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New-wave nuclear power

原子力発電所の新たな波

より安全で安価な次世代の原子炉として、第4世代核分裂炉や小型モジュール原子炉の開発が進んでいる。永遠に実現しないとすら言われていた核融合炉についても、進展が見られる。 実現時期: by MIT Technology Review Editors2019.04.22

ボブ・ムンガード(コモンウェルス・フュージョン・システムズCEO)/マサチューセッツ工科大学(MIT)プラスマ科学・核融合センター

次世代の原子炉として、核融合炉や核分裂炉の実現が近づきつつある。

この1年で進展した新しい原子炉設計技術により、次世代の原子炉は、より安全で安価になるだろう。具体的には、従来の設計を進化させた第4世代の核分裂炉、小型モジュール原子炉、永遠に手が届かない技術と思われている核融合炉などが含まれている。カナダのテレストリアル・エナジー(Terrestrial Energy)やワシントンに本拠地を置くテラパワー(TerraPower)など第4世代の核分裂炉を設計する企業は、(いくらか楽観的かもしれないが)2020年代までの送電網への供給開始を目指して、公益事業と研究開発パートナーシップを締結している。

小型モジュール原子炉は通常、数十メガワットの電力を生産する(ちなみに、従来の原子炉の発電量はおよそ1000メガワットだ)。オレゴン州のニュースケール(NuScale)は、小型モジュール原子炉ならば、コストを削減し、環境面や財政面のリスクを減らせるという。

核融合炉も進展している。2030年までに実現するとはだれも期待していないもののの、ジェネラル・フュージョン(General Fusion)やマサチューセッツ工科大学(MIT)のスピンアウトであるコモンウェルス・フュージョン・システムズ(Commonwealth Fusion Systems)のような企業は前進している。核融合をただの夢物語と考える人は多い。しかし、核融合炉はメルトダウンが起こりえないうえ、長期にわたって放射能が残留する「高レベル放射性廃棄物」が出ないため、従来の原子炉より社会的抵抗はずっと小さいだろう。(ビル・ゲイツは、テラパワーとコモンウェルス・フュージョン・システムズに出資している)。

(リー・フィリップス)

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MIT Technology Review編集部 [MIT Technology Review Editors]米国版 編集部
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