スタンフォード大学の研究チームが25歳から75歳までの108人から収集した生物学的データを分析したところ、従来の緩やかな老化の概念を覆す発見があった。分子レベルで急激に老化が進むポイントが40代と60代の2度あることが明らかになったという。
微生物を利用して廃棄プラスチックを分解する方法はこれまでも研究されてきた。だが米国国防高等研究計画局(DARPA)のプロジェクトでは、廃棄プラスチックを食べる微生物を人間の食糧として利用する研究が進んでいる。
米国ニューヨークに拠点を置くスタートアップ企業が、人間が考えているときの脳の動きを映像化することに成功した。電極で思考を読み取れるようになれば、言葉を交わさずともコミュニケーションできるようになるかもしれない。
米政府研究機関は、老衰による死を回避するために体のすべて、脳まで含めた入れ替えを提案している研究者をプログラムマネージャーとして採用した。1億1000万ドル規模の研究資金を提供する。
環境DNA(eDNA)調査は、土、水、そして空気からでもDNAの小さな痕跡を抽出することで、科学者が生物の存在や活動を把握する方法に革命をもたらしている。その性質上、完璧な調査には向かないが、生物多様性の研究を大きく変える可能性がある。
世界初の遺伝子編集ベビーを作って3年間投獄されたフー・ジェンクイ(賀建奎)が、新たな計画についてMITテクノロジーレビューに語った。胚遺伝子編集に取り組むのは、人類の進化を変えるためではなく、自身の家族や患者たちの人生を変えるためだという。
意思表示ができない患者に代わり、家族が下す「最期の決断」。その重圧を和らげるため、AIによる意思推定システムの開発が米国で検討されている。患者の望みをより正確に反映できるのか、それとも新たな問題を引き起こすのか。議論が始まっている。
危篤状態に陥った患者にどのような医療的措置を講じるのか。終末期医療について回る問題だ。患者が「その時」に自分の意思を示すことはできない場合、代理人が深く悩みながら何とか決めることになる。
ゲノムの働きについては、プロブラムや設計図のメタファーで説明されることが多い。だが最近、生成AIモデルのような、新しいモノをつくりだすことができるAIの一種と考える興味深い研究論文が発表された。
2018年に世界初の「遺伝子編集ベビー」を誕生させて物議を醸した中国の科学者が、MITテクノロジーレビューのオンライン座談会に登壇。3人の子どもの現在の様子や、自身の現在の活動内容、今後の予定などを語った。
多くの人々がDNA検査を受けるようになり、個人の遺伝子に関するデータが企業などに共有される機会が増えている。私たちは、遺伝子に基づく差別を防ぐために、そのデータの利用と保護方法についてよく考えておく必要がある。
薬に代わる新たな治療法として注目を集める「電子薬」。神経刺激から細胞操作まで、電気で病気を治す革新的技術が従来の医療の常識を覆そうとしている。10億ドルの投資と10年の歳月を経た現状と展望を探った。
体外受精(IVF)などの不妊治療技術は、子どもを持てないとあきらめていた人々の救いとなっている。だが、少子化危機の解決策としては、これらのテクノロジーだけでは十分ではない。
神経科学者や心理学者は以前から人間の心を研究するためにビデオゲームを活用してきた。大規模言語モデルを活用したAIビデオゲームは、さらに多くの謎を解くツールとなり得るのか。
臓器を模倣した「臓器チップ」が、疾患の理解や新薬の開発、個人に合わせた治療法の開発などに使われている。臓器チップは動物試験への依存を減らし、新薬開発や希少疾患の研究を変革する可能性がある。
MITの研究チームは、神経インターフェイスを装備し、装着者の思考によって動きを制御できる義肢を開発した。この義肢を装着した被験者は、通常の義肢を装着した場合よりも速く歩いたり、障害物をより機敏にかわしたりできるようになった。
MITテクノロジーレビュー[日本版]はeムック Vol.62 / 2024.06をリリースした。特集は「CRISPR療法実用化 遺伝子編集がもたらす医療革新」。
ソーシャルメディアには健康への害を示す警告文を表示するべき、と主張する米公衆衛生局長官の記事が米紙に掲載された。直感的に共感する人も多そうだが、明確なエビデンスがないこともまた事実だ。
鳥インフルエンザの感染拡大を受けて、米国では牛乳の安全性が揺らぎ始めた。遺伝子組換えの微生物や作物から牛乳タンパク質を合成しようと試みる企業が相次いでいる。
数百人が行方不明になったハワイ・マウイ島の大火災で活用された迅速DNA鑑定技術は、わずか数時間以内に犠牲者の身元を特定した。新たな科学技術が、混乱の中で家族に希望と安らぎをもたらした。
心理療法にMDMAの使用を承認するかどうかを協議するFDAの委員会の出した答えは「ノー」だった。有効性を実証した研究があまりにずさんだったためで、新たな治験の実施で覆る可能性もある。
違法薬物であるMDMAが心理療法における治療薬として認められるべきかをめぐって、米食品医薬品(FDA)の諮問委員会が6月4日に開催された。MDMAの合法化を求める根拠や障壁、米国における類似薬物の位置づけなどについて説明する。
脳疾患の治療を難しくさせている大きな要因の1つとして血液脳関門が挙げられる。血管の内壁に存在するこの特殊な層は、有害物質から脳を保護する役目を果たしているが、薬剤も遮断してしまう。今、血液脳関門を開いて薬剤を通す研究が成果を上げつつある。
インフルエンザのワクチンの製造には、80年以上前に考案された、鶏卵を利用するプロセスがいまだに使われている。今後の鳥インフルエンザのパンデミックに備えて、よりスピーディにワクチン製造できる別の方法も考える必要がある。
人間の頭部を丸ごと交換するという謎のスタートアップ「ブレインブリッジ」の動画が米国で話題を呼んでいる。一部メディアはニュースとして報じたが、その正体は架空企業によるバイラル動画だ。だが、一部起業家から密かに支持を得ている。