KADOKAWA Technology Review
×
Innovators Under 35 Japan 2026 候補者募集開始!
米国で広がる「宿題格差」
デジタル化阻む意外な問題
Jonathan Newton/The Washington Post via AP, Pool
人間とテクノロジー 無料会員限定
Why the “homework gap” is key to America’s digital divide

米国で広がる「宿題格差」
デジタル化阻む意外な問題

パンデミックによる学校閉鎖で、インターネットを利用できない子どもたちが学習に後れを取る教育格差の問題が明らかになった。米国連邦通信委員会のジェシカ・ローゼンウォーセル委員に解決方法を聞いた。 by Tanya Basu2020.10.19

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが起こったとき、保護者たちは大慌てで子どもたちのオンライン授業に使えるデバイスを入手した。だが、すべてがうまくいったわけではなかった。オンライン授業を実施するにあたって大きな障壁のひとつとなったのは、自宅で複数の人を同時に、数時間にわたってオンライン接続することだった。そして別の障壁として、地域全体をインターネットに繋げることがあった。

米国連邦通信委員会(FCC)のジェシカ・ローゼンウォーセル民主党主席委員は驚かなかった。ローゼンウォーセルは数年にわたって「宿題格差(homework gap)」について話をしてきた。この造語は、インフラが不十分であるか、家族に余裕がないか、あるいはその両方が原因となり、子どもたちがインターネットにアクセスできない地域が直面する問題を説明するために彼女が作ったものだ。

現在、人々の関心は高まっている。特に、ジョー・バイデンが大統領に選出された場合、ローゼンウォーセル委員がFCCの議長に任命されるのではないかという噂が飛び交っているためだ(ハッチ法に従い、ローゼンウォーセルはこの噂を事実と認めていない)。

FCCの現在のブロードバンド基準は、ダウンロード速度が最低25メガビット毎秒(Mbps)で、これはネットフリックスの4Kストリーミングの最低接続速度だ。しかし、シンクタンクのピュー研究所(Pew Research Center)の調査では、米国の農村部の3分の1ではブロードバンドにアクセスできておらず、その速度は不明だ。一方でピュー研究所のデータは、都会と郊外の世帯の約4分の3がブロードバンドにアクセスできていることを示しているが、これは疑ってかかった方がいい。現在のFCCのマッピングでは、1世帯でもブロードバンドにアクセスしていれば、同じ郵便番号の世帯ではブロードバンドが提供されているとみなしている。

こうした問題を考慮し、ローゼンウォーセル委員はFCCに「Eレイト(E-Rate)プログラム」をアップデートするよう懸命に働きかけている。Eレイト・プログラムは連邦政府が1996年に始めた教育テクノロジーサービスで、学校や図書館に割引価格でインターネット・アクセスを提供するプログラムだ。

Eレイト・プログラムを使用して宿題格差に取り組む計画について、ローゼンウォーセル委員に話を聞いた(このインタビューは編集、要約している)。

◆◆◆

——「宿題格差」という言葉はどのように思いついたのですか?

米国連邦通信委員会(FCC)のメンバーになったとき、出張中にEレイト・プログラムの恩恵を受けている学校を訪問しようと決めました。そしてあることに気づきました。米国内の大都市も地方都市も、都会も田舎もまわりましたが、どこに行っても教師や管理職の方々からまったく同じ話を聞きました。「Eレイト・プログラムはすばらしいです。今はすべての教室で使用できるデバイスがあります。でも生徒たちは夜、家に帰ると、みんながみんな信頼性の高いインターネットアクセスを利用できるわけではありません。全生徒が学外で信頼性の高い接続を確実に利用できる状態でないと、教師は宿題を出しにくくなります」と言う …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. It’s time to address the looming crisis in entry-level work. 「コーディングを学べ」もう通用せず、AIが若者の雇用を奪い始めた
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2026 「Innovators Under 35 Japan」2026年度候補者募集のお知らせ
  3. Anthropic’s Code with Claude showed off coding’s future—whether you like it or not 「Claudeに任せてしまおう」 たった1年で激変したソフトウェア開発
▼Promotion
社会実装都市「ひろしま」の魅力に迫る ローカル ✕ イノベーション
MITテクノロジーレビューが選んだ、AIの10大潮流 [2026年版]

AIをめぐる喧騒の中で、本当に目を向けるべきものは何か。この問いに対する答えとして、MITテクノロジーレビューはAIの重要なアイデア、潮流、新たな進展を整理したリストを発表する。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る