフ360を気に入っていました」。現在、学期を過ごしているオックスフォード大学の寮で、当時を振り返りながらジャスミンは低い声で言った。「けれど私には、共有したい情報を選ぶことができませんでした」。

ジャスミンの家族はいま、知りたいことを知りたいときに共有する方法を手にいれている。オックスフォードへの冬季留学を控えていた11月、ジャスミンは、母とまだ家にいる10代の妹に、発表されたばかりのあるアプリをダウンロードするようやんわりと勧めた。元フェイスブック従業員のアレックス・コーネルとサチン・モンガが開発した「コクーン(Cocoon)」と呼ばれるアプリだ。

https://www.youtube.com/watch?v=IjZURFLIglk

説明だけを読めばコクーンはフェイスブックによく似ている。どちらもバーチャル空間で人々がつながるというものだ。違いは、コクーンでは、小規模な自分たちだけのグループの中で、家族同士だけがつながるということ。家族からの近況のフィードの更新があると想像してほしい。たとえば兄弟の誰かが出張先にいつ着いたかという知らせや、立って歩き始めた姪っ子の映像、あるいはヨーロッパ各地でバックパッキングをしているいとこの居場所を示すカーソルなどが、スレッド形式のメッセージアプリ上に表示される。これらはどれもグループのメンバー(現在、最大12人まで)以外が見ることはない。

「表示されるのは必ずしも、最高の瞬間をみんなに見せびらかしたり、自分のアイデンティティを取り繕ったり、地位を得ようとしていたりするについてではありません」とモンガは語る。「親しい人たちとだけ同じ空間を共有するのです。そこにネットワークはありません」。

コクーンは、ソーシャルメディアでの交流の仕方を変えようとするアプリの新しい波の1つだ。こうしたアプリは「いいね」やフォロワーを集めたり、オンライン上の人格を必死に作り上げたりすることを勧めない。その代わり、選ばれた少数の人とのつながりを作ることが軸に据えられている。

ケビン・サンが創業したデックス(Dex)のような人間関係管理アプリは、旧来の企業向け顧客関係管理ソフト(CRM)をしばしば活用している。CRMは信頼できて面白味のないエクセルのシートのようなものだ。連絡を取る相手の名前と、その相手に関連する情報、たとえば誕生日やクセ、好きなものなどを記録するのに使われる。

「私も以前、友達関係や個人的な人間関係を管理するためにスプレッドシートを使っていました」と語るのは、デックスのサン創業者だ。デックスはいわば個人向けCRMであり、同社のWebサイトでは「人間関係を築くスーパーパワーをあなたに」と謳われている。

モナル(Monaru)を創業した3人のアイルランド人学生は、大学を卒業して米国に渡り、そこで居場所がないように感じていた。モナルは、会員が誕生日を覚えるためのサポートにバーチャル・コンシェルジュを使い、プレゼントを買ったり親戚に電話をしたりするようリマインダーを送る。共同創業者のパトリック・フィンレーはエクセルを駆使し、大切な人に電話をするよう伝えるリマインダーを作ったが、プライベートと仕事とを絡み合わせるのは「おかしなことだ」と気づいた。そこでモナルの出番となる。料金を支払うと、友達や …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Lego bricks are making science more accessible 科学を身近にするレゴブロック、大学の実験装置にも応用
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2024 「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集のお知らせ
  3. Why artists are becoming less scared of AI 見えてきた「生成AIの限界」がアーティストの不安を取り除く
  4. A way to let robots learn by listening will make them more useful 見落とされてきた「耳」、音を学んだロボットはもっと賢くなる
  5. How fish-safe hydropower technology could keep more renewables on the grid 水力発電の環境負荷を軽減、魚と共生する次世代タービン
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年も候補者の募集を開始しました。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る