KADOKAWA Technology Review
×
【春割】実施中!年間購読料20%オフ!
福澤知浩:「未来の乗り物」現実に 移動の自由を目指す先駆者
是枝右恭
ニュース 無料会員限定
The man who is building the "vehicle of the future"

福澤知浩:「未来の乗り物」現実に 移動の自由を目指す先駆者

「空飛ぶクルマ」といえば、映画や小説で未来を語るときに欠かせないアイテムだ。だが、それを日本で実現しようとしているイノベーターがいる。Innovators Under 35 Japanの一人に選ばれた、スカイドライブの福澤知浩だ。 by MIT Technology Review Japan2021.04.20

未来を舞台にした映画につきものの乗り物といえば、「空飛ぶクルマ」だ。たとえば、『ブレードランナー』

Innovation Issue
この記事はマガジン「Innovation Issue」に収録されています。 マガジンの紹介

(1982年)や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年)、そして『フィフス・エレメント』(1997年)など枚挙に暇がない。そんな夢の乗り物が、ここ日本でついに実現しようとしている。福澤知浩は、空飛ぶクルマの開発を手がけるスタートアップ企業、スカイドライブ(SkyDrive)の創業者兼最高経営責任者(CEO)だ。

“自動車大国”である日本だが、空飛ぶクルマの開発では、中国のイーハン(EHang)やドイツのヴォロコプター(Volocopter)といった海外の企業が先行している。しかし、2018年に設立されたスカイドライブは、わずか2年余りでこれらのライバルを猛追している。

「2020年の夏、有人のデモフライトを成功させました。1人乗りのプロトタイプで、機体のサイズは一般的な駐車場2台分に収まるようになっています。飛行時間は約4分間でしたが、おかげさまで国内外で大きな話題になりました」

この試験機「SD-03」は、人間のパイロットが操縦するが、コンピューター制御のアシストにより飛行を安定させている。仕組みとしては、いわゆるドローンの技術をベースに発展させたものだ。四隅にある駆動部には、それぞれ上下に2基のローターが配置されており、合計8個のモーターを採用している。この構造により、飛行の安定性に加えて、万が一モーターなどの一部で異常が発生しても、ブレなく飛行し続けることを可能にしている。

SD-03をベースに現在実用化を目指している空飛ぶクルマは、eVTOL(電動垂直離着陸)タイプであり、地上道路での走行機能は有していない。福澤は、騒音や操縦難易度、機体価格が、航空機よりも自動車に近く、自動車のように日常利用が可能な乗り物という意味で、「空飛ぶクルマ」と呼んでいる。ただ、福澤によると最終イメージは、最初は地上を走っているが、渋滞が発生したら近隣の離発着場に移動し、そこから離陸して空の道に入る。そんなSF映画のような乗り物なのだという。デモに成功したとはいえ、実用化まではまだまだハードルがある。その筆頭が航空当局からの認可の取得だ。具体的には、航空機の航行の安全を確保するための航空法や省令に基づく「型式証明」と「耐空証明」が必要だ。空飛ぶクルマは“クルマ”という名称ではあるが、実態は航空機の一種であり、現在のところは回転翼機として分類されている。そのため、航空機としての認可が必要になる。

当然ながらスカイドライブが開発する機体も、既存の航空機と同じレベルで安全性などの基準を満たす必要があり、かつ開発や設計、そしてアフターサービスに至るまで、すべてを明確に提示しなければならない。このハードルは決して低くない。

「実は戦後、日本の民間航空機が認可を取得したケースはほとんどありません。例外は1960年代の双発ターボプロップエンジン方式の旅客機『YS-11』などです。ただ、空飛ぶクルマの部品点数は他の航空機より圧倒的に少ないので、作業量は大きく減りますし、国も前向きに進めていただいております。引き続き、認可取得に向けて全力で取り組んでいきます。また、国境を越えて移動したり、輸出したりすることを考えると、グローバルな基準を満たす必要があります。とはいえ、当然ながら安全性は基本ですので、技術的にも理論的にもクリアすべく努力を続けているところです」

未来の乗り物として語られる機会が多い空飛ぶクルマの開発に、福澤が取り組むようになったきっかけは何だったのか。

ものづくりがもともと好きだった …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中!年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. A new US phone network for Christians aims to block porn and gender-related content ポルノもLGBTも遮断、キリスト教徒向けMVNOが米国で登場
  2. Musk v. Altman week 1: Elon Musk says he was duped, warns AI could kill us all, and admits that xAI distills OpenAI’s models 「オープンAIを蒸留した」マスク対アルトマン第1週、法廷がざわめく
  3. Will fusion power get cheap? Don’t count on it. 核融合は本当に安くなるのか? 楽観論に「待った」をかける新研究
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
AI革命の真実 誇大宣伝の先にあるもの

AIは人間の知能を再現する。AIは病気を根絶する。AIは人類史上、最大にして最も重要な発明だ——。こうした言葉を、あなたも何度となく耳にしてきたはずだ。しかし、その多くは、おそらく真実ではない。現在地を見極め、AIが本当に可能にするものは何かを問い、次に進むべき道を探る。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る