KADOKAWA Technology Review
×
Innovators Under 35 Japan 2026 候補者募集開始!
コンセントに挿すだけで家中をスマートにする全部のせセンサー
This Mega-Sensor Makes the Whole Room Smart

コンセントに挿すだけで家中をスマートにする全部のせセンサー

数多くの異なるセンサーを統合した小さなデバイスが、カメラを使わずに人間のさまざまな行動をモニタリングする。商品化には認識率を限りなく100%に近づける必要がある。 by Rachel Metz2017.08.09

ジェラド・ラプトは、センサーが搭載されたインターネット接続の家電機器を買わずに、家をもっとスマートにしたいと考えている。代わりにクラッカー1枚ほどの大きさの装置にセンサーを山ほど搭載し、それを壁のコンセントに差し込み、ティーケトルからペーパータオル・ディスペンサーにいたるまで室内のあらゆるものをモニタリングする方法を思いついたのだ。

ラプトはカーネギーメロン大学で人間とコンピューターの相互作用を研究する大学院生だが、統合センサーと自身が名付けたプロジェクトの一環としてこのガジェットを作った。ペーパータオルがあと何枚残っているか読み取ったり、人がいつ建物に出入りしたかを探知したり、高齢な家族に目を光らせたり(家電を通して典型的な行動パターンを追うなど)できるという。デンバーで開催された「CHI(コンピューター・人間相互作用カンファレンス)」で公開された。

統合センサーはまだ市販製品ではないが、最初のテストでは非常に正確に作動した。ラプトの研究チームは、過去に製造した100個のデバイスに対してストレステストを実施している。現時点では1個当たりの製造コストは100ドルだが、大量生産で30ドルほどに抑えることができるという。

既存のスマートガジェットは高価で、ガジェット同士や家中にあるまざまなものを接続する無線スマートタグとの相互運用が常にうまくいくとは限らない。そのため、コンパクトで高性能な代替品に着目したという。さらに、カメラを使わずにどこまで感知できるか実験したいと考えた。人々はカメラの存在をプライバシー侵害と捉えている、という調査結果があるからだ。

研究チームは、動きや音、圧力、湿度、温度、光度、電磁干渉、その他諸々の物理的変化が追跡できるセンサーをボードに搭載した。

「さまざまなセンサーによって、モノの状態を幅広く柔軟に探知します」とラプトは説明する。

研究チームは、これらのセンサーを搭載したボードを建物に5つ取り付け(キッチン、オフィス、共有スペース、教室に各1つずつ)2週間作動させた。キッチンではシンクでの水の使用やペーパータオル・ディスペンサーの使用を探知し、オフィスではドアのノックを追跡できた。共有スペースでは、いつコーヒーが入れられたか、電子レンジが使われたか、ドアが開け閉めされたかを探知できた。

研究チームが制作した映像では、室内における人間のさまざまな行動から得られたセンシング情報が、概念実証ソフトウェア(POC)によってどのようなイベントに分類されていくかが分かる。

プロジェクトの正確性は非常に高かったが、市販するにはおそらく改良を加える必要があるだろう。1週間のトレーニングとテストにおいて、5カ所に設置した38基のセンサーの正確性は平均して96%であったが、次の1週間でわずかに上がり98%となった。しかし、たとえ2%であったとしても、ユーザーは誤検知によって興味を失いかねないのだ。

人気の記事ランキング
  1. It’s time to address the looming crisis in entry-level work. 「コーディングを学べ」もう通用せず、AIが若者の雇用を奪い始めた
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2026 「Innovators Under 35 Japan」2026年度候補者募集のお知らせ
  3. Anthropic’s Code with Claude showed off coding’s future—whether you like it or not 「Claudeに任せてしまおう」 たった1年で激変したソフトウェア開発
レイチェル メッツ [Rachel Metz]米国版 モバイル担当上級編集者
MIT Technology Reviewのモバイル担当上級編集者。幅広い範囲のスタートアップを取材する一方、支局のあるサンフランシスコ周辺で手に入るガジェットのレビュー記事も執筆しています。テックイノベーションに強い関心があり、次に起きる大きなことは何か、いつも探しています。2012年の初めにMIT Technology Reviewに加わる前はAP通信でテクノロジー担当の記者を5年務め、アップル、アマゾン、eBayなどの企業を担当して、レビュー記事を執筆していました。また、フリーランス記者として、New York Times向けにテクノロジーや犯罪記事を書いていたこともあります。カリフォルニア州パロアルト育ちで、ヒューレット・パッカードやグーグルが日常の光景の一部になっていましたが、2003年まで、テック企業の取材はまったく興味がありませんでした。転機は、偶然にパロアルト合同学区の無線LANネットワークに重大なセキュリテイ上の問題があるネタを掴んだことで訪れました。生徒の心理状態をフルネームで記載した取り扱い注意情報を、Wi-Fi経由で誰でも読み取れたのです。MIT Technology Reviewの仕事が忙しくないときは、ベイエリアでサイクリングしています。
▼Promotion
社会実装都市「ひろしま」の魅力に迫る ローカル ✕ イノベーション
MITテクノロジーレビューが選んだ、AIの10大潮流 [2026年版]

AIをめぐる喧騒の中で、本当に目を向けるべきものは何か。この問いに対する答えとして、MITテクノロジーレビューはAIの重要なアイデア、潮流、新たな進展を整理したリストを発表する。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る