KADOKAWA Technology Review
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Using Drones to Bathe the World in Internet Isn’t Working Out So Great

グーグルとフェイスブック、ドローンによるネット接続事業で失敗

アルファベットはプロジェクトを中止し、フェイスブックもうまくいっていない。 by Jamie Condliffe2017.01.13

シリコンバレーの大手テック企業にとって、へき地にインターネット接続をもたらす解決策は簡単そうだった。ドローンや気球、人工衛星を飛ばせばいいと考えて着手してはみたものの、成功しているとはいえない状態だ。

アルファベット(グーグル)は、「タイタン」と呼称していたドローン・プロジェクトを終了すると発表した。アルファベットはデータ接続を上空から提供するアイデアを実験していたが、実際には、同社のX研究所は2016年初頭には飛行機に関する実験を停止しており、公式にプロジェクト中止の決定を発表したことになる。

一方で、アルファベットが力を入れている「ルーン」プロジェクトでは、ドローンではなく成層圏に達する気球でインターネットを提供する。アルファベットの広報担当者は「現時点の経済的・技術的条件から、世界中の非都市部やへき地にインターネット接続を提供する方法として、プロジェクト・ルーンは実現可能性がより高い方法です」としている。

フェイスブックも同様にドローンでインターネット接続を提供しようとしていたが、問題に直面している。フェイスブックは昨夏、成層圏からインターネットを提供するドローン「アクィラ(Aquila)」の最初の試験飛行を成功させたが、後になって着陸時に大破していたことがわかったのだ。米国家運輸安全委員会の調査によれば、強風により、ドローンのオートパイロット・システムが飛行機の機首を下げてしまい、着陸時の速度を上げてしまったことが判明した。

この事故は、ドローンでインターネット接続を提供する際の大きな問題を示している。この種の航空機は、高い高度で飛行するよう設計され、飛行エリアの地上に安定した接続を確保できるように成層圏で旋回する。だが、その高度では乱気流が非常に強いことがある。

何日間、何週間、あるいはさらに長期間、飛行し続けることになるので、航空機は太陽光発電と電池に頼ることになり、機体をとても軽くしなければならない。フェイスブックのドローン「アクィラ」の翼長はボーイング737号機よりも長く、炭素繊維製の機体重量は約454kg未満だ。それでも設計者はさらに軽量化したいという。

設計上の制約はかなりのものだ。ドローンは羽根のように軽く、頑丈で飛行時に安定しなければならない。昨夏の不時着から判断すると、アクィラは頑丈さと飛行時の安定性に問題がある。

とはいえ、アルファベットにもフェイスブックにも別のインターネット接続計画がある。アルファベットはルーン計画に力を入れようとしており、フェイスブックは人工衛星によるインターネット接続の提供にも関心がある。昨年、フェイスブックのコネクティビティ研究所を率いるヤエル・マグワイア所長は、人工衛星はドローンの研究より優先順位が低いと述べた。優先順位が今でも変わらないのかは興味深い。

(関連記事:Bloomberg, The Guardian, “Facebookのユーザーをさらに40億人増やす3つの方法,” “フェイスブックのインターネット普及構想は失敗続き,” “Alphabet and Facebook’s Stratospheric Internet Plans Get Tangled in High-Altitude Red Tape”)

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ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
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