KADOKAWA Technology Review
×
Facebookログイン終了のお知らせ(2026/3/31 予定)
Rise of the Immigrant Robo-Laborers

トランプが移民を締め出せば、ロボットが増えて中国が得をする

工場から石油プラットフォームまで、ロボット労働者は企業重視とポピュリズムで当選した大統領にとって、都合の悪い課題になる。 by Jamie Condliffe2017.01.26

石油プラットフォームから農場まで、米国内の労働市場は従来に増してロボット労働者を歓迎している。ロボット労働者を採用する企業はコストを削減できるが、ロボットは中国製であることは、企業重視、「アメリカ・ファースト」のポピュリズムを掲げる新大統領にとって都合の悪い話だ。

石油プラットフォーム

ロボットには以前から自動車や消費者向け家電製品を組み立ててきた実績がある。作業内容が定型化されている工場でロボットの需要が増え続ける一方、非定型的な作業でもロボットへの需要は増している。たとえばブルームバーグの記事によれば、原油採掘場では、油井を掘り進める時に使う重いパイプの連結作業をロボットが担当するようになり、採掘現場の自動化が進んでいるという。ある石油企業によれば、これまでの油井では従業員が20人は必要だったが、もうすぐたった5人で済むかもしれないという。

一方で、賃金の上昇により、重労働を伴う作物(新鮮な果物や野菜)を育てる農家にもロボット採用の動きがある。フォーブス誌ブルームバーグの記事によれば、収穫や苗の間引き用のロボットは、初期費用が高く付くものの最低賃金を要求してこない。鉱業分野でも同様の変化があるほか、建設現場でもロボットが採用されそうだ。

こうした報道にさらされると、多くの雇用機会が危機に晒されているように感じるし、実際、昔から続いてきた役割の多くがロボットに置き換わっているのだ。しかし最近の記事で紹介したように、人間がロボットに雇用機会を根こそぎ奪われる日はもう少し先の話だろう。

こうした未来予測よりも、米国はむしろ、ロボットの故郷は実際どこなのか、を心配すべきかもしれない。ジャーナリストのファルハド・マンジューがニューヨーク・タイムズ紙で書いているように、米国の労働市場の自動化に使われる機械は中国製なのだ。米国が産業用ロボットにあまり投資しなかった時期、中国は猛烈な勢いでロボット軍団を製造したのだ

産業用ロボットを米国内で製造する企業への投資を拡大することは、トランプ大統領の示す方針に沿うとマンジョーは論じている。だが、この政策は新政権による雇用機会創出の願望とはかみ合いにくい。むしろ、米国経済は(少なくとも部分的には)中国製ロボットを基礎として成立する事実を、トランプ大統領は受け止めるべきなのだ。ロボットの形で米国に流入する労働力を食い止めるためには、壁以上の何かが必要なのだ。

(関連記事:Bloomberg, Forbes, “China Is Building a Robot Army of Model Workers,” “「モノを持ち上げられるロボット」の実現はなぜ大騒ぎになるのか?,” “ロボットやAIで仕事がなくなるのは5%とマッキンゼーが予測”)

人気の記事ランキング
  1. Promotion Emerging Technology Nite #36 Special 【3/9開催】2026年版「新規事業の発想と作り方」開催のお知らせ
  2. EVs could be cheaper to own than gas cars in Africa by 2040 アフリカでEVがガソリン車より安くなる日——鍵は「太陽光オフグリッド」
  3. RFK Jr. follows a carnivore diet. That doesn’t mean you should. 「肉か発酵食品しか食べない」米保健長官が目指す「健康な米国」
  4. Why EVs are gaining ground in Africa アフリカ初のバッテリー工場も建設中、「次のEV市場」は立ち上がるか?
タグ
クレジット Image courtesy of National Oilwell Varco Inc.
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
AI革命の真実 誇大宣伝の先にあるもの

AIは人間の知能を再現する。AIは病気を根絶する。AIは人類史上、最大にして最も重要な発明だ——。こうした言葉を、あなたも何度となく耳にしてきたはずだ。しかし、その多くは、おそらく真実ではない。現在地を見極め、AIが本当に可能にするものは何かを問い、次に進むべき道を探る。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る