KADOKAWA Technology Review
×
【明日まで】10/31締切 日本初開催 「Innovators Under 35」候補者募集中
2017年、世界を変えるテクノロジー10:自動運転トラック
10 Breakthrough Technologies 2017: Driverless Trucks

自動運転トラック

米国の幹線道路では、じきに運転席に人がないトラックを目にするようになるだろう。巨大なトラックは制御が難しく、現時点では、自律運転の実用化で170万人のトラック・ドライバーの職が奪われるとはいえない。 実現時期: 5~10年 by David H. Freedman2017.02.24

ローマン・マグリエフが18輪の長距離トラックでテキサス州の2車線の幹線道路を走っていたとき、わずか数十m先の対向車が自分側の車線に入ってくるのが見えた。右側は側溝で、左側車線には他の対向車が走っていたため、クラクションを鳴らしてブレーキを踏む以外になかった。「運転を教えてくれた人の声が蘇りました。いつも『誰も傷つけないこと』それが第一のルールだといわれていたのです」とマグリエフは当時を思い出していった。

だが「誰も傷つけ」ずには済まなかった。走行車線を誤った車は、マグリエフのトラックに正面から突っ込んで前輪部を破損した。マグリエフは道路を猛スピードで突っ切りながら、自分のトラックと大破してトラックにめり込んでいる相手の車が他の人をひかないよう、必死で車体を制御しようとした。ようやく停車にさせた後、対向車を運転していた女性が衝突で亡くなっているとわかった。

コンピューターなら、もっとマシなハンドル操作ができただろうか? それとも事態を悪化させただけだろうか?

現在、複数の企業が自動運転トラックを試験中だから、答えはあと数年で明らかになりそうだ。未解決の技術的課題も多いが、開発支持派は、自動運転トラックは低コストで、安全性が高まるという。ドライバー歴40年のベテラン、グレッグ・マーフィーは「自分より自律システムの方が、運転が上手いこともよくありますよ」 という。マーフィーは今、自動運転トラックを開発するサンフランシスコの企業、オットーの試験走行で、安全補助ドライバーとして関わっている。

自動運転トラック

  1. ブレークスルー 幹線道路を自律走行する長距離輸送トラック。
  2. なぜ重要か このテクノロジーによって、トラック・ドライバーはより効率的に輸送業務をこなせるかもしれない。しかし、賃金の低下を招いたり、将来的にトラック・ドライバーという職業そのものが不要になったりするおそれもある。
  3. キー・プレーヤー オットー、ボルボ、ダイムラー、ピータービルト
  4. 実現時期 5~10年

自動運転トラックがもたらす可能性と課題は、一見すると自律走行車全般と同じに思える。しかし、トラックは単に車両が長いだけではない。まず、自律トラックには経済性の面で、無人乗用車よりも明確な合理性がある。自律トラックは幹線道路の長距離走行中、車間距離を調整し、密集した隊列で走ることで風の抵抗が減り、燃料を節約できるのだ。また、行程の一部に自律走行を取り入れることで、トイレ休憩などがなくなり、輸送時間を短縮できる。

しかし、自律トラックが抱える技術的課題は、一般的な自律走行車よりもっと困難だ。オットーなどの企業は 、センサーとプログラムが、長距離トラック・ドライバーの状況認識能力(路面状態の悪さや予想のつかない行動を起こす他のドライバーに対処しながら、ホンダ・アコード25台分の車体重量がある不安定で怪物じみた車を操る長年の訓練と経験によって磨きをかけた技能)と同等の技能があることを実証しなければならない。

おそらく最も重要なのは、自動運転トラックが本格的に普及すれば、自律走行車より、さらに激しい論争の的になることだ。すでに政治経済の各分野で、自動化の脅威がそれぞれの職業に大きな影響を与えている時代(「アメリカ経済はAIとロボットで再び偉大になるか?」参照)に、
自動運転トラックは途方もない数のブルー・カラー労働者を巻き込むことになる。労働統計局によると、 米国では170万人がトラック輸送業に従事している。テクノロジーがトラック・ドライバーに置き換わるにはまだ時間がかかるが、自律トラックがトラック輸送という職業を根本から変えてしまうとき、変化が必ずしも全員に歓迎されないことは、ほぼ間違いない。

