KADOKAWA Technology Review
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消える操縦桿、宇宙船の「AI化」はどこまで進めるべきか?
Dimitri Gerondidakis / NASA
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Are we making spacecraft too autonomous?

消える操縦桿、宇宙船の「AI化」はどこまで進めるべきか?

現代の宇宙船では、人手に代わってソフトウェアによる制御が大々的に取り入れられ、宇宙飛行はこれまでになく安全かつ効率的になっている。しかし、ソフトウェアからすべての不具合を取り除くことは不可能であり、人間の介入をどこまで受け付けるかが課題となりそうだ。 by Neel V. Patel2020.07.06

5月30日(米国東部標準時間)、スペースX(SpaceX)の新型宇宙船「クルー・ドラゴン(Crew Dragon)」が米国航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士2人を国際宇宙ステーション(ISS)に運んだ。この瞬間に、見慣れた光景が戻ってきた。スペースシャトルが引退して以来初めて、米国のロケットが米国本土から発射され、米国人を宇宙に運んだのだ。

だが、宇宙船の内部では、あらゆるものが以前とはまったく異なっていた。かつてスペースシャトルの内部で大きく目立っていた、ライトやスイッチやノブが不規則に広がったダッシュボードは消え、複数の大型タッチスクリーンから成る未来型のコンソールに置き換えられていた。スクリーン上でさまざまなディスプレイが切り替えて表示されるが、その背後で宇宙船はソフトウェアによって操縦されている。宇宙船が宇宙圏内に入り、ISSまで完全に自律的に航行するよう設計されたソフトウェアだ。

「パイロットとして育ち、キャリアを通じてパイロット一筋だった私には、機体の制御方法にもある決まったやり方が身についていますが、これは確かに異なりますね」。スペースXのミッションの直前にダグラス・ハーリー宇宙飛行士がNASAテレビの視聴者に向かってこう語った。今では宇宙船の航行は、操縦桿による操縦ではなく、前もって設定された一連の入力データに任せられている。スペースXの宇宙飛行士たちは緊急時の意思決定にはまだ関与するかもしれないが、宇宙船の多くの機能の制御はすでに彼らの手を離れてしまっている。

これは問題なのだろうか? 宇宙飛行の歴史において、ソフトウェアがこれほど重要な役割を果たしたことはなかった。ソフトウェアのおかげで、宇宙飛行はかってないほど安全かつ効率的になり、宇宙船は変化する条件に応じて自動的に適応できるようになった。深宇宙探査用カプセル「オリオン(Orion)」のソフトウェア開発を率いるNASA技術者のダレル・レインズによると、自律性は「クリティカル・レスポンスタイム」の領域において特に重要だという。打ち上げ後の離陸上昇時に問題が発生して、わずか数秒で緊急脱出のシーケンスを開始させる必要がある時などだ。あるいは、乗組員が何らかの理由で操縦できなくなった場合である。

また、自律性がなければ宇宙飛行の形態によっては実行すらできないものもあるので、自律性を高めることは事実上不可欠だといえる。ヒューストンに拠点を置くアド・アストラ(Ad Astra)は、プラズマ・ロケット推進装置テクノロジーの実現を目指している。実験用エンジンにはアルゴンガスから作られたプラズマが使用されており、プラズマは電磁波により加熱される。加熱にあたっては、システムのソフトウェアによって監視される「調整」プロセスが最適な周波数を自動的に計算し、エンジンはわずか数ミリ秒でフルパワーになる。「人間がこうしたプロセスに間に合うよう対応することは絶対に不可能です」。同社のフランクリン・チャン・ディアスCEO(最高経営責任者)はいう。ディアスCEOは元宇宙飛行士で、1986年から2002年に数回のスペースシャトル・ミッションで飛行した経験を持つ。ロケットが始動シーケンスを移動する際のロケット内の変化の状態を認識するのには、制御システムのアルゴリズムが使用される。アルゴリズムはさらに、その変化に対応するのにも使われる。「ソフトウェアなしで人間がこうしたことを的確に実行することはできないでしょう」(ディアスCEO)。

だが、宇宙飛行におけるソフトウェアや自律システムへの過度の依存により、新たな問題が発生することにもなる。これは宇宙産業に新たに挑戦しようというほとんどの企業にとって、特に関心事となる問題だ。こうした新入り企業は、ソフトウェア内の問題を取り除くために必要な積極的かつ包括的なテストに必ずしも慣れているわけではないが、それでも自動化と手動制御の …

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