どうなる今年のテック動向
いま読み返したい、
2017年の記事ベスト13
2017年も数々の興味深いエマージング・テクノロジーが生まれ、同時にさまざまな社会的課題を私たちに突きつけた。2017年にMITテクノロジーレビューが掲載した1000本以上の記事の中から、2018年のテクノロジー動向を展望するのにふさわしい、おすすめ記事を紹介しよう。 by MIT Technology Review Editors2018.01.09
MITテクノロジーレビューのスタッフが、2017年に自身が執筆や編集を担当した記事の中から選んだおすすめの記事を紹介する。最も重要な記事や最も興味深い記事、あるいは最も完成度の高い記事など、さまざまな観点から選ばれたものだ。順番に見ていこう。
遺伝子組み換え宇宙飛行士の極秘?研究
宇宙空間への植民により適した人類、あるいは単に私たちと異なる人類を作る方法を内密に考えている科学者たちがいる。宇宙旅行への夢から、人の遺伝子コードに手を入れることを支持する驚くほど強固な倫理的議論が生まれるのだ。(アントニオ・レガラード)
機械から学習する子どもたち AIネイティブ世代の行方
筆者の4歳になる姪、ハンナのような子どもたちは、幼児期からデジタル・アシスタントと一緒に育つ。そろそろデジタル・アシスタントが子どもたちに与える影響について議論しておいた方がよい時期だろう。学術的な研究が少ないにもかかわらず、まだ探究されていないトピックを巡る真剣な議論を始めることを試みている。(レイチェル・メッツ)
気候変動の最終手段 「地球工学」の使用を誰が決断するのか?
地球工学へのアプローチのうち、最も有望なもののいくつかを紹介し、なぜ科学者たちがますます地球工学への意欲を強めているのかを説明している。気候変動の影響を減らすために原因である温暖化ガスの排出を削減するようなやり方とは対照的に、地球工学は私たちの暮らす地球そのものを作りかえようという試みだ。宇宙へ逃げる放射熱を増やす「人工降雨」について、他のどんな出版物よりも詳細に検討していると思う。さらに、排出をめぐって抜本的な行動に出ることに消極的な社会が直面している、大きな危険についても強調している。(ジェームズ・テンプル)
やられたらやり返す? 逆ハッキング法が「筋が悪い」これだけの理由
信用情報サービスのエキファックス(Equifax)や配車サービスのウーバー(Uber)のような企業への大規模なサイバー攻撃の波は、米国議会の脊髄反射的な対応を引き起こした。この記事は、米国連邦捜査局(FBI)や政府機関がハッカーに対処するのではなく、企業が自身で対処することを可能にしてしまう法案の愚かさに焦点を置いている。(マーティン・ジャイルズ)
ビットコイン高値更新でも影響力はウズベキスタン通貨並み
2017年1月3日に筆者はビットコインが高価格であることの問題点を説明した。その時点では、ビットコインは1000ドルだった。1年でなんという違いが出たことだろう(ちなみに2017年の12月末の時点では約1万5000ドルだ)。12カ月が経った今も、この記事の批判のいくつかは当てはまっている。しかしこの記事が本当に役立つのは、暗号通貨が驚異的なスピードで値上がりしたことを実によく示しているからだ。「バブル」と言われてもおかしくない。(ジェイミー・コンドリフ)
ビットコインだけじゃない、ブロックチェーンが実現する医療ネットワーク大革命
ブロックチェーンは暗号通貨のビットコインなどで運用されている安全な分散型台帳だ。多くのテクノロジストが、ブロックチェーンの完璧な利用法は、医師たちや患者たちのあいだで重要な医療情報を共有することにあると考えている。「ブロックチェーンを〇〇に活用する」という類の話はありふれているので、ともすれば誇大広告と思ってしまいがちだ。しかし、ヘルスケアについては、ブロックチェーンの活用というアイデアは注目に値すると思う。(マイク・オーカット)
ブラックボックスなAIに潜む「偏見」を暴く最新研究が発表
人工知能(AI)の意思決定のほとんどは不透明な方法で実行される。そのため、AIのアルゴリズムや、与えられたデータに欠陥があって意図しない偏見を含む意思決定がなされたとしても気づくのは難しい。AIがより広範に使われるようになるにつれて、この問題はますます悪化しつつある。人々の生活を形づくるようになりつつあるAIシステムをよりよく理解するためには、この記事に登場する論文のような研究がもっと必要だ。(ジャッキー・スノウ)
押し寄せる自動化の波、弁護士は生き残れるのか?
