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Gut probe in a pill

ピル型腸検査装置

幼児にも使える小型の経口機器が、麻酔なしで詳細な腸の画像を撮影する。 あまり知らないかもしれないが、環境腸管機能障害(EED)は極めて高い医療費がかかる病気の1つである。炎症を起こした腸壁から栄養が生体内に漏れやすくなる … 実現時期: by MIT Technology Review Editors2019.04.22

ブルース・ピーターソン

幼児にも使える小型の経口機器が、麻酔なしで詳細な腸の画像を撮影する。

あまり知らないかもしれないが、環境腸管機能障害(EED)は極めて高い医療費がかかる病気の1つである。炎症を起こした腸壁から栄養が生体内に漏れやすくなるため、栄養が十分に吸収できなくなるのが特徴で、貧困国では一般的な疾患だ。多くの人が栄養不良のため、発達に遅れがあり、平均身長に達することができなくなる理由の1つとなっている。EEDの原因が何であるか、どのように予防や治療ができるのかはまだ解明されていない。

EEDを検出するための効果的なスクリーニングは、医療従事者が、いつ、どのように介入すべきかを判断するのに役に立つ。すでに幼児に対する治療は可能だが、幼児の腸疾患の診断や研究には、麻酔をかけたり、喉から内視鏡を挿入しなければならないことが多いからだ。高価で不快な上、EEDが蔓延する地域では実用的ではない。

そのため、ボストンのマサチューセッツ総合病院(MGH)の病理学者でエンジニアのギレルモ・ティアニー教授は、腸のEEDの兆候を検査し、さらに組織生検にも使える小型装置を開発している。内視鏡とは異なり、プライマリ・ケア外来でも容易に取り扱える。

ティアニー教授の経口カプセルには、小型顕微鏡が装備されている。また、柔らかいひも状のコードが取りつけられ、電力や光を供給したり、モニターを装備したブリーフケースのような操作盤に画像を送ったりしている。このコードを用いて、医療従事者が目的の箇所でカプセルを停止したり、終了後カプセルを引き抜いたりできる。コードは滅菌後、再利用可能だ。ティアニー教授のチームは、再利用しても不快に感じない手法を開発したという。また、このカプセルには、単一の細胞レベルの解像度で、腸の表面全体を映し出したり、数ミリメートルの深さの横断面を3Dで捉える技術を搭載している。

この技術には、さまざまな用途がある。MGHでは、食道がんの前兆であるバレット食道のスクリーニングに使用している。EEDに関しては、ティアニー教授のチームが、カプセルを飲み込めない幼児向けに、さらに小型のカプセルを開発した。EEDが流行するパキスタンの若者を対象にした試験が行なわれ、幼児向けの試験は2019年に計画されている。

この小型検査機器は、EEDがどの細胞に影響を及ぼしているか、あるいはどの細菌が関与しているかなどの、EEDの発生に関する疑問を解決し、介入(医療機器を人体に適用する医療行為)や潜在的な治療法を評価するのに役立つだろう。

(コートニー・ハンフリーズ)

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