毛髪や爪、視力にも影響? GLP-1薬の気になる副作用
米国人の11%が減量目的で服用するGLP-1薬。新たな効能が次々と報告される一方、副作用がどの程度広く及ぶのかはまだ分かっていない。脱毛や爪の異常、視力喪失との関連を指摘する研究や訴訟もあるが、結果が一致しないものもある。 by Jessica Hamzelou2026.10.15
- この記事の3つのポイント
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- GLP-1薬は米国人の11%が減量目的で使用し、生物学的年齢を若返らせる可能性が報告された
- 消化器系症状や脱毛、爪の異常、視力喪失疑いなど多様な副作用が報告され研究が進行中
- 小児への処方が急増する中、WHOは10歳未満への薬物治療は推奨せずエビデンス不足を指摘
GLP-1減量薬に関する興味深い最新情報について、先日、本誌のアントニオ・レガラード編集者が伝えてくれた。ボストンで開催された老化に関する会議で発表された研究によると、これらの薬は生物学的年齢の少なくとも一部の指標に影響を与えるようだ。
これらの薬を製造する製薬会社のイーライリリー(Eli Lilly)とノボ ノルディスク(Novo Nordisk)の調査結果によると、GLP-1を服用している過体重や糖尿病の人は、プラセボを服用している同様の人々と比べて生物学的年齢が約2~3歳若いという。
老化研究分野の人々がGLP-1を長寿薬と呼ぶのを、私はしばらく前から耳にしている(たとえその恩恵を受けるのが、そもそも過体重や糖尿病の人だけだとしても)。今回の発表は、これらの薬を服用することに関連する数々の他の効能が確認されてきた後に出てきたものだ。しかし、奇妙な副作用もいくつか存在する。
これまでのところ、食欲を抑えるGLP-1作動薬は、糖尿病、慢性腎臓病、肥満の治療薬として承認されており、過体重や特定の心血管疾患のリスクがある一部の人にも処方可能だ。しかし、物質使用障害(アルコールや薬物などへの依存)を持つ人々にも効果がある可能性を示す研究もあり、神経変性疾患やがんにおける潜在的な効能についても調査されてきた。
そして、非常に多くの人々がこれらの薬を服用している。ギャラップ(Gallup)の最近の世論調査によると、米国人の11%が減量目的でGLP-1薬を服用しており、これは2024年の3%から増加している。また、米国人の15%が、これまでに減量目的で一度は使用したことがあると回答している。
これらの薬は非常に効果的な場合がある。しかし、どんな薬でもそうであるように、副作用が伴うことがある。そして、その副作用が具体的に何であるか、どの程度広範囲に及ぶのかは、まだ解明の途上にある。
最も一般的な副作用は消化器系のもので、吐き気、嘔吐、下痢、便秘などだ。これらの薬はまた、膵炎や胆石症との関連も指摘されている。
まれなケースでは、これらの薬が眼球後方の神経に損傷を与える可能性があると主張する声もある。数十人が、突然の視力喪失につながり得る症状を発症したとしてノボ ノルディスクとイーライリリーを提訴している。原告らは、これらの企業が製造するGLP-1薬によって症状が引き起こされたと主張している。両社ともこの主張に異議を唱えている。両者の関連性に関する研究結果は一致していない。
減量薬が毛髪や爪に与える影響についても、まだよく理解できていない部分がある。ワシントンDCにあるジョージ・ワシントン大学医学・健康科学スクールのサバンナ・ヴィダル博士らが、米国の67の医療機関の電子カルテデータを分析したところ、GLP-1の使用が脱毛リスクの上昇と関連していたことが判明した。ただし、依然として一般的なものではないと考えられている。
そして9月末から10月初めにかけてウィーンで開かれた欧州皮膚科学会(EADV)の大会で、別のグループがより小規模な研究の結果を発表した。GLP-1使用者の66%が少なくとも1つの爪の異常を報告しており、中には爪の剥離を伴うケースもあったという。もっとも、これらの薬を服用していない人々の間でも、爪のトラブルはかなり一般的だった。著者らは、これらの薬が爪の脱落を引き起こしていると主張しているわけではない(米国人口の11%はこれを聞いてさぞ安堵することだろう)。
子どもにおける副作用は異なる様相を呈する可能性があるが、現時点ではそれに関するデータはあまり多くない。とはいえ、米国では2019年から2026年にかけて肥満の8~11歳の子どもに対するGLP-1処方が310倍に増加したことを踏まえると、小児における副作用は注視すべき対象となるだろう。子どもへの処方は依然としてまれではあるが、増加傾向にある。
10月7日に世界保健機関(WHO)は子どもと青少年の肥満管理に関する初のガイドラインを公表した。WHOは2024年時点で5~9歳の子ども7000万人が肥満状態にあったと推定しており、この問題の規模の大きさにもかかわらず、同機関は10歳未満の子どもに対する薬物治療を推奨しないと明確に述べている。
「この勧告は、さまざまな薬剤やその有効成分が正常な成長、発達、生理学的パラメーター、精神衛生に与える効能と、潜在的な有害事象や影響の両方について、エビデンスが不足していることを踏まえたものです」と同ガイドラインには記されている。
私はほぼ毎日、GLP-1に関するプレスリリースを受け取っている。これらの薬については膨大な量の研究が実施されており、現在進行中の他の研究もおそらく数百件に上るだろう。エビデンスが蓄積されていくにつれ、ここでもこのテーマについてさらに多くの記事を取り上げることになるはずだ。
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- ジェシカ・ヘンゼロー [Jessica Hamzelou]米国版 生物医学担当上級記者
- 生物医学と生物工学を担当する上級記者。MITテクノロジーレビュー入社以前は、ニューサイエンティスト(New Scientist)誌で健康・医療科学担当記者を務めた。