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Sanitation without sewers

下水管のいらないトイレ

世界ではまだ、約23憶人が衛生的なトイレ設備のない生活を送っており、子供たちの死亡原因の9人に1人は下痢である。研究者たちはこうした人たち向けに、排泄物を全てその場で処理できる、下水設備要らずの安価なトイレの開発を進めている。 実現時期: 1~2年 by MIT Technology Review Editors2019.04.22

THEDMAN | GETTY

エネルギー効率の高いトイレは、下水道設備なしでも動作し、その場で廃棄物を処理できる。

下水管のいらないトイレ

・なぜ重要か
23億人が、安全な衛生設備を持たず、結果として多くの人が死んでいる。
・キー・プレーヤー
デューク大学、サウスフロリダ大学、サウスフロリダ大学、バイオマス・コントロール(Biomass Controls)、カリフォルニア工科大学・
実現時期
1~2年

世界で約23億人の人々が、安全な衛生設備のない生活を送っている。適切なトイレのない住民は、近くの池や小川に糞便を流し、下痢やコレラの原因となるバクテリアやウイルス、寄生虫をまき散らしている。世界中の子どもたちの死亡原因は、9人に1人が下痢である。

現在、研究者たちは、発展途上国でも導入できる安価なコストで、排泄物の廃棄だけでなく、処理もできる新しい種類のトイレの開発に取り組んでいる。

2011年、ビル・ゲイツは、公衆衛生の分野における「Xプライズ」(民間企業を対象にした優勝賞金2000万ドルの月面探査コンテスト)とも言える、「トイレ再発明チャレンジ(Reinvent the Toilet Challenge)」を立ち上げた。コンテストの開始以来、いくつかのチームが試作品を発表している。こうした試作品はすべて、排泄物をすべてその場で処理するので、離れた処理施設まで運ぶ大量の水も必要ない。

試作品のほとんどは自己完結型で下水管を必要としないが、小さな建物か収納コンテナに設置された従来型トイレのような形をしている。サウスフロリダ大学が開発したニュージェネレーター(NEWgenerator)トイレは、バクテリアやウイルスよりも小さな細孔のある嫌気性膜を用いて汚物を取り除く。コネチカットに拠点を置くバイオマス・コントロールズ(Biomass Controls)のプロジェクトでは、海上輸送で使用するコンテナサイズの精製装置を開発している。この装置は、排泄物を加熱して、特に肥料として使用可能な炭素に富んだ物質を作り出す。

これらのトイレの欠点は、使える規模がある程度決まっているということだ。たとえば、バイオマス・コントロールズのトイレは、主として1日に数万人の使用を想定して設計されているため、小さな村にはあまり適さない。デューク大学で開発された別のシステムは、近所同士のような少数の住宅で使用されることを意図している。

したがって、現在の課題は、これらのトイレを、より安価で、さまざまな規模のコミュニティにより適応できるものにすることだ。サウスフロリダ大学でニュージェネレーター・トイレの開発チームを率いたダニエル・イエ准教授は、「1つでも2つでも、ユニットを作るのは素晴らしいことです。しかし、このテクノロジーが本当に世界に影響を与えるための唯一の方法は、ユニットを大量生産することです」。

(エリン・ウィニック)

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