Claire Nelson クレア・ネルソン (31)
DACで回収した二酸化炭素を自然現象を利用して鉱物化。永久貯蔵に取り組む。
直接空気回収(DAC)技術の発展により、大気中から二酸化炭素(CO₂)を除去することが可能になった。しかし、その後、回収したCO₂をどうするのかが大きな課題となる。クレア・ネルソン(31歳)は、セラ・ミネラル・ストレージ(Cella Mineral Storage)を共同設立し、CO₂を地下に注入し、炭酸塩鉱物として永久に固定する方法を開発している。
炭素鉱化作用(Carbon Mineralization)は、CO₂が水と多孔質の火山岩と接触することで自然に発生する反応だ。セラ・ミネラル・ストレージはこのプロセスを改良し、CO₂と水を交互に岩盤へ注入することで、より均一にCO₂を岩石の細孔内に分布させる。この方法にはいくつかのメリットがある。
まず、従来の貯留法と比べて水の使用量が半減するため、コストが削減される。また、CO₂が均一に分布することで、岩石の細孔が詰まりにくくなり、貯蔵効率が向上する。さらに、CO₂の漏出リスクがほぼゼロであるため、従来の地下貯留施設ほど厳格な監視が必要ない。
ノースウェスタン大学で地球化学の博士号を取得したネルソンは、貯留された炭酸塩の正確な位置を特定する技術の開発にも取り組んでいる。彼女は、鉱化が進行する各段階で、水中の炭素とカルシウムの濃度を測定する手法の特許を申請した。この技術を用いることで、CO₂が地下のどこに固定されているのかを正確に把握できるようになる。
現在、セラ・ミネラル・ストレージはニューヨークに拠点を置き、7名のスタッフで運営されている。同社は現在、ケニアで最初の商業規模の炭素貯留施設を建設中であり、イスラエルのスタートアップ「レプエア(RepAir)」が開発した直接空気回収プラントと連携する計画だ。このプロジェクトでは、貯蔵された炭酸塩が岩石の細孔を詰まらせず、透水性を維持できることを証明する必要がある。
ネルソンは、この技術を世界中に展開することを目指しており、特に化石燃料から再生可能エネルギーへの移行が困難な国々に焦点を当てて取り組んでいく考えだ。
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