KADOKAWA Technology Review
×
新型コロナが浮き彫りにする、テック業界の「不平等」な現実
Associated Press
Coronavirus is revealing the gig economy’s sharp inequalities

新型コロナが浮き彫りにする、テック業界の「不平等」な現実

新型コロナウイルス感染症の拡大により、正規雇用者に与えられるような保護を受けられない請負業者が大きな痛手を被っており、テック分野に蔓延する不平等が明らかになっている。 by Charlotte Jee2020.03.19

新型コロナウイルスのアウトブレイクが拡大し、正規雇用者に与えられる保護が受けられない請負業者に恐怖と混乱を引き起こしている。

多くのテック企業が社員に在宅勤務を指示しているが、ドライバーや宅配便業者など現場で働く人たちにとってはそれは不可能な話だ。時間給で賃金が支払われる請負業者は、出勤しなければ収入はゼロだ。「私たちのような二級市民の地位にあることは今や、健康に関して文字通り影響を被るということです」。グーグルの請負業者であるジョシュ・ボーデンはガーディアン(Guardian)紙に語った。

ウーバー(Uber)は、コロナウイルスの検査で陽性となったライダーやドライバーのアカウントを停止する可能性があると3月11日に述べた(どのように実施するかは明らかではない)。アマゾンは、アウトブレイクの間は、同社の労働者が倉庫に来ない場合でも出勤点を差し引かないと述べた。そして、アマゾン、インスタカート(Instacart)、ドアダッシュ(DoorDash)、ウーバー、リフト(Lyft)の各社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と診断されたり、隔離されたりしたことを示せば、自社のギグワーカー(単発で仕事を請け負う労働者)に最大2週間の疾病手当を支給すると約束した。請負業者が医療費を支払うのを支援するための資金を用意している企業もある。

ただし、こうした対策は今のところ、労働者の不安を払拭するのに大きな効果を発揮していないようだ。「今週配達したとき、玄関を開けると体調が悪そうに見えたお客がたくさんいました。隔離中の人たちだったらどうすればいいのでしょうか。配達する度にリスクに身を晒すことになりますが、避ける方法はありません」と、多くのドライバーや宅配業者と同様に複数のアプリで仕事をする人物はメル(MEL)マガジンに語った。

いまのところ、人々は目の前の日々や一週間一週間をただやりくりすることに集中しているようだ。だが、新型コロナウイルスによって、テック分野に蔓延する不平等が痛々しいほど明らかになっている。インスタカートの労働者たちは先月、投票で労働組織化することを決めた。他がこれに続くかどうか、今後が注目される。

(関連記事:新型コロナウイルス感染症に関する記事一覧

人気の記事ランキング
  1. OSIRIS-REx collected too much asteroid material and now some is floating away NASA探査機、小惑星のサンプル採取に成功も多過ぎて蓋が閉まらず
  2. Half the Milky Way’s sun-like stars could be home to Earth-like planets 「地球2.0」候補、天の川銀河に3億個以上存在か? 最新研究
  3. We just found a source for one of the most mysterious phenomena in astronomy 謎の天文現象「高速電波バースト」の発生源、最新研究で明らかに
  4. One in five covid-19 patients are diagnosed with a mental illness within 90 days 新型コロナ患者の5人に1人、回復後に精神疾患と診断
シャーロット・ジー [Charlotte Jee]米国版 ニュース担当記者
米国版ニュースレター「ザ・ダウンロード(The Download)」を担当。政治、行政、テクノロジー分野での記者経験、テックワールド(Techworld)の編集者を経て、MITテクノロジーレビューへ。 記者活動以外に、テック系イベントにおける多様性を支援するベンチャー企業「ジェネオ(Jeneo)」の経営、定期的な講演やBBCへの出演などの活動も行なっている。
Innovators Under 35 Japan 2020

MITテクノロジーレビューが主催するグローバル・アワード「Innovators Under 35」が2020年、日本に上陸する。特定の分野や業界だけでなく、世界全体にとって重要かつ独創的なイノベーターを発信していく取り組みを紹介しよう。

記事一覧を見る
人気の記事ランキング
  1. OSIRIS-REx collected too much asteroid material and now some is floating away NASA探査機、小惑星のサンプル採取に成功も多過ぎて蓋が閉まらず
  2. Half the Milky Way’s sun-like stars could be home to Earth-like planets 「地球2.0」候補、天の川銀河に3億個以上存在か? 最新研究
  3. We just found a source for one of the most mysterious phenomena in astronomy 謎の天文現象「高速電波バースト」の発生源、最新研究で明らかに
  4. One in five covid-19 patients are diagnosed with a mental illness within 90 days 新型コロナ患者の5人に1人、回復後に精神疾患と診断
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.1/Autumn 2020
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.1/Autumn 2020AI Issue

技術動向から社会実装の先進事例、倫理・ガバナンスまで、
AI戦略の2020年代のあたらしい指針。

詳細を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る