  • A human can push the red buttons to the right of the steering wheel to instantly take over from the self-driving system.ドライバーがハンドルの右側についている赤いボタンを押すと、即座に自律走行システムに運転が引き継がれる
  • The driver can sit in the back of the cab while the truck drives itself—albeit in the right lane only.トラックが自律走行する間、ドライバーは後部座席―ただし右側の席のみ―に座っていてもいい。
  • A shipment of Budweiser was loaded onto an autonomous Otto truck last year.昨年、オットーの自律トラックに貨物のバドワイザーが積み込まれた。

「待っているわけにはいかない」

以前は衰退していたサンフランシスコのサウス・オブ・マーケット地区にあるオットーの本社は、この一帯をすっかり変えてしまった他のテック系スタートアップ企業の多くとは異なる雰囲気だ。近隣の企業がオフィスを華やかに改装するのを横目に、堂々と無関心を決め込んでいるオットーの本社は、家具倉庫だった場所をほとんどそのまま整備場と機械工場に変えただけの状態だ。さまざまに解体された状態のセミトレーラー・トラックが、工具とコンピューターだらけの作業台の向こうに置かれている。「ここは派手で華麗なオフィスじゃありません」と得意げにいうのは、オットーのエリック・バルディニス製品マネージャーだ。

若く整った身なりのバルディニス製品マネージャーが取材時に公開したテクノロジーは、急速に進歩する自動運転ソフトウェアの最新世代で、現在は提携先のボルボのセミトレーラーに搭載されている。昨年の試験走行では雑な外観のハードウエアをボルトで締めて取り付けていたが、新バージョンでは、オットーのセンサーと処理装置がボルボの運転台全体に滑らかに一体化されていた。装置は、4つの前方ビデオカメラとレーダー、「ミサイル誘導用の品質に達したと政府のお墨付きをもらえるのに近いレベル」とバルディニス製品マネージャーが胸を張る加速度計ボックスで構成される。

人間のドライバーが自動運転トラックに乗り続けたとして、給料が下がらない保証はどこにもない。

オットーのテクノロジーで特に重要なのは、パルス状のレーザーでトラック周囲の詳細なデータを収集するライダー・システムだ。サードパーティー製ライダー・ボックスを購入すると1個およそ10万ドルかかるが、オットーのチームは1万ドル以下で自社製のライダーを設計した。

運転台にあるオーブントースターの大きさほどの特別製・超小型・水冷スーパー・コンピューターは、この小さなパッケージに詰め込んだものとしては史上最強のコンピューティング・パワーを発揮する、とバルディニス製品マネージャーはいう。コンピューターの役割は、センサーから流れ込む大量のデータを処理し、トラックの積荷に応じてブレーキとハンドルの操作指令を調節する誘導アルゴリズムに処理させることだ。数々のハードウエアの最後に説明されたのは「ドライブ・バイ・ワイヤ」のボックスで、コンピューターの出力を物理的なトラックの制御信号に変換する。トラックの機械的ステアリングやアクセル、ブレーキシステムに取り付けた電磁アクチュエーターでトラックを制御するのだ。運転台にあるふたつの「大きな赤いボタン」は、緊急時に全ての自動運転機能を自動車の制御から切り離すためにある。だが「ビッグ・レッド・ボタン」がなくても、運転席にいる人が緊急のハンドル操作をしたりペダルを強く踏んだりすれば、人間に制御を移すようにシステムは設計されている。

2016年前半にオットーを設立したのは、グーグルの自動運転車計画に参画していたアンソニー・レバンダウスキーとグーグル・マップのリーダーだったリア・ロン、その他の2人だ。グーグルの自律自動車が米国の複数の州で320万km以上の道路を走って得た膨大な経験を元に、米国だけでも400万台あるトラックへと展開するのは、自然な流れだった。ボルボ・トラックやダイムラー・トラック、ピータービルトは、独自の自律トラック・テクノロジーを研究している。

Greg Murphy, left,a longtime long-haul trucker, keeps an eye on things during tests of Otto trucks.<br><br>Roman Mugriyev, right, wonders how well self-driving trucks would handle dangerous situations.
オットーのトラック試験中の出来事に目を光らせる、ベテラン長距離トラック・ドライバーのグレッグ・マーフィ(左)と自動運転トラックが果たして危険な状況を切り抜けられるか疑問に思うローマン・ムグリエフ(右)

