KADOKAWA Technology Review
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材料科学
35歳未満のイノベーター35人 2025材料科学
新しい材料は幅広い科学的応用の可能性を持っており、イノベーターたちはスマートフォンの画面、あるいは月面に行き着く可能性のあるプロトタイプを開発している。

Zihao Ou ジーハオ・オウ (32)

所属: テキサス大学ダラス校

食用色素分子を使ってマウスを透明にする。

X線や超音波などの医用画像技術は、切開することなく人体内部を観察することを可能にする。しかし、32歳の生物物理学者ジーハオ・オウは、より根本的な方法を採用している。皮膚、筋肉、結合組織を透明化し、マウスの臓器を直接視認できるようにするのだ。

研究初期において、オウは可視光や紫外線などの電磁波が体内のナノ粒子や分子とどのように相互作用するかに関心を持っていた。

光波が物質表面に当たると散乱が生じる。例えば、炭酸水の泡に光が反射することで水は乳白色に見える。同様に、体内では脂質やタンパク質、脂肪に光が当たることで散乱が生じ、組織は不透明に見える。

オウは、この散乱を低減できる可能性に気づいた。使用する光の特定波長を吸収する分子を導入すれば、光は他方向へ散乱せず直進できると考えたのである。

理論を確立した後、オウと同僚はその条件を満たす分子を探索した。少量で強い光吸収を示し(すなわち強い色を呈し)、かつ安全であることが求められた。

オウは食品用色素や香料を製造する企業に連絡し、鶏胸肉片で試験するための複数のサンプル提供を依頼した。その中の1つ、スナック菓子やシリアル、清涼飲料に添加される黄色色素が効果を示した。光を吸収することで散乱を抑制したのである。塗布から数分以内に、鶏肉は半透明になった。研究が行なわれたスタンフォード大学のロゴを鶏肉の下に置くと、徐々に見やすくなっていくのが確認できた。

次の実験は生きたマウスだった。色素を含むクリームを腹部に塗布すると、「数分以内」に内臓が視認できるようになったと彼は述べる。「腸や肝臓、時には膀胱も見ることができます」と付け加える。

研究成果がサイエンス誌に掲載されると、冗談も寄せられた。ドリトスなどのスナック菓子を食べた後に手を洗うのを忘れて偶然に発見したのか、と他の科学者たちから尋ねられたという。彼の答えは、「そうだったらよかったのに!」だった。

次の課題は、人間の皮膚(マウスよりはるかに厚い)を透明化する方法を見出すことである。そのためには、より強力に光を吸収できる分子が必要となるだろう。オウらは医用画像技術の改良も検討している。「今後5年から10年以内に、この技術を患者に対して実証できることを本当に望んでいます」。

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