KADOKAWA Technology Review
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エネルギー/持続可能性
Vichhika Tep
35歳未満のイノベーター35人 2023エネルギー/持続可能性
気候危機は多様な角度からの回答を求めている。イノベーターたちは、二酸化炭素回収、電池製造、送電網の管理といった問題を解決しようと取り組んでいる。

Awais Ahmed アワイス・アーメド (25)

所属: ピクセル・スペース・テクノロジーズ(Pixxel Space Technologies)

従来の観測衛星の最大10倍の情報量を提供するハイパースペクトル衛星を打ち上げ。「地球の健康監視システム」を構築している。

1950年代以来、人工衛星は、地表に反射する光波を捉えることで、気象パターンや農作物、地政学的競合を監視してきた。だが、衛星画像は、雲の量や光の常態、距離が障害となって、一貫性に欠け、不鮮明である。現在宇宙にある衛星のほとんどは可視スペクトルの光と、おそらく赤外スペクトルのごく限られた波長の光しか捉えていない。

2021年、アワイス・アーメド(25)が創業し最高経営責任者(CEO)を務めている「ピクセル・スペース・テクノロジーズ(Pixxel Space Technologies)」は、デモ用ハイパースペクトル衛星を、商業および公共利用のために軌道上に初めて打ち上げた。この衛星は、可視・赤外スペクトルにおける150種以上の波長の光を捉えて、衛星画像を撮影できる。分子は種類ごとに、分光シグネチャと呼ばれる異なる波長の光を反射する。そのため、ピクセルの衛星は、より幅広い波長の光の束を捉えることで、地表に関する情報を既存の衛星と比べ最大10倍の情報量を提供できる、とアーメドCEOは言う。例えば、農作物の健康状態を知ることができたり、あるいは、収集した雪冠の分子情報から気候変動に関する重要な知見を明らかにしたりすることも可能だ。

2022年にピクセルは、さらにハイパースペクトル衛星2基を打ち上げ、現在、ハイパースペクトル・データを利用した「地球の健康監視システム」の構築に取り組んでいる。ピクセルの現在の顧客には、土壌や生物多様性の変化を追跡するためにハイパースペクトル・データを利用している農業・鉱業企業などがある。アーメドCEOは、ピクセルの一部データをオープンソース化し、一部の気候研究機関に無償提供する予定だ。

(テイト・ライアン・モズリー)

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