KADOKAWA Technology Review
×
【本日最終日!!】年間サブスク20%オフのお得な【春割】実施中
Apple Lags Behind Google and Facebook on AI

アップル、人工知能で苦戦
原因は秘密主義と成功体験

アップルが崇拝される元にもなっている秘密主義と徹底した製品改良の姿勢は、機械学習分野でアップルに人材が集まらない原因かもしれない。 by Will Knight2016.08.25

アップルは、Siriがバカだと思って欲しくない。

いつもは秘密主義のテック企業アップルは、作家のスティーブン・レビー(人工知能に関する著書がある)を本社に招き、さまざまな機械学習テクニックから、特に深層学習が使われている全ての製品とサービスを誇らしげに話して聞かせることで、アップルは人工知能で立ち遅れていないことをアピールしようとした。

取材結果の記事は、レビーのサイト「バックチャンネル(Backchannel)」に掲載され、優れた人工知能の技術を自慢げに語る企業を描き出した。もちろん、深層学習によって、Siriの音声認識、音声合成、自然言語処置がどう向上させているか、機械学習が他のアップル製品をどう賢くするのかに役立っているのかを聞くのは興味深い。しかし、アップルが競合他社に比べて、遅れを取り始めていることに気づかざるを得ない。

たとえば、レビーの記事で、深層学習がSiriの音声認識を大幅に強化したと説明されている2014年は、グーグルが深層学習をAndroidに導入した2年後だ。また、強化学習教師なし学習など、人工知能の基礎分野で起こりつつある研究は、ほとんど触れられていない。ディープマインド(グーグルのAI子会社)やフェイスブックのトップ研究者による新しい人工知能研究とは対照的だ。

アップルは、多くの興味深い手法で機械学習を利用しているのかもしれないが、最高の人材を引き付けられなければ、さらに遅れを取る恐れがある。アップルの秘密主義崇拝や製品改良を重要視するやり方に、一部の人工知能専門家が興ざめているのかもしれない。人工知能分野のスターエンジニアは、同級生やライバルが一流科学誌で発表したり、大規模な会議で講演したりして称賛を得る一方で、自分は巨大テック企業で埋もれるのは嫌なはずだ。

しかし、恐らく、アップルは変わろうとしているのだ。レビー氏の記事は、アップルが「差分プライバシー」(プライバシーを侵害せずにデータを分析する手法)に取り組む研究者が、論文誌に成果を発表することを許可されたことを紹介している。アップルの取り組みが、グーグルやフェイスブックほど明かされることはないだろうが、もしアップルが、他の大手企業で起きている進歩のチャンスをSiriに逃してほしくなければ、研究者が成果を発表できるようにするべきだろう。

関連ページ

人気の記事ランキング
  1. AI companions are the final stage of digital addiction, and lawmakers are taking aim SNS超える中毒性、「AIコンパニオン」に安全対策求める声
  2. Here’s why we need to start thinking of AI as “normal” AIは「普通」の技術、プリンストン大のつまらない提言の背景
ウィル ナイト [Will Knight]米国版 AI担当上級編集者
MITテクノロジーレビューのAI担当上級編集者です。知性を宿す機械やロボット、自動化について扱うことが多いですが、コンピューティングのほぼすべての側面に関心があります。南ロンドン育ちで、当時最強のシンクレアZX Spectrumで初めてのプログラムコード(無限ループにハマった)を書きました。MITテクノロジーレビュー以前は、ニューサイエンティスト誌のオンライン版編集者でした。もし質問などがあれば、メールを送ってください。
▼Promotion
年間購読料 春割20%off
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る