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The cow-free burger 牛のいらないハンバーガー

実験室で作られた培養肉であろうが植物由来であろうが、代替肉は環境を破壊することなく、本物の食肉に近い味と栄養価を提供する。 牛のいらないハンバーガー なぜ重要か 畜産は、壊滅的な森林減少や水質汚染、温室効果ガス排出を引き …

by MIT Technology Review Editors 2019.04.22
実現時期
植物ベースの代替肉は実現済み。培養肉は2020年頃

ブルース・ピーターソン/スタイリング:モニカ・マリアーノ

実験室で作られた培養肉であろうが植物由来であろうが、代替肉は環境を破壊することなく、本物の食肉に近い味と栄養価を提供する。

牛のいらないハンバーガー

なぜ重要か
畜産は、壊滅的な森林減少や水質汚染、温室効果ガス排出を引き起こす。
キー・プレーヤー
ビヨンド・ミート(Beyond Meat)、インポシブル・フーズ(Impossible Foods)
実現時期
植物ベースの代替肉は実現済み。培養肉は2020年頃。

国連の予想では、2050年までに世界の人口は98億人になるという。その頃には、人々はさらに豊かになっているだろう。気候変動にとっては良くない兆候だ。人間は貧困から脱却すると、より多くの肉を食べる傾向があるからだ。

国連の予想によれば、食肉消費量は2050年までに2005年比で70%増加するという。つまり、人間の食肉消費のために動物を飼育することが、環境に最も悪影響を与えるのだ。

動物からタンパク源を摂取する場合、西洋の工業化された畜産方法で450グラムの食肉タンパク質を作るには、植物性タンパク質と比べて、4~25倍の水と6~17倍の土地、6~20倍の化石燃料が必要になる。

問題は、人間は簡単には肉を食べるのを止めそうにないことだ。つまり、培養肉や植物ベースの代替肉が、環境破壊を抑えるための最善の方法なのかもしれない。

培養肉とは、動物から筋肉組織を取り出しバイオリアクターで培養したものだ。研究者は味の向上に取り組んでいるが、最終製品の味は、動物の食肉と極めて似ている。培養肉を大規模に生産しようとしているオランダのマーストリヒト大学の研究者は、2020年までに培養肉のハンバーガーを市場に投入できると考えている。培養肉の欠点は、環境面の利点が小さいことだ。最近の世界経済フォーラムの報告によれば、培養肉の温室効果ガス排出量は、牛肉の生産による排出量より7%少ないだけだという。

ビル・ゲイツが出資しているビヨンド・ミート(Beyond Meat)やインポシブル・フーズ(Impossible Foods)などが作る植物由来の代替肉は、もっと環境に優しいかもしれない。これらの代替肉は、ピープロテイン(エンドウ豆由来プロテイン)や大豆、小麦、じゃがいも、植物油を使って食感や味を模倣している。
ビヨンド・ミートは、カリフォルニア州に2400平方メートルの新工場を持ち、すでに3万もの店舗やレストランを通して2500万個以上のハンバーガーを販売している。ミシガン大学のサステナブル・システム・センター(Center for Sustainable Systems)の分析によれば、ビヨンド・ミートのパテを作ることで排出される温室効果ガスは、牛から作られた従来のハンバーガーよりもおそらく90%少ないという。

(マーカス・ロヴィート)

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