KADOKAWA Technology Review
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【10月31日まで】日本初開催 「Innovators Under 35」候補者募集中
Before They Hit the Road, Driverless Vehicles Will Take Over Warehouses

完全無人倉庫の時代がもうすぐやってくる

十分に管理され、交通規則もない倉庫こそ、自律自動運転車の実験場所にぴったりだ。近い将来、人手不足にあえぐ物流業界の救世主となるはずだ。 by Jamie Condliffe2017.07.03

Amazon purchased Kiva, which makes warehouse robots, to help run its fulfillment centers.
アマゾンが発送センターにおける作業効率化のために買収したキバは、倉庫ロボットを開発する企業だ。

路上で走行する自律自動運転車がいつ実用化されるのかについて、大きな注目が集まっている。しかし、まもなく実用化されると思われている自律自動運転の技術は、倉庫の中で磨かれていくかもしれない。

アマゾンなどが運営している倉庫の多くは、すでに大部分が自動化されている。それらの倉庫では、ロボットが商品を保管棚から運び出し、整理された後に箱詰めされて顧客の元へ発送される。しかし、これは倉庫で行われる作業の一部に過ぎない。世界最大手のオンライン食料品販売業者オカド(Ocado)のポール・クラーク最高技術責任者(CTO)は、「倉庫では配送される商品以外にも、運ぶものはたくさんあります」という。「施設内の作業の大部分が自動化されている配送センターでも、倉庫に商品を運び込む必要があります。また、トラックが到着したら、荷台から商品を降ろさなくてはいけません。その後、人間かロボットが持っていける場所に、商品を置いておかなければなりません」。

多くの企業が現在、倉庫に商品が入荷した際の作業を自動化できるロボットの開発に取り組んでいる。たとえば、ブルームバーグによると、キャタピラーやゼネラル・エレクトリックなどの企業から投資を受けているスペインのアスティ(Asti)が、フォークリフトや荷上げ装置、フォークリフト用パレットの自動化に取り組んでいるという。また、2015年に35歳未満のイノベーター35人としてMITテクノロジーレビューで紹介されたメロニー・ワイズ最高経営責任者(CEO)の米国フェッチ・ロボティクス(Fetch Robotics)が、最近になってパレットを運搬するロボットを発表した。このロボットは1500キロの荷物を運ぶことができ、ライダー(LIDER:レーザーによる画像検出・測距)センサーとステレオカメラを組み合わせて自分で進行方向を見つけることができる。

面白くなるのはこれからだ。というのも、各社が開発に取り組んでいる自律型の移動手段は、路上よりも産業現場での方が早く普及しそうだからだ。クラークCTOによると、自律型の移動手段を開発するにあたって、倉庫は「便利な環境」であるという。なぜなら、倉庫では「路上を走行する場合と同じ技術が試せるだけでなく、管理が行き届いていて規制もないから」だという。「自分たちの敷地なので、歩行者が急に車の前に飛び出してくることもなく、車の走行の邪魔にならないように作業員に指示を出すこともできます」。

こういった環境では、深層学習によって自分で運転の仕方を学習する車両を使ってもいいかもしれない。自律自動運転のテクノロジーは、多くの人々を不安にさせている。なぜなら、現時点で自律自動運転車が、どのように判断しながら運転しているのかを知ることができないからだ。そのため、国が高速道路で自律自動運転車を走行させるより、民間企業が倉庫の敷地内で自律自動運転車を走行させる方が受け入れられやすい。

オカドは、イギリスの自律自動運転車開発企業オックスボティカと連携して、倉庫内での自律自動運転車の使用を始めたところだと、クラークCTOはいう。オカドとオックスボティカは、パートナーシップを結んで自律自動運転車で食料品を配達する実験も行っている

この2社は、自律自動運転車が食料配送センターからさまざまな場所に移動するための情報を集めようとしているが、クラークCTOは特定のアプリケーションが自動化の対象として計画されているとは言わない。クラークCTOが語ってくれるのは、オカドが、オックスボティカが路上で実施できない実験のための「安全な環境を作り上げている」ということだけだ。

(関連記事:Bloomberg, “ロボット導入でフォークリフト運転手の職がなくなる,” “食料品は自動運転車がお届け、ロンドンで実験中,” “英国のネットスーパー 「オカド」が目指す 究極の効率化”)

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クレジット Photograph by Justin Sullivan | Getty
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
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