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コンピューティング
35歳未満のイノベーター35人 2025コンピューティング
計算資源への需要はかつてない水準に達しており、これらのイノベーターは新たなAIチップや特化型データセットによってその要請に応えている。さらに、高度化するシステムの安全性をどのように評価するかについても、洗練されたアイデアを提供している。

Elissa Redmiles エリッサ・レッドマイルズ (30)

所属: ジョージタウン大学

人間の経験を技術設計に取り込む新しい方法を開拓している。

メリーランド大学でコンピューターサイエンスの博士課程を開始した当初、エリッサ・レッドマイルズは、デジタルセキュリティ研究に重大な空白が存在することに気づいた。異なるアイデンティティや人生経験が、安全性に対する個人の認識にどのように影響するのかを十分に考慮している研究者はほとんどいなかったのだ。人間の能力や行動が技術設計に及ぼす影響を扱う研究は存在したが、その多くは、人々はセキュリティリスクを理解していないため専門家が教育したり意思決定を代行したりすべきだという、家父長的前提を共有していたと彼女は指摘する。

30歳のレッドマイルズが実証研究を進めると、異なる実態が繰り返し明らかになった。困難な状況に置かれた人々を含め、多くの人はリスクを理解している。しかし、デジタル上の安全性を、自身がより重大と考える他の脅威との間で調整せざるを得ない場合があるという。例えば、欧州のセックスワーカーは、顧客の要望により暗号化アプリへ移行できないと彼女に語った。

現在、ジョージタウン大学のコンピューターサイエンス助教授として、レッドマイルズはこの知見を発展させ、ユーザー参加をコンピューターサイエンスとセキュリティ研究に体系的に組み込む方法を開拓している。社会科学、経済学、計算手法を統合し、利用状況に応じてセキュリティ意思決定に影響する要因を開発者が優先順位付けできる枠組みを構築している。

パンデミック期には、人々が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)接触追跡アプリに対して抱く認識を把握する研究を実施し、その結果に基づく実証的ガイダンスを米国7州および複数の外国政府に提供した。

近年は、画像ベースの性的虐待への対策にも取り組んでいる。彼女は、親密画像の非同意共有を抑制するため、政策立案者にデータと分析ツールを提供する研究集団セーフ・デジタル・インティマシー(SafeDigitalIntimacy.org)の創設者である。また、「IBSAプリンシプル」の共著者として、政府やプラットフォームが初期段階から画像ベース性的虐待に対処するための指針を策定した。このプログラムは昨年、当時のジョー・バイデン大統領により発表され、マイクロソフトやフェイスブックを含む主要10社が署名している。

レッドマイルズは、これらの取り組みが最終的に技術開発の在り方そのものを変革することを期待している。生成AIの不適切出力の検出、アプリにおけるプライバシー保護の設計、親密なデジタル相互作用を守るためのツール選択などにおいて、技術的専門知識と人々の実体験とを均衡させることが必要だと考えている。

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