ロシア警察、
ロボットを一時拘束
モスクワの政治集会で警察が手錠をかけようとしたのは、いつもとは別の容疑者だった。 by Jamie Condliffe2016.09.20
モスクワの政治集会で、警察が活動家のプロモボットに手錠を掛け、拘束しようとしたと報道されている。しかしプロモボットは通常のデモ参加者ではなく、ロボットなのだ。
この未来的な騒動は、ロシア議会選挙のバレリー・カラチェフ候補の支持集会で起きた。カラチェフ候補は今後の参考のために、人型ロボットで群衆の意見や反応を記録していた。
ロボットの製造元によれば、現場のロシアの警察官は戸惑っており「ロボットを持ち去るように要請し(略) ロボットに手錠を掛けようとさえしました。なお、ロボットは何の抵抗も示しませんでした」という。
ただし、この騒動全体が宣伝目的のやらせの可能性もある。プロモボットは以前にもちょっとした事件を起こしたことがあるからだ。今年前半、プロモボットはエンジニアが門を閉め忘れた際にロシアのペルミにある研究所から逃走したと伝えられている。最終的にはバッテリーが切れ、道の真ん中で動作しなくなった。
宣伝目的のやらせでも、逃走によって、ロボットをどう扱うか、興味深い疑問がわいてくる。現在、人型ロボットに関わる法律は事実上存在しない。だが、人型ロボットの権利が最終的には必要になると数十年にもわたっていわれてきた。ごく最近では、欧州議会の法務委員会による動議案で、欧州委員会にロボット民法の検討を求めている。提案では「最も高度で自律性のあるロボットは、具体的な権利と義務を持つ電子人間の地位を持ち得る」と示している。
この種の権利と義務は、人間がロボットを公平に扱おうとしていることを意味するが、一方では、人間がロボットを不当に扱うこともある。昨年、アメリカ各地を旅しようとしたヒッチハイクロボット「ヒッチボット」は、いたずらされ、ほぼ破壊された。配達ロボットを実証実験中のスターシップテクノロジーズも、車輪付の自社製配達ロボットが虐待されないか心配だという(配達ロボットは、今までのところヒッチボットと同じ目にはあっていない)。
いつかは現実になる話だ。
(関連記事:Inverse, BBC, 「ロボットのピザ配達ロンドンで数週間以内に実用化」)
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- ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
- MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。