KADOKAWA Technology Review
×
無料の会員登録で、記事閲覧数が増えます
ビジネス・インパクト Tesla’s First Affordable Car Is Finally Entering Production

400万円のテスラが出荷間近も、8月の生産台数はたった100台

テスラ初となる低価格な「モデル3」の生産が始まる。だが、生産設備が追いつくのか、それとも計画倒れなのか、マスクCEOの真価が問われる。 by Jamie Condliffe2017.07.05

イーロン・マスクCEO率いる自動車メーカー、テスラは「モデル3(Model 3)」の発売を発表した。モデル3は、テスラが生産するこれまでで最も安価なモデルで、今週金曜日にも生産が開始される予定だ。

3万5000ドル程度の価格で売り出される予定のこの乗用車で、テスラは初めて乗用車の主要購買層の獲得を試みる。テスラが過去に製造したのは、自動車市場の中でも高級志向の顧客を真っ向から狙った車だった。テスラ モデルSの価格は、オプションを一切つけない状態でぼぼ7万ドルだ。

テスラは7月28日に最初の30人の顧客に向けて新型セダン、モデル3を納品する予定で、マスクCEOが定めた7月中の納車開始にちょうど間に合う形だ。しかし、大衆向けモデルを発売するにあたり、テスラには大量生産が必要になる。実際、モデル3を購入するために、すでに40万人もの人が1000ドルの手付金を支払っているのだ。

モデル3の生産拡大計画は、いつものマスクCEOらしい、かなり野心的なものだ。テスラは8月の生産予定台数をわずか100台にとどめているが、9月には1500台、12月には2万台まで生産を拡大したいとしている。2018年の目標年間生産台数は50万台で、2020までに年間100万台の生産を目指す。

マスクCEOによると、テスラの高度に自動化された生産ラインはこの目標を達成できるように設計されているという。モデル3の生産ラインは配備する人員数を徐々に削減していくことを見越して設計されており、最終的にはロボットの邪魔になる者が誰一人いない、完全無人状態となることを目指している。マスクCEOは以前、「生産ライン自体に人員を配備することはできません。生産速度が『人間のスピード』に落ちてしまうからです」と述べている。

しかし、過去にも報じたように、マスクCEOが明言したとおりの劇的な生産拡大ペースに、テスラの工場設備がついて行けるかどうかは不透明だ。アメリカ最大の自動車工場では実際に年間50万台以上の車を生産しているが、そういった工場施設は生産能力をしっかりと実証し、耐久テストを経て、ゆっくりと生産規模を拡大してきた。一方テスラは、生産設備の弱点や誤りを見つけて手直しをしながら、猛烈な勢いで生産拡大を進めなければならない。

とはいえ不可能ではないし、誰かがやってのけるとすれば、恐らくマスクCEOだろう。なんと言っても彼は、ロケット・ブースターをリサイクルすると言い張って宇宙航空産業界を唖然とさせ、自分の道を突き進み、再利用は可能だと実証してみせた、もとい、あたかもそれがたやすいことであるかのように見せた男なのだ。

しかし、自ら設定した期限を守ることとなると、これまでのマスクCEOの実績はまちまちだ。テスラは今週、組立てラインから最初の1台を送り出すという目標を達成するかもしれないが、十分な速度で生産を維持できるかどうかは、また別の挑戦となるだろう。

(関連記事:“Why Tesla Is Worth More Than GM,” “テスラモーターズは2018年に年間50万台も自動車を製造できない,” “テスラの自動車工場はブラックか? ホワイトか?”)

人気の記事ランキング
  1. Potential Carbon Capture Game Changer Nears Completion 二酸化炭素を完全に回収、 「未来の火力発電所」が 間もなく稼働
  2. DENSO A.I. TECH SEMINAR 2017 機械学習でクルマはどう進化するか?第一人者が集う技術セミナー
  3. The Truth about China’s Cash-for-Publication Policy ネイチャー掲載で年収20倍、中国の報奨金制度の実態が判明
  4. Amazon Has Developed an AI Fashion Designer ファッション業界に衝撃、 アマゾンがAIデザイナーを 開発中
  5. Are There Optical Communication Channels in Our Brains? 人間の脳内に光通信チャネルが存在する可能性
タグ
クレジットImage courtesy of Tesla
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
「ビジネス・インパクト」の記事
人気の記事ランキング
  1. Potential Carbon Capture Game Changer Nears Completion 二酸化炭素を完全に回収、 「未来の火力発電所」が 間もなく稼働
  2. DENSO A.I. TECH SEMINAR 2017 機械学習でクルマはどう進化するか?第一人者が集う技術セミナー
  3. The Truth about China’s Cash-for-Publication Policy ネイチャー掲載で年収20倍、中国の報奨金制度の実態が判明
  4. Amazon Has Developed an AI Fashion Designer ファッション業界に衝撃、 アマゾンがAIデザイナーを 開発中
  5. Are There Optical Communication Channels in Our Brains? 人間の脳内に光通信チャネルが存在する可能性
ザ・デイリー重要なテクノロジーとイノベーションのニュースを平日毎日お届けします。
公式アカウント