イアン・バークハートがノースカロライナ州のビーチでの飛び込み事故により四肢麻痺となったのは19歳のときだった。腕には部分的な可動性が残ったが、手はまったく動かなかった。彼の人生は一変した。そして2014年、実験的なブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)を移植されたことで、再び大きな転機を迎えることになるとは当時は想像もしていなかった。
その後7年半にわたり、バークハートは96個の電極から成る小型アレイを用いたインプラント(運動皮質のニューロン活動を記録する装置)を使用し、腕に装着した電子スリーブを制御した。彼が手を動かすことを思い描くと、この「神経バイパス」が筋肉に電気刺激を送り、手を閉じさせた。時間の経過とともに、彼は「Guitar Hero(ギター・ヒーロー)」を演奏できるまでになった。
バークハートがこのデバイスを使用したのは研究室内に限られていた。彼は、脳インプラントがどのように運動機能を回復し得るかを探究する研究チームの一員だったのである。しかし、研究資金が枯渇し、さらに感染症が発生したため、医師がインターフェースの摘出を勧める事態となり、これは彼にとって新たな挫折となった。
しかし現在34歳となったバークハートは、そこで諦めることはなかった。代わりに、脳インプラント患者の提唱者となり、自身も研究活動に携わるようになった。バークハートはBCIパイオニア連合(BCI Pioneers Coalition)の創設者であり、米国食品医薬品局(FDA)に助言をしている。さらに昨年、学術誌ネイチャー・レビューズ・バイオエンジニアリングに掲載された脳インプラントの歴史に関する包括的レビュー論文で第2著者を務めた。
「より多くの人がこの技術にアクセスできるようにしたい――それが私の個人的な願いです」とバークハートは語る。「そして、ユーザー自身が発言することは本当に重要です。ほかの人々がこの技術の恩恵を受けられるように、自分の体験をできる限り共有したいと強く感じました」。
彼は再びインプラントを受けるだろうか。イーロン・マスク率いるニューラリンク(Neuralink)は、次世代デバイスの臨床試験を進めている。バークハートは、その可能性について前向きに検討していると述べている。
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