Aditya Raguram アディティヤ・ラグラム (27)
新たなウイルス様粒子を設計し、遺伝子編集ツール「CRISPR」をより実用的なものにした。
ハーバード大学の博士課程在籍中、アディティヤ・ラグラム(27歳)は、CRISPR(クリスパー)を基盤とする2つの画期的な遺伝子工学ツールの開発に貢献した。いずれも、幅広い遺伝性疾患の治療に応用できる可能性を秘めているツールだ。しかし、大型のタンパク質で構成されるこれらのツールは、DNAの一部を削除し書き換えることができるが、体内の細胞に安全に送達するのは困難だ。ワクチンやその他の治療法で一般的に使われる送達メカニズムである改変ウイルスは、タンパク質を運搬するのに適していない。また、DNAやmRNAの形で細胞に送り込み、細胞内でタンパク質を合成させる方法もあるが、意図しない場所で遺伝子編集がなされるリスクがある。
この問題に対し、ラグラムは博士号取得を前に解決策を考案した。2022年に「35歳未満のイノベーター」に選ばれたサマギャ・バンスコタと協力し、新型のウイルス様粒子(VLP: virus-like particles)を開発した。この粒子は、大型のタンパク質を運搬できるだけでなく、標的細胞に接触した瞬間に内容物を放出することが可能という特徴を持つ。研究チームは、この技術を用いてマウスに遺伝子編集療法を施し、失明の原因となる遺伝子変異を修正する実験を実施した。その結果、一部の視力回復に成功した。
現在、CRISPRを用いた治療は実際に人間にも適用され始めているが、従来の方法では幹細胞を体外で編集し、それを移植する必要がある。ラグラムの技術は、この課題を克服し、一度の注射で遺伝子編集を直接体内で実施するという新たな可能性を切り開くものである。
- 人気の記事ランキング
-
- Stratospheric internet could finally start taking off this year グーグルもメタも失敗した 「成層圏ネット」再挑戦、 2026年に日本で実証実験
- Promotion Emerging Technology Nite #36 Special 【3/9開催】2026年版「新規事業の発想と作り方」開催のお知らせ
- The first human test of a rejuvenation method will begin “shortly” ハーバード大教授主導の 「若返り治療」初の試験へ、 イーロン・マスクも関心
- Microbes could extract the metal needed for cleantech 微生物で「老朽鉱山」再生、バイオマイニングは金属需要に間に合うか
- What’s next for EV batteries in 2026 米国後退、加速する中国支配 EVバッテリー市場、 2026年はどう動く?