昨年8月にウーバーがオットーを推定6億8000万ドルで買収したのは承知のことだろう。この買収でオットーのチームは、ウーバーで自動運転テクノロジーの研究に関わる約500人の技術者を使えるようになった、とバルディニス製品マネージャーはいう。オットー創業者のレバンダウスキーは現在、ウーバー向けの計画を指揮しているが、ウーバーは貨物と旅客の両方を扱う包括的で大幅に自動化された交通網の提供を目指している。

オットーのテクノロジーを搭載した公道を走れるトラックは7台しかないが、やがてもっと多くのトラック所有者が装置を無料で借り受けて搭載し、試験に協力してくれるとオットーは期待している。オットーはこのテクノロジーのコストを1、2年で元が取れるまで切り下げるつもりでいる、とバルディニス製品マネージャーはいう。後付け装置で約3万ドル程度になるだろう。「やがて政府がこのテクノロジーを義務づけ、トラック製造業者が自社の車両に組み込むだろう、と私たちは期待しています。ですが、新型トラックの開発は8年サイクルで、弊社は8年後まで待つわけにはいかないのです」

コストカット

昨年10月、オットーの自律トラックがバドワイザー・ビール2000ケースを積み、インターステート25号に乗ってフォート・コリンズからコロラド・スプリングスまでの200kmを走って輸送した。その間、トラックにただひとり乗っていた人間は後部の寝台にいて、トラックを運転してはいなかった。

この試験走行は自動運転の大型トラック初の商用輸送であり、自動運転テクノロジーの可能性を例示した。しかし同時に、現時点での限界も明らかになった。自動運転はまだ細い田舎道や市街地の運転に対応していないので、幹線道路以外の道では従来通り人間のドライバーが運転したのだ。幹線道路の走行でも一番右側のレーンが空くように、トラックの前方にオットーの車が1台先導していた。米国の多くの道路では、トラックの走行は一番右側のレーンに限られていること、また一番右のレーンが安全だとされており、オットーのシステムは一番右側のレーンを走るようプログラムされている。さらにオットーの従業員やコロラド州ハイウェイパトロールの自動車数台がトラックの周囲を囲んでいた。

オットーの自律トラックの他の試験では、グレッグ・マーフィーのようなプロのドライバーが運転席に座り、たとえ幹線道路上であっても即座に人間の運転に切り替えられるよう準備されている。さらにオットーの従業員がもうひとり同乗し、道路上の障害物や工事を見つけるとマーフィーは緊急スイッチを押すのだ。「常にハンドルを握り、すぐ反応できるよう集中していました。普通に運転するよりも大変でしたね」とマーフィーはいう。(わたしはオットーの試験運転への同乗に招待されたが、約束の時間きりぎりになってスケジュールの伝達ミスがありトラックには乗れないと伝えられた。キャンセルの原因は当日朝の豪雨だったのではないかと疑っている。豪雨では自動運転のシステムに狂いが生じる。しかしオットー側はあくまで伝達ミスだと言い張った)

実際、オットーはドライバーを乗せずにトラックを運行できる製品のリリース予定はないという。「ドライバーなしで走るトラックの実現には少なくともあと10年はかかります」とバルディニス製品マネージャーはいう。しかし幹線道路の走行中にドライバーが運転席から離れ、車の後部でくつろいだり仕事をしたり、昼寝をしたりするのはまさにオットーの想定内だ。そして、ここにこそ自律トラックの一番の経済効果が現れる。法によりドライバーの運転時間は1日11時間、1週間で60時間までに制限されている。新品のトラックに約15万ドルの費用がかかるとして、商品の輸送中に休憩が挟まれることで多くの時間がムダになっていると考えると、ほぼ毎日24時間走り続けるトラックは輸送費の大幅な削減につながる。

Otto says it has no intention of getting drivers out of the cab entirely—at least for the next decade.
オットーによれば、少なくとも今後10年間は、トラックを完全に無人にするつもりはない

約37万kmの総延長距離がある米国の幹線道路を自動走行するトラックには、他にもコスト削減の可能性がある。燃料は長距離トラックの稼働コストの約1/3を占めているが、燃費を最大限に高める走り方ができるにもかかわらず、多くのドライバーがスピードを出しすぎているのだ(バルディニス製品マネージャーによれば、最高レベルと最低レベルのドライバーを比較すると、燃費が30%違う)。オットーのシステムは、最適な速度と加速で走り続けるようプログラムされている。

