史上最も詳細な天の川銀河の3Dマップ、ESAが公開
欧州宇宙機関の宇宙望遠鏡「ガイア」が収集したデータで作成された、新しい3D星図が公開された。 by Neel V. Patel2020.12.16
欧州宇宙機関(European Space Agency:ESA)の宇宙望遠鏡「ガイア(Gaia)」が収集したデータを使用して、史上最も詳細な銀河系の3D星図が作成された。最新のデータセットは、科学者が宇宙の膨張や太陽系の未来についての謎を解き明かすのに役立つかもしれない。
宇宙望遠鏡「ガイア」は、できるだけ多くの銀河系の恒星を観測する目的で2013年に打ち上げられた。約10億個の恒星一覧の作成を目標に、これまでのどの機器よりも正確に恒星の位置、距離、動き、明るさを測定するように設計されている。各恒星を約70回観察するよう設計されており、2000キロメートル離れた場所から髪の毛1本の幅を測定できるほどの精度で、時間の経過に伴う動きと速度を追跡できる。
最新のデータは20億個弱の恒星の位置と動きを正確に示し、太陽系から326光年以内の約30万個の星を高精度に測定している。新しい星図は、天の川銀河の周りの太陽系の軌道が、銀河系の中心に向かって毎秒7ミリメートル加速していることを示している。
ガイアに与えられたミッションの目的は、銀河系の星の動きを垣間見ることだけではない。このデータは、天の川銀河が時間の経過とともにどのように形成されたか、太陽系や他の恒星系がどこに向かっているか、宇宙の膨張がどのように見えるか、銀河系全体の通常の物質と暗黒物質の分布など、天文学者がさまざまな科学的問題に答えを出すのに役立つ。これまでのガイア・データセットは、天の川銀河の質量と、地球に似た惑星が周回する可能性のある太陽に似た恒星の数を確認するために使用されてきた。
ガイアは2022年頃まで運用する予定だが、予想より持ちこたえており、そのミッションは2024年以降まで延長される可能性がある。最終データの公表時には、銀河系内の20億個以上の天体カタログが作成されることになるだろう。
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- ニール・V・パテル [Neel V. Patel]米国版 宇宙担当記者
- MITテクノロジーレビューの宇宙担当記者。地球外で起こっているすべてのことを扱うニュースレター「ジ・エアロック(The Airlock)」の執筆も担当している。MITテクノロジーレビュー入社前は、フリーランスの科学技術ジャーナリストとして、ポピュラー・サイエンス(Popular Science)、デイリー・ビースト(The Daily Beast)、スレート(Slate)、ワイアード(Wired)、ヴァージ(the Verge)などに寄稿。独立前は、インバース(Inverse)の准編集者として、宇宙報道の強化をリードした。