Yatish Turakhia ヤティシュ・トゥラキア
新型コロナ変異株の世界的な拡散の全体像を、遺伝子的に詳細に示すソフトウェアツールの開発に貢献。リアルタイムでの高精度監視を可能にした。
2020年初頭、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が拡大し始めた。人々をより大きなリスクにさらす新しい変異株が出現する中、科学者たちはウイルスがどのように変異するかを追跡することが公衆衛生にとって不可欠なことをすぐに認識した。当時カリフォルニア大学サンタクルーズ校(UCSC)のゲノミクス研究所の博士研究員であったヤティシュ・トゥラキアは、新しいサンプルが提出されるたびに、数分以内に既知の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ゲノムのファミリーツリー上に配置することで、新型コロナウイルス変異株を追跡する「アッシャー(UShER)」と呼ばれるソフトウェアツールの開発に貢献した。
2021年からオンラインでアクセスできるようになったこのツールには、現在1500万以上のウイルス配列が含まれており、科学者たちにより日々、追加されている。アッシャーにより、科学者や公衆衛生当局は、新しい変異株を発見して名前を付け、その進化を追跡できるようになっただけでなく、ウイルスをグローバル規模でリアルタイムに高精度で監視するのも可能になった。
最近では、トゥラキアらのチームは「リップルズ(RIPPLES)」と呼ばれる別のソフトウェアツールを開発した。このツールは、アッシャーの広範なファミリーツリー構造を調べ、変異株の特定の 「枝」が組み換え体(遺伝的に異なるハイブリッド変異体)である可能性があるかどうかを調べるものだ。
リップルズが開発されるまで、科学者たちが組み換え体の可能性があるものを特定する唯一の方法は、他の変異株で発見した変異を覚えておくことであった。リップルズによりそのプロセスが自動され、医療専門家がウイルスの進化の歴史を再構築できるようになった。
「トゥラキア博士の研究がなければ、新型コロナウイルスの感染拡大に関する、私たちの世界的な理解は大きく損なわれていたでしょう」と、共にこのプロジェクトに取り組んだ、UCSCゲノミクス研究所の科学部長であるデビッド・ハウスラー特別栄誉教授は語る。「彼のアルゴリズムの成果は他の誰も作ることができなかったものです。ウイルスがどのようにして世界中に拡散したかを全遺伝子的に詳細に示す、世界的な全体像なのです」。
(リアノン・ウィリアムズ)
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