また、事故を減らす可能性もある。トラックやバスの事故の犠牲者は米国内で年間約4000人、けが人は10万人にも上る。トラックの死亡事故の約7件に1件は、ドライバーの疲労に関係する。さらに全事故の90%以上は、原因の少なくとも一部にドライバーのミスが関わっている。自動運転でこうしたミスがどれほど減るのかはまだわからない。あるいは新たなミスの原因になる可能性もあるが、自動運転車の試験では、自動運転を導入することでミスが減る結果が出ている。

自律トラックがドライバーを必要とする限り、ドライバーの雇用は安泰だろう。やり方によっては、平均4万ドルの年収を増やせるかもしれない。なにしろ1日11時間トラックを運転するのはストレスがかかる。2013年に起きたテキサス州の事故に関わったドライバーのマグリエフ(過失はないと認められた)は「身体的にも精神的にも疲れます」という。バルディニス製品マネージャーによれば、オットーのトラックが自動運転中、ドライバーは車内でくつろいだり眠ったりできるし、空いた時間にトラック輸送に関わる膨大な書類を片づけたり、帰路の移動も仕事にできるよう「帰りの仕事」を探したり、また家族や友だちと話したりできるし、副業や経営にあててもいいという。「その時間をどう過ごそうと、運転する分の給与は得られるのです」

こうした潜在的なメリットは、トラック・ドライバーの雇用と職業訓練の追い風になりうる。米国とヨーロッパではドライバーがかなり不足しており、重大な問題だ。米国トラック協会は現在米国内でドライバーが約5万人不足していると見積もっており、今後8年間で約90万人のドライバーを増やす必要があると予測している。ボルボ・トラックのカール・ヨハン・アルムクビスト・ディレクター(製品の安全責任者)は「ドライバーを用意できるならトラックを10台新しく買いたいというお客様がいます」という。

自律トラックが運送会社とドライバーにもたらす潜在的利益は、オハイオ州政府も支持している。オハイオ州は7万人以上のドライバーを抱えるトラック輸送の要所だ。州は1500万ドルを投じて約56kmの幹線道路をコロンバス近郊に建設し、自律トラックの試験場にした。米国トラック協会とオハイオ州トラック協会のトップはいずれも、自律トラックはトラック・ドライバーの利益にかなっていると公式に提唱している。

とはいえ、自動運転テクノロジーの影響はトラック・ドライバーが魅力的な職業になるだけにとどまらない。運送会社にとっては人手不足を解消する手段にもなりうる。ドライバーの人件費は1.6kmごとのトラック稼働コストの3分の1を占めているというのに、将来的に自動運転システムが人間なしで稼働するようになったとき、人間のドライバーを雇っておく理由はあるだろうか?

近い将来予想されるとおり、自律トラックにドライバーが乗り続けるとしても、経済の原則はドライバーの味方になるとは限らない。なぜなら現在、ドライバーがトラック後部で過ごしている間の給与を運送会社が払うよう定める規制はないからだ。さらに運送会社は競争のため、休まずに走るトラックで実現したコストダウンをもとに運賃を下げていくことを強いられるだろう。そして運賃が下がればドライバーの給与に影響がないとも限らない。マグリエフは「自動運転テクノロジーで運賃が下がれば会社は『前ほど運転しなくなったんだから、給与も下がったよ』というでしょうね」という。

安全性への疑問

オットーのテクノロジーは、約36トンのトラックを交通量の多い幹線道路で運行できるほど安全だろうか? オットーの試算によると、後部座席で休んでいるドライバーが運転席に座って運転できる態勢になるまで30秒はかかるから、ドライバーが同乗しても、システムの欠点を十分には補えない。

グーグルの自動運転車で得たさまざまな経験は励みになる。7年以上にわたり何百kmも走行したのに衝突事故はたったの20件だったのだ。しかも自動車の欠陥が認められた1件は合流時の事故で、オットーの車両では合流のような高度な運転は人間のドライバーの仕事だ。

しかし、そうした実績があっても、自動運転トラックが安全とは言い切れない。バルディニス製品マネージャーが指摘するように、トラックは危険を回避するために、車のようにはよけられないのだ。高速で走行中に急ハンドルを切れば、トラックはスリップして荷台が左右に振れ、荷台と運転台がV字型に折れ曲がるジャックナイフ現象を起こすかもしれない。時速約89kmで走行するトラックは、ブレーキがかかった瞬間から止まるまでにサッカーコートの1面分以上の制動距離が必要だ。車線内を走行するトラックの両側には、約15cmの余裕しかない。つまり、トラックの横で起きるどんなに小さな危険でも、車線を逸脱せずにはよけられないのだ。バルディニス製品マネージャーは「乗用車自動運転用の回避アルゴリズムのほとんどはトラックには適用できません」という。

