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There’s a Troll Inside All of Us, Researchers Say

人の心には誰にも「ネット荒らし」が住んでいることが判明

人を不愉快な気分にさせて喜ぶネット上の「荒らし」は、孤独で社会性のない人物と思われてきたが、月曜日の夕方には誰でも荒らしになりやすいことがわかった。 by Rachel Metz2017.02.07

ネット上でコメントを書くとき、自分は誠実でいられる、と皆が考えているはずだ。しかし新たな研究によれば、特定の環境にいれば、どんな人でも「荒らし(英語ではトロール)」のように振る舞う可能性があるという。誰も例外ではないのだ。

ネット上の迷惑行為は長年の問題であり、状況は悪化するばかりだ。ツイッター等のソーシャル・ネットワークから、インターネットの至る所に拡散してしまう。

では「荒らし」とは正確には誰のことなのか? スタンフォード大学とコーネル大学の研究者による実験によれば、私たちの誰もが「荒らし」になり得るという。不機嫌な時にオンライン記事の他人の投稿を見て腹を立てた人は、不快なコメントを投稿する可能性が高くなることを研究者が突き止めたのだ。この実験をまとめた論文はオレゴン州ポートランドで2月下旬に開催される学会で発表される予定だ。

あらゆる否定的な投稿を立て続けにする人は、誰もが反社会的で、暗い部屋に閉じこもってサイト上の議論やソーシャル・ネットワークにコメントを投稿していると考えることに異論を唱える論文だ、と研究者はいう。また、不快な投稿が発生する可能性が高い時間を予測するのに研究が役立つかもしれないとも考えている。

実験のために、研究者はまず、いわゆる「気分」を作り出す必要があった。そこで研究者は、参加者に指定の時間内にクイズを解くよう求めた。研究者によると、ある参加者をイライラさせるために難しいクイズを与え、別の参加者にはくつろがせるために簡単なクイズを出した。こうして参加者にクイズを解かせ、気分を定量化した。

その後、参加者はネット上の議論に加わり、温和なコメントと不快なコメントの両方が掲載されている大統領選挙に関する記事を見た。研究者は、記事に意地の悪いコメントが投稿されているのを不機嫌な人が見たとき、不快な投稿が最も多く発生することを発見した。具体的には、不快な投稿の確率は、不機嫌な時では89%上昇し、他人の罵倒を見ると68%上昇することがわかった。

研究者はまた、CNNのWebサイトにあった1600万件のコメントを分析した。悪口と判定されたコメントの4分の1の投稿者は、過去に同様の内容を投稿していないこともわかった。また、一度否定的なコメントが記事に投稿されると、より多くの否定的な投稿が続く傾向もあった。さらに、最も否定的な行動が発生したのは夕方で、月曜日だった(既存の研究により、人々の気分が夕方と月曜日に最悪になることはわかっている)。

しかし、不快な投稿とネット上の脅迫を研究しているパデュー大学のキャロル・セイグフリート・スペラー助教授によれば、否定的なコメントを投稿しているからといって、他人を不快にさせようとしているわけではないという。

「実際、否定的なコメントの内容と同じように感じることもあるでしょう。失礼な態度は、人の気を晴らさせたり、誰かを腹立たせたりするためではなく、むしろ、自身の考え方の表現なのです」

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レイチェル メッツ [Rachel Metz]米国版 モバイル担当上級編集者
MIT Technology Reviewのモバイル担当上級編集者。幅広い範囲のスタートアップを取材する一方、支局のあるサンフランシスコ周辺で手に入るガジェットのレビュー記事も執筆しています。テックイノベーションに強い関心があり、次に起きる大きなことは何か、いつも探しています。2012年の初めにMIT Technology Reviewに加わる前はAP通信でテクノロジー担当の記者を5年務め、アップル、アマゾン、eBayなどの企業を担当して、レビュー記事を執筆していました。また、フリーランス記者として、New York Times向けにテクノロジーや犯罪記事を書いていたこともあります。カリフォルニア州パロアルト育ちで、ヒューレット・パッカードやグーグルが日常の光景の一部になっていましたが、2003年まで、テック企業の取材はまったく興味がありませんでした。転機は、偶然にパロアルト合同学区の無線LANネットワークに重大なセキュリテイ上の問題があるネタを掴んだことで訪れました。生徒の心理状態をフルネームで記載した取り扱い注意情報を、Wi-Fi経由で誰でも読み取れたのです。MIT Technology Reviewの仕事が忙しくないときは、ベイエリアでサイクリングしています。
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MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020SDGs Issue

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