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【トランプ政権の100日】米国の科学技術政策はどうなるのか?
コネクティビティ 100 Days in, Few Clues about Trump’s Tech Agenda

【トランプ政権の100日】米国の科学技術政策はどうなるのか?

トランプ政権誕生から100日以上過ぎ、米国の科学技術政策の方針は一部を除いて何もわからない状態が続いている。サイバー・セキュリティ、気候変動、インターネット・プライバシー、CRISPRについて検証する。 by Mike Orcutt2017.04.28

ドナルド・トランプは、大統領就任前、現在最も議論の的になっているテクノロジー政策課題のいくつかに関して、どう考えているのかほぼ何も触れなかった。トランプ政権発足から100日が過ぎたが、ほとんど何もわからない状態がいまだに続いている。

選挙戦を通じて、国家安全保障政策について強い姿勢で臨み、オバマ時代の遺産を払拭すると強く訴えてはいたが、トランプ政権は喫緊の課題の、サイバー・セキュリティやインターネット規制、気候変動さえ、どう対処していくのか方針が定まっていないようだ。

サイバー・セキュリティがここまで複雑な問題になると誰が予想できたか。

トランプ大統領は、待望のサイバー・セキュリティに関する大統領令に、4月28日に署名するとの噂がある。しかし今のところ、この件に関しては1月に就任から90日以内に計画を発表するチームを指名すると約束して以来、全く音沙汰がない状態だ。 大統領令の草案がいくつかリークされているが、最新の案では連邦政府のネットワーク保護に力点が置かれている。しかし具体的な行動計画はほとんどない。トランプ大統領のサイバー・セキュリティ最高顧問のひとりが先週語ったところでは、大統領はボットネット(ハッキングされたコンピューターを接続したネットワーク)を減らすよう、自発的な努力を呼びかけるという。ハッカーはボットネットを利用して強烈なサービス不能(DoS)攻撃を仕掛けられる(「10 Breakthrough Technologies 2017: Botnets of Things」参照)。 しかし全体としては、トランプ政権はどうすればいいのか迷っているようなのだ。

困った話だ。サイバー攻撃は、国家が直面する最大の課題だと考える専門家は多い。ハッカー集団とその攻撃能力は日進月歩で高まっており、米国は無防備なままで、繰り返し標的にされている。直近では大統領選挙戦に大きな混乱をもたらした。政府はいまだに何をもってサイバー戦争行為と見なすのか正式な定義を示しておらず、攻撃を受けてからどう反撃するかについて、正式な規則や基準を一切定めていない。

気候変動:今後もでっち上げ扱いか?

気候変動を現実のことだと認識しているかはともかく、トランプ大統領は気候変動が政府による介入が必要な問題とは見なしていないようだ。大統領は先月大統領令に署名し、オバマ大統領が大統領権限に基づき実施した気候に対する措置の一部を取り消した。さらにオバマ政権の目玉政策と言えるクリーン・パワー・プランの見直しを求めた。トランプ大統領の予算提案が実施されれば、気候変動に対処する目的で開始されたプロジェクトの多くが骨抜きになり、クリーン・エネルギーのテクノロジー開発も止まってしまうだろう。米国エネルギー省傘下の先端研究計画局(ARPA-E)も廃止される。ARPA-Eはジョージ・W・ブッシュ政権が始めたプロジェクトで、民間の投資家ならリスクが高すぎると判断する分野で、エネルギー・イノベーションのブレークスルーを推進する目的がある。

だが、世界各国が最も興味があるのは、パリ環境協定から米国を脱退させる公約をトランプ大統領が実行するかどうかだ。トランプ政権が本当にクリーン・パワー・プランを廃止するなら、国際社会に対する約束を果たすチャンスが台無しになるだろう。いまだに、トランプ大統領は方針を明らかにしておらず、米国エネルギー省長官は最近、約束した事項を「再交渉」できるなら、パリ協定の枠組みにとどまるのに賛成だと述べた。

インターネット・プライバシーの曇った未来

トランプ大統領が就任後最初の100日間で署名した数少ない法律のひとつが災いし、インターネット上の消費者のプライバシーが大きく侵害されることになった。インターネット・サービス事業者(ISP)に、Webの閲覧履歴を含む機微なデータを「利用ないし共有」するにあたって、ユーザーから事前に同意を得るよう義務づけるはずだった規制を撤廃したからだ。この決定は企業寄りで、オバマ政権の方針から明らかに転換している。しかし、大事なのは、とりわけトランプ大統領率いる連邦政府がネット上で消費者を保護する意思があるのかという点で、政府に対する疑念が生まれたことだ。疑念を払拭できるかどうかはオバマ政権が定めたネットワーク中立性に関する規制をどう扱うかでおおむね決まってくる。この規制が今後どうなるかも不明だ。

ISPがユーザーのデータをどう扱えるのかに関する論争は、複雑なプライバシーを巡る難題の一部に過ぎない。この難題の中には司法当局が捜査するにあたって、インターネット企業にユーザーデータにアクセスできるよう協力を求める権限をどの程度与えるべきか、さらにもっと広い意味での政府による監視問題も含まれる (「The Next Big Encryption Fight」参照)。世界中の多くの政府が、米国がこういった課題にどう対処するかを注意深く見守っているところだ。データの共有ないし暗号化に関する国際協定は、トランプ政権の行動(または不作為)によって方向性が定まっていくだろう。

大統領閣下は、クリスパー(CRISPR)をどうお考えですか?

トランプ大統領がバイオテクノロジーにおけるイノベーションにどう影響を与えるのかもわからない状態が続いている。1月に大統領は声明を発表し、新薬に対する「 米国食品医薬品局(FDA)の認可を速める」ことに注力すると述べた。しかし、大統領の予算提案書には、米国立衛生研究所の予算の約5分の1を削減すると書いてある。実際に削減されれば、生物医学の研究開発は途方もなく進歩が遅れてしまいかねない。

一方で、トランプ大統領は MIT Technology Reviewで人気のバイオテクノロジー、遺伝子編集手法のCRISPRの話題には触れてすらいない。国家安全保障上の関心だけが理由だとしても、この件なら触れたくなるかもしれない。

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マイク オルカット [Mike Orcutt]米国版 共同編集者
マイク・オルカットはMIT Technology Reviewの共同編集者です。ワシントンDCに駐在して、米国政府がどのように新興技術を取り入れているか(または取り入れていないか)がわかるような動向を追いかけています。また ワシントンでは、新しいテクノロジー的機会や産業に関わったり妨げになったりする出来事や論争を取材しています。連絡は、mike.orcutt@technologyreview.comまでお願いします。
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