A key detail not seen in most images of the Budweiser delivery: Otto staff and police riding nearby in cars to ensure safety.
バドワイザーを配達する画像には写っていないが、実は、オットーのスタッフと警察が、周辺の自動車に乗って安全性を確認しているのは重要なポイントだ

トラックのメリットのひとつは、運転台の上にいくつかセンサーが付いていて、高い位置からずっと先の交通状況を見られることだ。しかし、最先端のセンサーでも正確で曖昧さのないデータを出すのは難しい。明るい日差しでは一時的にカメラが写らなくなるし、コンピューターは横にいる車と大きな広告看板を区別できないこともある。システムは、雪や氷、砂で誤作動することもある。近くにいるドライバーの表情やジェスチャーからその車両の運転行動を予測できない。さらに、ヒッチハイカーと車を路肩に寄せるようジェスチャーで示す建設作業員を区別できるシステムは、ほとんどないだろう。

自動運転の乗用車は、こうした制限の中でも、大部分が都市部の運転ではうまくいく。だが幹線道路の速度は速く、トラックの操縦性は悪いので、トラックでは期待したような結果が得られないことがある。「弊社はこのような課題に対してまだ問題を抱えています」とボルボ・トラックのアルムクウィストはいう。大型トラックのドライバーの多くは、数カ月間教習所に通い、教官が見守る中で何千kmも走行してから1台の大きなトラックを受け持つ。そのため、自動運転が人間のドライバーの技能に達するのは、乗用車よりもトラックの方が難しいのだ。たとえば、自分が経験したのと同じことが、果たして自律システムにできるだろうかとムグリエフは考える。衝突でつぶれた乗用車を正面に引きずり前輪がパンクしたトラックを、何とか安全に止めるのだ。

このような安全性の心配から、ボルボでは今のところ自律トラックを公道で試験する計画はない。その代わり、鉱山や港のような私有地に限って試験するというのだ。「公道では、このテクノロジーを運転者支援のために使い、ドライバーに取って代わることはしません」とアルムクウィストはいう。自動運転が社会に受け入れられるのか、ボルボはまだ確信が持てずにいる。ボルボは自律トラックの試験中に、追い越していく乗用車のナンバープレートを照合し、突き止めた所有者に感じたことを質問することすらある。

バルディニス製品マネージャーは課題があることは認めるが、オットーのテクノロジーは急速に発展しているので克服できるという。「トラックの運転を即座に人間に代わってもらう状況はないと確信できるまで、製品を出荷することはありません」とバルディニス製品マネージャーはいう。

オットーは自社のシステムが幹線道路に対応できると規制当局を説得する必要がある。ウーバーは旅客サービスを求める消費者に支持されて公道を走り始め、後から規制をめぐる争いになった。自律トラックでは、オットーは全て厳格に規則に従うとバルディニス製品マネージャーは述べた。

ボルボのアルムクウィストでさえ、このテクノロジーはそれほど遠くない将来に公道に出ると考えている。だがタイミングは重要だ。「もし早過ぎて事故を起こせば、この産業全体に損害を与えます。そして社会全体の信頼を失えば、回復するのはとても困難です」ともアルムクウィストはいう。

訂正:2月24日21時公開時の「米国では1700万人がトラック輸送業に従事している」は、「米国では170万人がトラック輸送業に従事している」の誤りでした。訂正してお詫びいたします。(12月12日17時55分)

人気の記事ランキング
  1. OSIRIS-REx collected too much asteroid material and now some is floating away NASA探査機、小惑星のサンプル採取に成功も多過ぎて蓋が閉まらず
  2. The deadline for IU35 Japan entries is approaching Innovators Under 35 Japan、候補者の応募・推薦締切迫る
  3. There might be even more underground reservoirs of liquid water on Mars 火星の南極に新たな地下湖、生命体が見つかる可能性も
  4. Satellite mega-constellations risk ruining astronomy forever 増え続ける人工衛星群で天体観測が台無し、解決策はあるか?
  5. Room-temperature superconductivity has been achieved for the first time 世界初、15°C「室温超伝導」達成 夢の新技術へ突破口
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る