アマゾン、アレクサ搭載次世代機に大型画面を追加?
アマゾンの「アレクサ」やグーグルの「アシスタント」のユーザーは音声操作は使っていても、便利なサードパーティ製アプリはあまり使っていないとわかった。音声アシスタントに画面が搭載されれば、問題は解決されるだろうか。 by Jamie Condliffe2017.01.24
音声操作アシスタントはちょっとしたブームになっている。ただし、メーカーが対処すべき興味深い問題が見つかった。音声操作アシスタントのユーザーは、あまり多くのアプリを使ってはいないようなのだ。
スマート・スピーカー「エコー」で利用できる「スキル」(アマゾンのスマート・アシスタント「アレクサ」で動作するアプリのこと) の数は昨年5月の950から現在では8000以上になり最近6カ月間で大きく増えた。だが、アレクサやグーグルのアシスタント・プラットフォームの利用方法の分析により、サードパーティ製アプリは使われておらず、使用継続率も非常に低いことがわかった。
音声ソフトウェアのスタートアップ企業であるボイス・ラボによる分析によれば、ほとんどのアプリにはユーザー・レビューがひとつもなく、音声アシスタント・アプリに人気があるとはいえない、という。また、アレクサやアシスタント・アプリを使い始めた人のうち、1週間後もそのアプリを使う人は平均で3%しかいなかった。
アマゾンの「エコー」や「グーグル・ホーム」といったスピーカーが自宅にあれば、音声アシスタント・アプリがほとんど使われていない事実は当然と感じるだろう。他の全ての新しい消費者向けテクノロジー同様、家庭内アシスタントも初めは注目を浴びていた。しかし、すぐに家庭内の実用品のひとつになり、音楽の再生やタイマーのセット、買い物リストの作成などに利用されている。
しかし、アレクサやグーグル・アシスタントのユーザーなら、プッシュ通知がほとんどなく、控えめであることに気付くだろう。ユーザーがアプリを頻繁に使わないのは、これが理由のはずだ。また、ホーム・アシスタントに「専用」のアプリが搭載されていることをユーザーに喚起する視覚的な手かがりは何もない。そのため、ユーザーは話しかけるだけで、ユーザーに合わせた作業をホーム・アシスタントができることに気付けない。自分の家庭内アシスタントにあるサードパーティ製アプリの利用を、ユーザーが面倒がったり忘れたりしてしまうのも当然だ。
サードパーティ製アプリの不人気が問題かどうかは、アマゾンやグーグルが達成したい戦略次第だ。アレクサやアシスタントの目標が、アップルのiOSやグーグルのアンドロイドのように、一般に利用可能な機能やソフトウェアを開発者が多数開発するような音声アシスタントのOSであるなら、問題といえる。
アマゾンは解決策こそ発表していないが、当然この問題を承知している。そもそもアマゾンはアレクサ搭載機器から膨大な量のデータを取得しており、データから音声アシスタントが提供するサービスを向上させているのだ。
アマゾンがスマート・スピーカー「エコー」の次世代機にタッチ画面を搭載する構想が伝えられているのは、おそらくこの問題のためだろう。音声操作用の装置に画面を追加するのは奇妙なアイデアのようで、タッチ画面があれば、サードパーティ製アプリの存在に気付きやすくなり、控えめなプッシュ通知機能も追加されやすくなるだろう。また、タッチ画面があれば、ユーザーは音楽や料理タイマー以外にも家庭内アシスタントを使うようになるかもしれない。
(関連記事:Recode, Bloomberg, “2016年、テック関連最大のヒット商品はAIアシスタントだ(ただし日本語では使えない),” “なぜアマゾンのAIアシスタントは自動車にまで搭載されるのか?,” “「アレクサ、アマゾンは グーグルに勝てる?」 「はい、余裕です」”)
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クレジット | Photograph by Spencer Platt | Getty |
- ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
- MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。