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人工知能(AI)
Vichhika Tep
35歳未満のイノベーター35人 2023人工知能(AI)
この1年間でAIは驚異的な進歩を遂げた。ここに紹介するイノベーターたちはAIを用いてあらゆる分野を再定義し、AIが安全に使用できることを保証しようと取り組んでいる。

Pranav Rajpurkar プラナフ・ラージプルカール (28)

所属: ハーバード大学医学大学院

人間があらかじめ大量の画像にラベルを付けなくても医療画像診断AIを訓練できる「自己教師あり学習」の技法を開発。医療用AIシステムの性能を専門家レベルにまで向上させた。

プラナフ・ラージプルカールは、人工知能(AI)が人間の助けを借りずに医療用の画像を正確に解釈できるように、AI自身で学習する方法を開発している。

ラージプルカールのシステムの性能はすでに人間の専門家レベルに達しており、本来なら見逃されていた可能性のある病変を指摘したり、過剰診断が引き起こす不要な医療処置を防いだりできる。最新モデルである「チェックスゼロ(CheXzero)」は、性能がさらに向上しており、取り扱い可能な画像の種類も増えている。

ラージプルカールは2018年に、胸部レントゲン写真をコンピューターによって診断する初期モデルを発表した。だがこのときには、データが足りないという問題があった。この分野の研究者たちは当時、放射線科医に手作業で画像にラベルを付けてもらい、AIシステムの学習に利用していた。一人の人間が1枚の画像にラベルを付けるのに数分かかる一方で、AIシステムは訓練に数十万枚の画像を必要とする。そのため、この分野の研究開発はすぐに壁にぶつかった。

そこでラージプルカールは、人間によるラベル付けのプロセスを完全にスキップできるの新たなアプローチを開発した。AIシステムは、大量の非公開または公開データセットから得られる医療用画像のセットを、それらにたいてい付随している放射線科医のレポートと比較し、レポートに文章で指摘されている問題と画像を自動的に照合する。こうすることで、チェックスゼロは人間があらかじめデータを準備しておかなくても、大量のデータセットを学習に使用して、画像に見られる潜在的な問題を突き止められるようになる。「自己教師あり学習」と呼ばれる技法だ。

「最終的には患者の医療記録を取り込んで、医師が見落とした可能性のある問題を特定できるシステムを構築することが夢です」と、ハーバード大学医学部生物医学情報学の助教授を務めるラージプルカールは語る。

(ラス・ジャスカリアン)

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