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揺れる「持続可能な農業」の定義、有機よりも遺伝子編集が必要に
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Gene editing will help far more than organic food to slow global warming

揺れる「持続可能な農業」の定義、有機よりも遺伝子編集が必要に

世界人口の爆発的な増加が見込まれる中、食糧問題はますます深刻化している。人口増に伴う食糧需要に対応するにはインドの2倍近い農畜産地が新たに必要になるが、野放図な土地転換は地球温暖化を飛躍的に進めてしまう可能性がある。 by James Temple2019.08.14

今世紀半ばまでに世界人口が30億人近く増えると予測される中、食糧の需要、食糧生産に必要な土地、エネルギー需要が急増するのは間違いない。

世界資源研究所(World Resources Institute)の研究チームが主導した新たな研究によれば、少ない土地で食糧を大量に作る方法が見つからなければ、インドの2倍近くに相当する森林や草原、他の生態系の面積を農地に変える必要が生じる。二酸化炭素などの温室効果ガスの年間排出量が150億トン増え、世界の気温上昇を2℃未満に抑えるモデルで許容された40億トンをはるかに上回ることになる。

世界銀行と国連が発表したこの報告書では、2050年までに世界全体の食糧需要が50%増える一方で、肉や牛乳、卵などの動物性食品の需要は70%近く膨れると指摘している。人類のこれまでの実績よりも早いペースで生産量を増やすことなく、これらの7400兆カロリーを追加で生み出すには、6億ヘクタール近くの土地を農地転換しなければならない。

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