KADOKAWA Technology Review
×
Innovators Under 35 Japan 2026 候補者募集開始!
Oculus Project Lets You Feel in VR without Gloves

オキュラスが
仮想世界の疑似感覚を開発中

オキュラスの研究者は触覚プロジェクトでボールの動きや物体が迫ってくる感覚を再現しようとしている。 by Rachel Metz2016.07.07

オキュラスの研究者は、仮想世界は、ヘッドセットだけで体験できるとは考えていない。より本物の現実に近づけるために、実質現実内の物体の触感や、近づくときの方向感を再現する機器の開発に取り組んでいる。

オキュラスとフェイスブックが共同開発中の「ハプティックウェーブ」(HapticWave)は、電磁アクチュエーターに載せられた円形の金属プレートが振動し、プレートの中央に手を置いたユーザーが、物体の手触りを感じたり、何かが近づていくる感覚を味わえる。

「ヘッドセットと空間オーディオ機器によって、だいぶリアルな感覚になります。従来のハプティック(触覚に作用する)機器の多くは、方向情報を含まないフィードバックで、たとえばスマートフォンのバーチャルキーボードを入力しても押し込んだ感覚がありません。また、従来の機器は、グローブなどの装着器具に埋め込まれているのが一般的でした」(オキュラスのラビシュ・メラ研究員)

将来、ハプティックウェーブが商品化されるかは未定だ。メラ研究員も、それについてはコメントできないという。オキュラスの研究者の予想では、ハプティックウェーブが使われるのは、仮想空間でテーブルゲームをプレイする時などだという。プレイヤーは、近くを通り過ぎる怪物の歩みや、仮想空間に居合わせた他のユーザーの動作を感じることになる。

HapticWave, an Oculus research project, uses a metal plate to let you feel virtual objects and get a sense of where they’re coming from, too.
オキュラスの研究プロジェクト「ハプティック ウェーブ」は、金属板のパーツでユーザーに仮想空間内の物体の触感や方向感を伝える

「超感覚的な刺激をユーザーに与えるのがこの機器の目標です。仮想空間内の物体をよりリアルに感じさせたいのです」(メラ研究員)

ハプティックウェーブのターンテーブル型金属プレートは、アクチュエーターによって屈曲波を発生させ、特定の方向からユーザーに送る。この間、振動加速度計が金属板の状態を感知し、フィードバックを送ることで、アクチュエーターが調節される。低周波振動によって、重たい物が他の物体と衝突する感覚が引き起こされ、高周波振動は小さな物が他の物と衝突する感覚を再現する。

ハプティックウェーブが作り出す感覚がどれだけリアルなのか体験できるよう、オキュラスの研究者は専用のデモソフトも開発した。VRヘッドセット「Oculus Rift」と空間オーディオ機器(音の方向感を再現するもの)を同時に使うデモソフトは、アニメーションのボールがテーブルを跳ねながら横切る内容だ。画面内に現れたボールが近づく音が聞こえるだけでなく、金属板の振動によって、ボールがどこから近づいてくるのかも、ユーザーに伝わる。ユーザーは、キーボードでボールの動きを操作できる。デモは、7月下旬に開催のシーグラフ (コンピュータ グラフィックスとインタラクティブ技術に関するカンファレンス)で公開される予定だ。

メラ研究員は、金属板をより大きく薄くすることで、発生する振動がどう変化するかや、振動の周波数でモノを区別する人間の能力についても、より詳しく調べたいそうだ。

人気の記事ランキング
  1. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2026 「Innovators Under 35 Japan」2026年度候補者募集のお知らせ
  2. It’s time to address the looming crisis in entry-level work. 「コーディングを学べ」もう通用せず、AIが若者の雇用を奪い始めた
  3. Anthropic’s Code with Claude showed off coding’s future—whether you like it or not 「Claudeに任せてしまおう」 たった1年で激変したソフトウェア開発
レイチェル メッツ [Rachel Metz]米国版 モバイル担当上級編集者
MIT Technology Reviewのモバイル担当上級編集者。幅広い範囲のスタートアップを取材する一方、支局のあるサンフランシスコ周辺で手に入るガジェットのレビュー記事も執筆しています。テックイノベーションに強い関心があり、次に起きる大きなことは何か、いつも探しています。2012年の初めにMIT Technology Reviewに加わる前はAP通信でテクノロジー担当の記者を5年務め、アップル、アマゾン、eBayなどの企業を担当して、レビュー記事を執筆していました。また、フリーランス記者として、New York Times向けにテクノロジーや犯罪記事を書いていたこともあります。カリフォルニア州パロアルト育ちで、ヒューレット・パッカードやグーグルが日常の光景の一部になっていましたが、2003年まで、テック企業の取材はまったく興味がありませんでした。転機は、偶然にパロアルト合同学区の無線LANネットワークに重大なセキュリテイ上の問題があるネタを掴んだことで訪れました。生徒の心理状態をフルネームで記載した取り扱い注意情報を、Wi-Fi経由で誰でも読み取れたのです。MIT Technology Reviewの仕事が忙しくないときは、ベイエリアでサイクリングしています。
▼Promotion
社会実装都市「ひろしま」の魅力に迫る ローカル ✕ イノベーション
MITテクノロジーレビューが選んだ、AIの10大潮流 [2026年版]

AIをめぐる喧騒の中で、本当に目を向けるべきものは何か。この問いに対する答えとして、MITテクノロジーレビューはAIの重要なアイデア、潮流、新たな進展を整理したリストを発表する。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る