KADOKAWA Technology Review
×
10/9「生成AIと法規制のこの1年」開催!申込み受付中
新型コロナが浮き彫りにする、テック業界の「不平等」な現実
Associated Press
Coronavirus is revealing the gig economy’s sharp inequalities

新型コロナが浮き彫りにする、テック業界の「不平等」な現実

新型コロナウイルス感染症の拡大により、正規雇用者に与えられるような保護を受けられない請負業者が大きな痛手を被っており、テック分野に蔓延する不平等が明らかになっている。 by Charlotte Jee2020.03.19

新型コロナウイルスのアウトブレイクが拡大し、正規雇用者に与えられる保護が受けられない請負業者に恐怖と混乱を引き起こしている。

多くのテック企業が社員に在宅勤務を指示しているが、ドライバーや宅配便業者など現場で働く人たちにとってはそれは不可能な話だ。時間給で賃金が支払われる請負業者は、出勤しなければ収入はゼロだ。「私たちのような二級市民の地位にあることは今や、健康に関して文字通り影響を被るということです」。グーグルの請負業者であるジョシュ・ボーデンはガーディアン(Guardian)紙に語った。

ウーバー(Uber)は、コロナウイルスの検査で陽性となったライダーやドライバーのアカウントを停止する可能性があると3月11日に述べた(どのように実施するかは明らかではない)。アマゾンは、アウトブレイクの間は、同社の労働者が倉庫に来ない場合でも出勤点を差し引かないと述べた。そして、アマゾン、インスタカート(Instacart)、ドアダッシュ(DoorDash)、ウーバー、リフト(Lyft)の各社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と診断されたり、隔離されたりしたことを示せば、自社のギグワーカー(単発で仕事を請け負う労働者)に最大2週間の疾病手当を支給すると約束した。請負業者が医療費を支払うのを支援するための資金を用意している企業もある。

ただし、こうした対策は今のところ、労働者の不安を払拭するのに大きな効果を発揮していないようだ。「今週配達したとき、玄関を開けると体調が悪そうに見えたお客がたくさんいました。隔離中の人たちだったらどうすればいいのでしょうか。配達する度にリスクに身を晒すことになりますが、避ける方法はありません」と、多くのドライバーや宅配業者と同様に複数のアプリで仕事をする人物はメル(MEL)マガジンに語った。

いまのところ、人々は目の前の日々や一週間一週間をただやりくりすることに集中しているようだ。だが、新型コロナウイルスによって、テック分野に蔓延する不平等が痛々しいほど明らかになっている。インスタカートの労働者たちは先月、投票で労働組織化することを決めた。他がこれに続くかどうか、今後が注目される。

(関連記事:新型コロナウイルス感染症に関する記事一覧

人気の記事ランキング
  1. Promotion MITTR Emerging Technology Nite #30 MITTR主催「生成AIと法規制のこの1年」開催のご案内
  2. A brief guide to the greenhouse gases driving climate change CO2だけじゃない、いま知っておくべき温室効果ガス
  3. Why OpenAI’s new model is such a big deal GPT-4oを圧倒、オープンAI新モデル「o1」に注目すべき理由
  4. Sorry, AI won’t “fix” climate change サム・アルトマンさん、AIで気候問題は「解決」できません
シャーロット・ジー [Charlotte Jee]米国版 ニュース担当記者
米国版ニュースレター「ザ・ダウンロード(The Download)」を担当。政治、行政、テクノロジー分野での記者経験、テックワールド(Techworld)の編集者を経て、MITテクノロジーレビューへ。 記者活動以外に、テック系イベントにおける多様性を支援するベンチャー企業「ジェネオ(Jeneo)」の経営、定期的な講演やBBCへの出演などの活動も行なっている。
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年も候補者の募集を開始しました。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る