
Kaitlyn Sadtler ケイトリン・サドラー (31)
新型コロナウイルス感染症が発生したときに、他に先駆けて、血液中の新型コロナウイルスの抗体の有無を正確に判定できる高感度の抗体検査を開発した。
2020年初頭、ケイトリン・サドラー博士は、自分の研究室をのんびりと立ち上げればよいと考えていた。そこに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が発生。サドラー博士のチームは他に先駆けて、数週間のうちに、症状の有無にかかわらず新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染した人を判定できる効果的な抗体測定法の開発を成し遂げた。
抗体はウイルスを識別して破壊し、体が免疫反応を起こすのを助ける。抗体は体内に数カ月間残ることもある。既存の検査では、新型コロナウイルスに固有の抗体を特定できなかったため、以前に他のコロナウイルスに感染したことのある人が偽陽性と判定されることがあった。
米国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)のサドラー博士の研究チームは、新型コロナウイルスの抗体の存在をより正確に特定できる、6つの異なる抗体解析を使用する高感度の抗体検査を開発した。2021年1月に発表した初期の結果では、約1680万人の米国人が新型コロナウイルスに感染していたにもかかわらず、新型コロナウイルス感染症と診断されていなかったことが確認された(サドラー博士は2021年秋に調査結果を更新し、米国人全体の3分の1が新型コロナウイルスに感染済みだと推定している)。
この血液検査には、新型コロナウイルス感染による抗体か、ワクチンによる抗体かを判断できるほど十分な感度があり、新型コロナウイルスの変異株も区別できる。簡単で安価な検査なので、貧しい国でも豊かな国でも実用的だ。サドラー博士は、「世界的なパンデミックですから、地球規模で考える必要があります」と語る。
(Kathryn Miles)
- 人気の記事ランキング
-
- Inside the tedious effort to tally AI’s energy appetite 動画生成は別次元、思ったより深刻だったAIの電力問題
- Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2025 「Innovators Under 35 Japan」2025年度候補者募集のお知らせ
- What’s next for AI and math 数学オリンピックで「人間超え」のAIは数学者になれるか?
- IBM aims to build the world’s first large-scale, error-corrected quantum computer by 2028 IBM、世界初の大規模誤り訂正量子コンピューター 28年実現へ
- What is vibe coding, exactly? バイブコーディングとは何か? AIに「委ねる」プログラミング新手法