Pranav Rajpurkar プラナフ・ラージプルカール (28)
人間があらかじめ大量の画像にラベルを付けなくても医療画像診断AIを訓練できる「自己教師あり学習」の技法を開発。医療用AIシステムの性能を専門家レベルにまで向上させた。
プラナフ・ラージプルカールは、人工知能(AI)が人間の助けを借りずに医療用の画像を正確に解釈できるように、AI自身で学習する方法を開発している。
ラージプルカールのシステムの性能はすでに人間の専門家レベルに達しており、本来なら見逃されていた可能性のある病変を指摘したり、過剰診断が引き起こす不要な医療処置を防いだりできる。最新モデルである「チェックスゼロ(CheXzero)」は、性能がさらに向上しており、取り扱い可能な画像の種類も増えている。
ラージプルカールは2018年に、胸部レントゲン写真をコンピューターによって診断する初期モデルを発表した。だがこのときには、データが足りないという問題があった。この分野の研究者たちは当時、放射線科医に手作業で画像にラベルを付けてもらい、AIシステムの学習に利用していた。一人の人間が1枚の画像にラベルを付けるのに数分かかる一方で、AIシステムは訓練に数十万枚の画像を必要とする。そのため、この分野の研究開発はすぐに壁にぶつかった。
そこでラージプルカールは、人間によるラベル付けのプロセスを完全にスキップできるの新たなアプローチを開発した。AIシステムは、大量の非公開または公開データセットから得られる医療用画像のセットを、それらにたいてい付随している放射線科医のレポートと比較し、レポートに文章で指摘されている問題と画像を自動的に照合する。こうすることで、チェックスゼロは人間があらかじめデータを準備しておかなくても、大量のデータセットを学習に使用して、画像に見られる潜在的な問題を突き止められるようになる。「自己教師あり学習」と呼ばれる技法だ。
「最終的には患者の医療記録を取り込んで、医師が見落とした可能性のある問題を特定できるシステムを構築することが夢です」と、ハーバード大学医学部生物医学情報学の助教授を務めるラージプルカールは語る。
(ラス・ジャスカリアン)
- 人気の記事ランキング
-
- This scientist rewarmed and studied pieces of his friend’s cryopreserved brain 10年冷凍保存の脳は「驚くほど良好」——蘇生は「まったく別の話」
- Future AI chips could be built on glass AIチップの熱問題、解決策は「ガラス」 年内に商業生産へ
- What do new nuclear reactors mean for waste? 新型原子炉が続々登場、核廃棄物管理の「手引き」は書き直せるか
- The Pentagon is planning for AI companies to train on classified data, defense official says 【独自】米国防総省、軍事機密データでAIモデルの訓練を計画