仕事の自動化にまつわる話のほとんどは、ブルーカラーの仕事についてのものだ。この記事では、ロボットに取って代わられる恐怖から縁遠いとされていたある専門職へと切り込む。記事の結論は、法律家全員がこの問題について心配する必要はないというものだ。しかし、心配した方がいい法律家が存在することも確かだ。(エリン・ウィニック)
アメリカ経済はAIとロボットで再び偉大になるか?
自動化が進むと、仕事がなくなるだけではない。雇用の喪失は、結果的には政治にも影響してくる。今のところ米国は、こういった変化に対応する政策を持ち合わせていない。この記事では、2016年の米国大統領選挙をきっかけに、変化する雇用市場が選挙結果にどのような影響を与えたのか、そして政治的なリーダーたちは次に何を考えねばならないのかについて考察している。(デビッド・ロットマン)
国家レベルでAIに賭ける中国から何を学ぶべきか
中国は急速に新たなAI大国となりつつある。中国政府はこのテクノロジーにかなりの投資をしており、中国の研究者たちは、大量のデータにアクセスできることによって、多くの利益を得ている。中国のテクノロジーの中心地で書かれたウィル・ナイトの報告書は、中国の成果を脅威とするのではなく、中国から学ぶべきだと論じている。(デビッド・ロットマン)
ミリ波を使う超高速5G通信は木の葉や雨・雪が苦手
数年以内に第5世代の移動通信コネクティビティ (5G) がサービスを開始すると、モバイル・インターネットの通信速度が10倍から20倍に高速化される可能性がある。しかし、それに伴って起こることや、5Gの開発のために膨大な研究開発が必要であることを知っている人は、ほとんどいない。この記事は5Gのテクノロジーや、5Gがどのように使われるかについて説明するとともに、ある大手無線キャリアが5Gの実用化において果たしている役割を報告する。(エリザベス・ウォイキ)
人間を排除する(Eliminating the Human:リンク先は英文)
テクノロジーが私たちをいかに脱人間化しているかというデヴィッド・バーン(アーティスト、元トーキング・ヘッズ)のブログ投稿を読んだとき、MITテクノロジーレビューの読者諸賢がこの投稿を気に入ることを確信した。驚くべきことに、バーンは投稿をMITテクノロジーレビューに再掲することを許可してくれただけでなく、全体を再編集することも許可し、彼自身が他の人と関わることに消極的である理由についての文章を少し書き加えてくれた。結果的に、この記事は伝説的なミュージシャンであるバーンが世界を眺める視点を垣間見せてくれる考察となった。同時に、消費者向けテクノロジーが、すでに人々の振る舞いを望ましくない方向に変え始めているかもしれないという真剣な警告も含んでいる。(マイケル・レイリー)
10万ドルで遺伝子操作による不妊治療を請け負う米企業の正体
2017年7月の記事で、ニューヨークの不妊治療専門医が「3人の親を持つ赤ちゃんをつくる」体外受精(IVF)の手法を販売する企業を立ち上げたことを報じた。この手法は今なお米国では違法であり、物議の対象となっている。不妊治療専門医のジョン・チャンは、カップルが自分たちの子どもに、特定の希少疾患を遺伝させないための手法を独自に作り出した。しかし、チャン医師の企業はこの手法を、年齢の高い女性の不妊の治療法として広告し始めたのだ。この記事では、実証されていない部分が多く、潜在的なリスクを伴う処置を、子どもを授かるのに必死になっている女性たちに販売することについて、倫理的そして法的な観点から疑問を投げかけている。(エミリー・マリン)
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