腫瘍細胞の死滅に必要となる放射線量は、腫瘍細胞内の酸素レベルによって異なる。酸素レベルは腫瘍細胞ごとで大きく異なるが、がん専門医は現在、酸素レベルに合わせて放射線量を調整していない。ストラテーゲン・バイオ(Stratagen Bio)のグレゴリー・エクチャン共同創業者は、個別化されたがん治療のために、腫瘍細胞の酸素レベルを読み取るセンサーを開発した。
エクチャン共同創業者は、ボストンにあるブリガム・アンド・ウイメンズ病院(Brigham and Women’s Hospital)の臨床医と話し合った結果、新しいセンサー・ツールの必要性を痛感した。彼は「高線量率小線源療法(high-dose-rate brachytherapy)」というがん治療技術を使った試作装置を開発した。この療法は、医師は1本の中空カテーテルを腫瘍に穿刺し、放射線シード(放射線を出す小さなカプセル)を送り込む。そして必要な放射線量を照射した後に取り除く。
エクチャン共同創業者の試作装置は、最近発明された酸素感受性ポリマー(重合体)の小片を改良したカテーテルの先端に取りつける。カテーテルは通常、MRIで身体のなかを透かしながら入れていくが、同時にカテーテルの先端に取りつけた酸素感受性ポリマーの陽子が励起する。酸素感受性ポリマーの陽子は、酸素が低レベルの状態に比べて、高レベルの酸素に囲まれている場合、平衡に戻る速度がかなり速い。そのため、平衡に戻る速さを利用して、腫瘍のさまざまな部位での酸素レベルの違いをマッピングできる。がん専門医はそれに基づき、放射線を照射するべき場所を特定し、もっとも効果的な照射時間や強度を調整できる。
「正常な組織を心配する必要がなければ、単に放射線を腫瘍全体に広げて照射すればいいでしょう」とエクチャン共同創業者は言う。だが、過度の放射線照射は患者を傷つけることがある。つまり、「放射線を集中して照射する場所がどこかを見つけるのが、とても重要なのです」。
エクチャン共同創業者は、7人の子宮頸がん患者の臨床試験の結果を公表する準備をしている。これはヒトを対象とした最初の試験結果だ。最終的には、自身の酸素検知手法を医療現場のニーズに幅広く活用したいと考えている。
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