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無法地帯化するサイバー空間に国際法は適用できるのか
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無法地帯化するサイバー空間に国際法は適用できるのか

サイバー空間に国際法をどう適用するのか、国連の政府専門家会合では合意に達せず。新団体の設立で議論は仕切り直しへ。 by Mike Orcutt2017.08.16

外国の選挙への干渉や民間インフラへの攻撃が、サイバー空間における国家の限界を突きつけている。そうした中、新たに結成された弁護士、学者、経営者、政府関係者からなる団体が、サイバー攻撃から戦争へと発展することを防ぐ最低限の交通ルールを作ろうと、忙しく駆け回っている。

新たに設立されたサイバーセキュリティに関する国際委員会(GCSC:Global Commission on the Stability of Cyberspace)は、国連がつまづいた問題の解決を目指している。国連は、既存の国際法がサイバー空間にどのように適用されるべきか議論を重ねたものの、2017年前半に議論に行き詰まり、国連機関外での解決を模索していた。

サイバー空間に関する国家間の合意は喫緊の課題となっている。世界中の政府がプロパガンダを流したり、伝統的な戦争行為のような攻撃を仕掛けたりと、あらゆる行為にデジタルツールを使用しようと競い合っている。米国やヨーロッパでの選挙干渉や、最近のウクライナの電力送電網に対する攻撃といった出来事が証明するように、国際的なサイバー紛争が現実の世界へ次々と流れ出してきているのだ。

「サイバー空間はジャングルではありません」。GCSCのマリナ・カリユランド議長は、2017年7月にラスベガスで開催されたブラックハット・コンピューター・セキュリティ会議でそう発言した。カリユランド議長は以前、エストニアの外務大臣を務めていた人物だ。「サイバー空間にも国際法が適用されます。今問われているのは、どのように国際法が適用されるか、なのです」。

GCSCは政策を立案しても、勧告することしかできない。だが、GCSCには政府関係者に加えて民間セクターや学術研究機関の代表者が含まれている。カリユランド議長は、複雑な利害関係者が絡み合うインターネットでは、政府関係者だけで構成される国連に比べてGCSCのほうが有利だと話す。GCSCの最大の出資者はオランダ政府とシンガポール政府、それにマイクロソフトだ。マイクロソフトはサイバー空間で国家が主体となって果たすべき役割について、これまでも産業界の声を代弁してきた(「マイクロソフト社長、サイバー攻撃版のジュネーブ諸条約を提唱」参照)。

サイバーセキュリティが地球規模でのセキュリティに非常に重要な存在となった今、何をもって容認できない行動とするのか、国際的なコミュニティで合意点を探ることが必要だとカリユランド議長は指摘する。「曖昧な範囲が多ければ多いほど、お互いについての誤解、そして挑発が起こる可能性が高くなるでしょう」。

もっとも、各国政府が共通認識を見つけようと努力してこなかったわけではない。実際に、政府専門家会合(GGE)と呼ばれる国連の試みは、当初、平時において国家は重要な民間インフラをお互いに攻撃しない、といった拘束力のないガイドラインの策定を進めてきた。しかし2017年、GGEは意見の一致に至ることができず、国連総会に報告書を提出できなかった。会議後の声明で、GGEの米国代表であり、国務省でサイバー問題を担当するミシェル・マルコフ副局長は、参加国の中には「進歩を後戻り」したい者もいるようだと、失望を表明した。

GGEの頓挫は大きな打撃だが、議論は続けられなければない。そこで、新たな委員会であるGCSCが開かれた議論の場となるとカリユランド議長は説明する。カリユランド議長もまた、GGEではエストニアを代表していた。国際法の適用にグレーゾーンがある限り、たとえ国際紛争へとつながるリスクがあるとしても、国家が犯罪行為の責任から逃れることがないように注視していく、とカリユランド議長は述べた。

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マイク オルカット [Mike Orcutt]米国版 准編集者
暗号通貨とブロックチェーンを担当するMITテクノロジーレビューの准編集者です。週2回発行しているブロックチェーンに関する電子メール・ニュースレター「Chain Letter」を含め、「なぜブロックチェーン・テクノロジーが重要なのか? 」という疑問を中心に報道しています。
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