ウーバーとアマゾン
世界の運輸業界に殴り込み
食品配達でも貨物輸送でも、巨大テック企業は保守的な運輸業界のどの企業よりも貨物の運搬を改善するだろう。 by Jamie Condliffe2016.09.29
運輸業界は、大規模で複雑、その上比較的変化に乏しい。だから、テック企業が運輸業界をイノベーションの機が熟した分野と見るのは極めて当然だ。
アマゾンの最も有名な配送に関する願望は、明らかに、空輸だ。アマゾンはドローン配達サービスの開発に躍起になっており、また航空貨物を対象に40機のボーイング767-300貨物機を借りている。しかし、アマゾンは地上で荷物を運ぶのに慣れており、倉庫間で在庫を輸送するために数千台のトラックを所有したり、人々が荷物を運んで収入を得られるウーバー型のネットワーク「フレックス(Flex)」を試行したりしている。
しかし、ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、アマゾンの野望は、現行の物流業界よりはるかに大きい。UPSやFedExなどの企業に取って代わろうとしていはいないとジェフ・ベゾスCEOは強く否定しているが、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、アマゾンの計画は「いつの日か自社と他の小売店や消費者に荷物を輸送し配達すること」であることを確認する話の出どころとして、アマゾンの20人以上の現職または元幹部を挙げる。
そうした情報源によれば、アマゾンは、たとえば、時間外配達など、さらに柔軟性のある配送サービスを構築しようとしている。2015年のアマゾンの売上高の10.8%は配送費であり、既存の配送会社への依存度を減少させたいアマゾンの願望は理解できる。UPSやFedExのライバル会社を新規に作るのは確かに複雑で高くつくが、シティグループは、アマゾンは年間11億ドルも節約できるだろうと推定している。
アマゾンだけが運輸業界に目をつけているわけではない。ウーバーにも単に人を運ぶ以上の計画がある。28日、現在6カ国でサービスを提供中の「ウーバー・イーツ・フード配達サービス」を世界中で新たに22カ国まで大幅拡大すると発表したのだ。
しかし恐らくウーバーでより興味深いのは、ウーバーが最近買収した自動運転トラックのスタートアップ企業オットーが来年に全ての保有車両を増やし、倉庫や店舗に貨物を輸送し始めるニュースだ。こうした新事業は、ウーバーが別の種類の配送を試せるのはもちろん、オットーがさらに現実的な状況で開発を進めている全自動運転システムの試験に役立つだろう。ロイターによれば長期計画の目標は「トラックと送り主をつなげる仲介業者と張り合うこと」だ。
ジャーナリストのファルハド・マンジューがニューヨーク・タイムズ紙で最近指摘したように、自律18輪トラックがいつ走り出すかは当面の注目ポイントだ。自律18輪トラックは、自動運転車よりずっと早く実用化される可能性があり、そうなると、自律18輪トラックは多大な経済的影響を与えることになる。一日中自律的に走行するトラックが登場れれば、一部の企業によってトラック運転手の仕事がなくなり、富は現在の運輸業界ではない企業によって作られる。
ウーバーはそう理解しており、アマゾンも独自の物流関連の会社があれば、小売業で優位を確保できるだろうと気づいている。両社とも、プライドの高いシリコンバレー企業同様、大胆なビジネスモデルと大規模な投資によって、他社の領分を侵せるのだと、自信を持ってそれぞれの計画に取り組んでいる。両社とも、その目標を達成する可能性がある。
(関連記事:Wall Street Journal, Yahoo, Reuters, The New York Times, “Uber Is Betting We’ll See Driverless 18-Wheelers Before Taxis,” “Self-Driving Trucks May Hit the Road Before Google’s Cars,” “U.K. Signs a Deal with Amazon to Test Delivery Drones”)
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- MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。