KADOKAWA Technology Review
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China’s Bid to Dominate the Chip Industry Is In Danger of Falling Short

半導体王国に俺はなる!
中国の野望はたぶん無理

1000億ドルを投じて世界の半導体業界を牛耳る中国の野望は恐らく達成できない。 by Jamie Condliffe2016.08.25

中国が現在進めているコンピューターチップ製造業で世界をリードするための戦略はうまくいくのだろうか?

2014年、中国政府は、自国をコンピューターチップ開発・製造分野のトップへと押し上げる1000億ドルの投資計画を発表した。中国は既に、その額の大部分を組立工場の新設に投じ始めている。しかし、マネジメント・コンサルティング会社のベイン・アンド・カンパニーによる新たな分析によれば、中国が市場で優位な立場を占めるのに1000億ドルでは不十分だ。

政府所有のチップ製造企業XMCは、NAND型フラッシュメモリとDRAMチップ製造用施設の建設に資金を集中させており、最初に完成する工場は2017年に稼働予定だ。また今年、中国は欧米のチップ製造企業(世界最速のスパコンに使われているプロセッサーのメーカー)を買収して世界を驚かせた。

しかし、中国の野望はすぐには成就しない。確かに中国は、大量のシリコン製デバイスを流通させる準備を整えていそう(ベイン・アンド・カンパニーも、2020年までに、世界のメモリーチップ、ロジックチップ、アナログチップのうち、実に55%が中国経由で流通するだろうと予測している)に見える。ただ、半導体製品のうち、中国が現在製造しているのはわずか15%であり、2025年までにシェアを70%にまで押し上げるにはまったく届きそうにないのだ。

この目標は、ベイン・アンド・カンパニーによれば、通常の方策による成長では「ほとんど乗り越えられない課題」だ。中国が目標を達成する唯一の方法は、通常の方策で成長させるだけではなく、提携や経営権を取得するしかない、とベイン・アンド・カンパニーは見込む。テクノロジー面での理解を深め、人材を獲得する上では、一から研究開発を進めるより、この方がずっと目標を達成しやすい。

ベイン・アンド・カンパニーは、中国が、こうした外部に目を向けたアプローチをとらなければ、自ら掲げた目標には遠く及ばずに終わると予測している。

「世界中の消費者や企業は、質、テクノロジー、価格、そしてブランドに基づいて、システムやデバイスを選び続けるでしょう。グローバル市場で本質的なシェアを得るには、中国の半導体メーカーは(中略)テクノロジー面で他国の競走相手に追いつかないといけません」

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MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
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